【4395】置いてけぼりされたという感覚に過剰に反応する私は境界性パーソナリティ障害でしょうか

Q: 30代女性です。
私は小学生高学年の約2年間、女子グループから無視や物を隠すなどのいじめを受けました。
中でも一番心に残っているのは、隣町まで皆でバスで出掛け、こっそりと私だけを置いて残りの皆が居なくなったことですその時は近くの建物に隠れている皆を見つけましたが、一人バスで帰宅しました。
その経験や、思春期の気持ちの揺れに上手く対処できず、高校大学と対人恐怖(講義などで教室に座っていると、周りが自分を見ているのではないかという考えが頭から離れない。ありえないと否定しても、周りを見渡す事ができない)が悪化しまして、現在心療内科でレクサプロとメイラックスを処方いただいています。

さて首題の件についてなのですが、過去の置いてけぼりを彷彿とさせる事があると、過剰に反応してしまいます。
うっかりでも、職場の他の作業者がまだ私がいるトイレや更衣室の電気を消したり、一人だけ椅子が無かったりすると、腹立ちが抑えられずにその辺の壁や柱などを蹴飛ばしたり怒鳴ったりをしてしまいます。
本日も、私が業務で動けない時間帯に、部署の皆の集合写真の撮影がありました。
自分以外にも出席できない人がいるのは認識しておりましたし、朝メイラックスを一錠飲んでおりましたが、作業を一人でやっていると「こうやって作業をしている人は置いて、皆で部署でございと楽しく撮影をしているのか」と鬱々とした気持ちが止まらなくなりました。
動悸や手の痺れなどが出て来ましたので、半休を申請しましたが、止めとけば良いのに宛先を上長ではなく自分の属するグループにしました。
結果、上長に呼び出しを受け、「仲間外れにしたわけではない、自分は可哀想だと思っている、過度に自分が重要だと思っている等々」と当然といえば当然の非難を受け、怒りが止まらなくなって物を投げたり大声で喚いたりしました。
その後半休を取り、ナイロンロープを購入しました
首を吊るつもりでしたが、家に帰ると決心が揺らぎ実行出来ませんでした。
自傷行為歴はありませんが、私は自覚していないだけの境界性パーソナリティ障害または構ってちゃんであり、自分の自覚する対人恐怖症は言い訳に過ぎないのでしょうか。

 

林: これは境界性パーソナリティ障害の大きな特徴の一つである「見捨てられ不安」「見捨てられ抑うつ」に一致した症状です。しかしこの症状があるというだけで境界性パーソナリティ障害であるとは診断できません。

自分の自覚する対人恐怖症

とありますが、

講義などで教室に座っていると、周りが自分を見ているのではないかという考えが頭から離れない。ありえないと否定しても、周りを見渡す事ができない

これは対人恐怖症とは全く異なりますので、質問者を対人恐怖症であると考える根拠はありません。
小学生時代のいじめの体験は現在の症状(=見捨てられ不安、見捨てられ抑うつ)に関係しているかもしれず、するとトラウマに関連した症状ということになります。
境界性パーソナリティ障害自体、トラウマに関連しているという説もあり、そうなると診断名についての考え方は複雑になります。

この【4395】で確実に言えるのは、最初に述べた通り、
「見捨てられ不安」「見捨てられ抑うつ」に一致した症状がある
ということにとどまります。

(2021.10.5.)

05. 10月 2021 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A