【4756】第三者が障害や精神病に議論することについて
Q: 10代女性です。ネット上の論争を見ていて疑問がわき、質問させていただきました。
疑問を持ったきっかけは、ある個人事業主の方が不適切な食品の管理で炎上したことに関するネット上の反応を見たことです。
炎上の詳細については、あまり本筋とは関係ないので、省略させていただきます。
ネット上での主な反応は、私が見た限り5つに分けられると思います。
① 炎上した人を批判するもの
② その人の言動や外見などから、発達障害や知的障害、もしくは精神病ではないかと推測したり、支援が必要ではないかと話すもの
③ ②について、医師でもないのに病名等を憶測で話すなと批判するもの
④ ②について、同じ障害を持っている人への偏見が強まるから話さない方がよいというもの
⑤ ②について、人を障害者扱いするのは失礼だと批判するもの
⑥ ⑤のような意見こそ、障害をタブー視したり偏見を持っているのだと反論するもの
私自身は、誹謗中傷の為に根拠なく病名などを持ち出すのはもってのほかですが、「障害や精神病がある人が事業を行いたいと思った時、周りがどうサポートすべきか」など建設的な目的で②の話をするのは悪いことではないのではと思います。
しかし、③や④の反論についても、確かに一理あると思うのです。
実際に、②の意見を見た第三者が、その障害を嘲笑したり、「〇〇のやつは全員一生家から出るな」などと書き込んでいたりもしました。
一方で、「今までなら非常識だと叩かれて終わったが、障害や病気ではと思う人が増えていることから、少しずつ社会の理解が進んでいると感じる」と前向きにとらえる意見もありました。
医師でもない人がSNS上で障害や精神病の有無について話題にすることについて、精神科医である林先生はどうお考えでしょうか。
お考えを聞かせていただけると幸いです。
林: ご指摘の分類は適切で、どの一つについても、良い面と悪い面が、程度の差はあれ、混在していると思います。
そんな状況の中、確実に言えるのは、「興味本位は無関心に優る」ということです。障害について、無関心のままでいることに比べれば、たとえ興味本位であっても議論することが優ることは確実です。無関心のままでは何も変わらないからです。
(2023.12.5.)