【4658】自分の意志で幻聴を聞くことができる
Q: 32歳男性です。
私は自分の意志で幻聴を聞くことができます。特に入眠時に顕著なのですが、頭の中をめぐる考えを自意識と切り離して自動化・音声化しながら、「実際に聞こえてくる気がする」という感覚を研ぎ澄ませることで、「これは実際には発生していない音である」ということを理解したまま、通常の話し声と全く同じように、耳で聞くことができます。
一般に、入眠時に幻覚が起こることはそれなりにあるようですね。
ところが私の場合、入眠時に限らず、集中力が高まっているときや、あるいは「高めよう」とするとき、「幻聴を聞こうとすれば聞ける」という状態になることがたびたびあります。
そして、「(あー…めっちゃ幻聴聞こえるわー)」と感じたりします。
(統合失調症的な悪口は聞こえず、極めて一般的な声というか、街中の雑踏にいるときのように、特定の会話というより、「全体的に人が話している、そしてたびたび会話の中の特定のワードが認識できる」といった感じです)
眠る前のときは夢の狭間のようなものだとあまり気にしていませんが、起きている状態でこれを遊びのように楽しむことに、若干の不安を覚えています。
この「幻聴を聞こうとすれば聞ける」という状態になることに、なにか医学的な危うさはありますでしょうか。
あまりやらないほうがよさそうだ、ということを肌で感じつつも、錯視のイラストを楽しむように、「感覚のバグ」が面白くてついついやってしまいます。
やめたほうがいいか、こういう事例はよくあるのかなど、見解を知りたいです。
よろしくお願いいたします。
林: 貴重な体験のご報告をいただきありがとうございました。
【4659】アファンタジアについて の回答に記しましたように、完全に主観的な領域に限定されている体験については、客観的に証明する方法がありませんので、研究が発展しにくい、あるいは、発展し得ないという現実があります。
この【4658】の「自分の意志で幻聴を聞くことができる」もそれと同様ですので、
この「幻聴を聞こうとすれば聞ける」という状態になることに、なにか医学的な危うさはありますでしょうか。
このご質問に対する答えは「わかりません」ということになります。
ただ一つだけ言えるのは、完全に主観的な領域に限定していて本人にしかわからない奇妙な体験は、統合失調症の人が時に訴えることがあるということです。「自分の意志で幻聴を聞くことができる」がそれに該当するかどうかは何とも言えませんが(該当するともしないとも言えない)、一つの知識として心に留めておくことは有益かもしれません。
(2023.4.5.)