【2502】「うつ病患者は他人を責めない」は常に真か‏

Q: 30代男性です。お忙しい中このような質問をしてもいいものか、少し迷いましたがよろしくお願いします。  精神科Q&Aの回答を見ていると、「うつ病患者は他人を責めない」「他人を責める自称うつ病患者は擬態うつや別の病気」と先生は答えていらっしゃいました。  しかし、私には軽度~中度のうつ病患者であれば、他人への怒りや不満が募ることもあれば、自分をいじめた相手、罵倒した相手、ケンカした相手、理解のない家族などに怒りを抱き、暴言を吐くこともあり得ると思うのですが。  また、うつ病の診断チェックリストにも、「イライラしやすい」「怒りっぽい」という項目があり、うつ病によって「被害妄想」や「人間不信」の症状が出ることもあるといわれています。  私自身、不安で部屋をうろうろする、夜眠れない、食欲不振、身体が鉛のように重くなるなどの症状が出て、身体と感情の自由が効かなくなり、心療内科で診察を受けた時に、「重いうつ病」と診断されました。  現在は、薬が良く効き(ノリトレンとレクサプロ)減薬も進み、病状も寛解しています。  確かにうつ病の症状がひどかった時は、自分のした行いなどにひどく罪悪感を覚えました。  「自分はひどい人間なのかもしれな」「みんな私のことを許してくれない」と思い、家族に謝ったり、仏壇の前で嫌われた人達に向けて謝ったりしていました。  しかし、うつ病と診断される一年ほど前から、昔の出来事や他人、家族に対する怒りが治まらず、家族に対してはイライラした態度をぶつけることがありました。 その一年間は、対人恐怖症・人間不信的な症状や希死観念もありました。(他人に言うことは無かったですが)  私は、うつと診断される前の一年間も自分は軽度~中度のうつ病だったのではないかと考えています。  しかし、私が「重いうつ病」と診断された時こそ本来のうつ病であり、軽度~中度であっても、やはりうつ病患者は他人を責めることがないのでしょうか?  それともイライラしたり怒りっぽくなることはあっても、「あなたのせいで病気になった」「悪いのはおまえだ」というような発言はしないということでしょうか? よければ回答お願い致します。

 

林: ご指摘の内容は基本的に正しいといえます。

私には軽度~中度のうつ病患者であれば、他人への怒りや不満が募ることもあれば、自分をいじめた相手、罵倒した相手、ケンカした相手、理解のない家族などに怒りを抱き、暴言を吐くこともあり得ると思うのですが。

その通りです。

 また、うつ病の診断チェックリストにも、「イライラしやすい」「怒りっぽい」という項目があり、うつ病によって「被害妄想」や「人間不信」の症状が出ることもあるといわれています。

その通りです。

うつ病と診断される一年ほど前から、昔の出来事や他人、家族に対する怒りが治まらず、家族に対してはイライラした態度をぶつけることがありました。 その一年間は、対人恐怖症・人間不信的な症状や希死観念もありました。(他人に言うことは無かったですが)  私は、うつと診断される前の一年間も自分は軽度~中度のうつ病だったのではないかと考えています。

そうかもしれませんが、わかりません。

それともイライラしたり怒りっぽくなることはあっても、「あなたのせいで病気になった」「悪いのはおまえだ」というような発言はしないということでしょうか?

そういう発言は、うつ病の方は、「しにくい」といえます。「決してしない」とはいえません。

この件に限らず、いかなる病気についてのいかなる回答も、その病気の人すべてに敷衍することはできません。「多くは、そうである」、「この質問者の質問内容については、そうである」という範囲での回答であるとお考えください。
さらに言えば、「この質問者の質問内容」とは、文字通り「この質問者の質問内容」という意味です。すなわち、その質問に書かれている内容が事実か否かは当然ながらメールだけでは検証不可能です。したがって、「その質問内容が事実であると仮定した場合」の回答にすぎません。
このように、インターネットによる回答には常に大きな制約があります。これも、インターネットの情報を信用することの不合理さの理由の一つと言えます。

(2014.1.5.)

05. 1月 2014 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A