【4430】双極性障害の可能性と、他にも新たな病気が出てきていないかという不安

Q: 30歳の男性です。

■今までの症状と経過
・10代前半から20代前半まで10年以上鬱病や社交不安障害の症状でSSRIを数ヶ月ごとに切り替えて色々飲んでいたが、SSRI系の薬は全く効果が無かった
・高校生の時に自殺未遂の経験がある
・一向に症状が改善されない点や、幼少期から抱えている吃音の事等を担当医に相談するも「気の持ちよう」と言われたり、精神障害者手帳の事を尋ねるも濁した答えしか返してこない等、担当医に対して不信感を抱き信用出来なくなったため、症状があまり改善しないまま通院するのをやめる
・上記の問題を経験してしまったため、精神科等のメンタルクリニックには抵抗感があり、未だに通院出来ずにいる
・今まで通院してた所では鬱病・全般性不安障害・社交不安障害・強迫性障害と診断される
・20代前半に寛解して数年は不安障害と社交不安障害の症状が出てくる程度だったが、25~26才の頃から軽度の抑うつ状態の兆候はあった。

■現在の状態
・全般性不安障害と社交不安障害は未だに寛解せず。そのため、電話も怖くて出来ず、お店で店員に話しかけたりする事も難しい状態がずっと続いている。

・流し台で髪を洗ったり濡らしたタオルで体を拭くぐらいの事はしているが、入浴する意欲が出ず、入浴出来てない状態が3ヶ月以上続く事がよくある。

・症状が出てきた具体的な年齢は覚えていないが、間違えていなければ中高生辺りから「現実感がない(夢を見ているかのような感覚)」「物の見え方や手足を動かす感覚や触覚が自分のように思えず違和感を覚える。着ぐるみを着て、着ぐるみ越しに現実世界にいるような感覚」「鏡で何度顔を見ても他人のように思える」という状態が一定期間(短いと数日。長いと数ヶ月)続く事があるので離人症の症状が出ている可能性があるのではないのかと考える。

■自分は双極性障害ではないのかと思い1年半前から現在に至るまで毎日の状態をメモをする (以下はそのメモに基づいています)

・約1年半かけて分かったのは、約3ヶ月間、軽躁状態と思われる症状が続き、3ヶ月後には約2~4週間の躁鬱が頻繁に変わる混合状態が続き、その後の約3ヶ月間は鬱状態が続く。
鬱期間が終わるとまた約2~4週間の混合状態になり、その後再び約3ヶ月間の躁状態になるというループ状態が続いている。
自己診断としては双極性障害の可能性があるのではないのかと考える(ラピッドサイクラー?)。

・また、20代前半で寛解したと思っていたのは実は寛解ではなく躁状態になり鬱状態が消えていたのではないかという可能性。
・双極性障害と思われる症状が出て以来、自律神経失調症になったのか下痢体質だったのが便秘体質になり。肩こりや首こり、眼精疲労等に悩む事が多くなった。

■躁状態だと思われる時
・頭が覚醒しすぎている。覚醒しすぎて時折頭が痛くなる時もある
・24時間ぐらい起きていられる程度には眠気がこない
・入眠にも時間がかかり、中途覚醒もしやすく再び寝つくのにも時間がかかる
・頭の中が色々と思い浮かびすぎて考えがまとまらない
・色々と気になる事が多くて落ち着かない
・気になった事は調べないと気がすまない
・数秒前に考えていた事を思い出せない
・いつも以上に肉体精神共に余裕があり、動きやすい
・態度が傲慢になりがちで、上から目線で物事を考えてしまう(ある程度落ち着いたタイミングになってこの事に気がつく)
・場合によっては頭の中がごちゃごちゃしてきて、物事の理解が追いつかなくて混乱し発狂しそうになる
・イライラしやすい状態で些細な事でもイライラしてしまう。返事をするのも叫んで返したくなる

