【4478】被害妄想がひどい60代の母
Q: 60代の母の話ですが、4~5年前から「家に盗聴器をつけられている」「水道に毒を入れられている」「後をつけられている」という被害妄想的なことを言い出すようになりました。加害者と思われる人物は実の兄弟とその家族であり、ちょうど5~6年前に遺産相続で法廷で争っておりました。今から思えば紛争中にもその兄弟たちが盗聴器や勝手に家に上がる嫌がらせをしていると言っていましたが、実際に大掛かりな盗聴器が見つかったことも事実あったため、母の過剰な反応と思い込みの強い性格のせいであると比較的軽く考えておりました。ところが、2~3年ほど前から電磁波攻撃を受けていると言い出し、どこからかテクノロジー犯罪の被害者の会の存在を知り、集会等へ参加するようになりました。そして、「今から攻撃しにいく」というような加害者の声が送信されていると言い出し、その被害は自分だけでなく娘である私や主人、主人の家族にまで及んでいると思い込み、最近では毎日のように「今そっちに行ったから気をつけなさい」というようなメールが夜中に届くようになりました。2年ほど前に一度 やっとの思いで心療内科を受診させましたが、本人が病気を受け入れず病院側も本人が必要としていない以上どうすることもできないということで、通院を続けさせることができませんでした。
遅いかもしれませんが、最近のひどい様子でもう一度母と向き合うことを決めて症状について調べはじめて「統合失調症」という病気を知りました。母はこの病気ではないかと思っております。しかし、自分が病気であることは認められず、病院へ行こうという私のことを電磁波攻撃によりマインドコントロールをされているのではないかと疑う始末です。現在母は父と2人で一軒屋に暮らしており、隣と斜め前に兄弟家族が住んでいる状況です。短気な父は母の妄想に反発しケンカが絶えず、しかし同じように被害を受けているかもしれないと言う事もあります。このままでは父も病気になってしまうと思い、現在父の住む場所を探しております。母も別の場所に住みたいと引越しを希望しています。林先生のサイトなどからも、引越しをしても解決にならないことはわかっておりますが、加害者と思われる人物の隣近所に一人で住むことはできないと思われます。どこへ行っても「隣人が加害者の仲間である」と言い出す可能性も高く、意味がないのではないかとも思いますが、少しでも環境を変え冷静になってもらい病院へ通院させたいという考えは甘いでしょうか? 父と母は離れて住まわせた方がいいでしょうか? また、被害者の会など母に同調してくれる人たちとの関わりは絶った方がいいのでしょうか? 病気に対しては悪いことでしょうが、母の拠り所になっており、また遠方へ引越しでもしない限り関わりを絶つことも難しいです。数ヶ月でも知らない土地等で生活をすることで母の症状を落ち着かせることはできますか? ご意見いただけますよう よろしくお願いいたします。
林: 典型的な被害妄想で、質問者がご指摘の通り、統合失調症が考えられますが、妄想性障害という診断になるかもしれません。いずれにせよ、精神科で治療を受けていただく以外には改善の方法はありません。
引越しをしても解決にならないことはわかっておりますが、加害者と思われる人物の隣近所に一人で住むことはできないと思われます。
解決にはなりませんが、被害妄想の対象者の近隣に一人住まいされることは避けるべきであるという点はその通りです。
しかし、
どこへ行っても「隣人が加害者の仲間である」と言い出す可能性も高く、意味がないのではないかとも思いますが、
それもまたその通りで、引越し先でもその近隣の人に対する被害妄想が早晩発生するでしょう。
少しでも環境を変え冷静になってもらい病院へ通院させたいという考えは甘いでしょうか?
ごくわずかに期待できないこともありませんが、甘いか甘くないかと言われれば甘いというのが答えになります。
父と母は離れて住まわせた方がいいでしょうか?
お父様のためにはその方がいいでしょう。お父様も「同じように被害を受けているかもしれないと言う事もある」とのこと、このような場合、お父様まで妄想内容を事実であると確信してしまうこともあります。【3865】妻と娘が同じ被害妄想を持っている などもご参照ください。
また、被害者の会など母に同調してくれる人たちとの関わりは絶った方がいいのでしょうか? 病気に対しては悪いことでしょうが、母の拠り所になっており、また遠方へ引越しでもしない限り関わりを絶つことも難しいです。
絶った方がいいでしょう。
数ヶ月でも知らない土地等で生活をすることで母の症状を落ち着かせることはできますか?
一時的には落ち着くかもしれませんが、一時的なことにすぎません。
(2022.4.5.)