■鬱状態だと思われる時
・何もやる気が出ない。倦怠感も覚える。
・体の力が入らない時があり、立っているのもしんどい。座るか横になりたい。
・希死念慮を抱くことも多い
・何か食べると少し回復するが、-80が-40ぐらいになる程度なのでどちらにしろ体調は悪く感じる。
・何を見たり聞いても面白くない(楽しくない)。
・頭があまり回らない。モヤがかかったような感じ。
・現実感があまりない。「現実感のある夢を見ている」ような感覚を覚えるし、過去を思い出すと夢なのか現実なのかアヤフヤな部分もある。
・物事に集中できず飽きる感覚を覚える。
・静かな焦燥感を覚える(精神的に落ち着かない)。
・ある程度症状が重いと小説等の長文が読めなくなり、更に酷くなると漫画すら頭にはいらず読めなくなる。

■睡眠関係
・不眠症の問題もあり、中途覚醒の症状自体は10代からあったが過眠症気味だったので睡眠薬は使っていなかったが、双極性障害と思われる症状が出てからは軽躁状態でも鬱状態でも睡眠に困り個人輸入した睡眠薬を飲まないと寝れない(離脱症状を防ぐ目的でリスミー1~1.5mgとエスゾピクロン3mgを1週間毎に入れ替えて飲んでいる。エスゾピクロンは1~2mgも試したがあまり効果を感じない)。
・睡眠薬無しでも寝れなくはないが、悪夢を見ることが多く、無意識に全身に力が入っているようで寝ても疲れて寝た気がしない(睡眠が浅い)。
また、力が入ったまま寝ているからか、寝る前には無かった首こり肩こりの症状が出てきて困っている。

■最後に
長くなってしまいましたが、結局の所聞きたいことは「自己診断で双極性障害。離人症の症状が出ているのではないか。また他にも病気は無いかとは思うものの所詮素人判断にしか過ぎないので、医者である先生の意見を仰ぎたい。」という事です。よろしくお願いします。

 

林: あなたは双極性障害(躁うつ病)です。

・約1年半かけて分かったのは、約3ヶ月間、軽躁状態と思われる症状が続き、3ヶ月後には約2~4週間の躁鬱が頻繁に変わる混合状態が続き、その後の約3ヶ月間は鬱状態が続く。
鬱期間が終わるとまた約2~4週間の混合状態になり、その後再び約3ヶ月間の躁状態になるというループ状態が続いている。

これは双極性障害のひとつの典型的な経過のパターンです。
ただし、ご本人からの「躁」とか「うつ」とかのご報告だけですと、それが本当に双極性障害としての病的な気分の変調か否かが判断できませんが、この【4430】のケースでは

■躁状態だと思われる時
■鬱状態だと思われる時

として、具体的な症状の記載があり、その記載内容から、双極性障害の躁、うつであると判断できます。

また、経過をさらに振り返ってみますと、

・10代前半から20代前半まで10年以上鬱病や社交不安障害の症状でSSRIを数ヶ月ごとに切り替えて色々飲んでいたが、SSRI系の薬は全く効果が無かった

双極性障害ではこのように、明確な躁うつの病相が現れる前の時期に、特定の診断がつきにくい漠然とした気分変調が見られることが少なからずあります。

そしてさらに、

・20代前半に寛解して数年は不安障害と社交不安障害の症状が出てくる程度だったが、25~26才の頃から軽度の抑うつ状態の兆候はあった。

このように、徐々にうつ状態(または躁状態)が明確になってくる、という経過もあれば、あるとき突然に非常に明確な躁状態やうつ状態が現れることもあります。

すなわち、この【4430】の経過と現在の症状は、双極性障害としてのひとつの典型的なパターンであると言えます。

結局の所聞きたいことは「自己診断で双極性障害。離人症の症状が出ているのではないか。また他にも病気は無いかとは思うものの所詮素人判断にしか過ぎないので、医者である先生の意見を仰ぎたい。」という事です。

その自己診断は正しいです。あなたは双極性障害です。精神科で治療を受けてください。

(2021.12.5.)

05. 12月 2021 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 躁うつ病 タグ: |