【4244】チックと強迫性障害の関係
Q: 20代女性です。覚えている限りでは小学校低学年の頃から現在まで、右手で触ったものは左手で触らないと気が済まなかったり、横断歩道で白い線を靴のかかとで踏んだら爪先でも踏まないと気が済まないという典型的な強迫の症状があります。
また、頭の中で音楽が鳴っていて(いわゆるイヤーワーム)、その音楽に合わせて呼吸やまばたきや舌の出し入れ、歯をカチカチと噛み合わせる事などをしなければ気が済まず、「譜面」(頭の中に譜面があります)通りにそれらが出来ないと最初からやりなおさなければならない強迫的な症状があります。
その行為が傍から見てチックに見えるようで、親にはチックではないかと言われたり、勉強に集中しろと注意されたり、小学生の時友人から「○○ちゃんはまばたき病だね」と指摘されたこともあります。
強く意識すればそれらの行為を我慢することもでき、また、何かに強く集中しているときは行為を忘れることもあります。しかし普段の生活の中で無意識のうちに頭の中で流れる音楽に合わせる行為を行っていることもあります。この行為がやめられず、苦しいときもあります。
調べてみた所チックは不随意運動だとするサイトや書物もあるのですが、医学的に見て私はチックなのでしょうか?
【2547】で強迫行為とチックは関連があると書いてありましたが別のものなのでしょうか?
もし私がチックではないとしたらチックと強迫性障害から来る行為の違いを教えて頂けないでしょうか?
林: チックとは、「突発的な動き(運動や声)」が「本人の意思とは関係なく発生する」ものを指します。この【4244】の質問者の、「呼吸やまばたきや舌の出し入れ、歯をカチカチと噛み合わせる事など」は、「頭の中で音楽が鳴っていて(いわゆるイヤーワーム)、その音楽に合わせて・・・しなければ気が済まず」というものですので、「突発的な動き」ではあっても「本人の意思とは関係なく発生する」ではないので、チックとは異なります。もっとも、チックであっても、主観的には「それをしないと気が済まない」と感じているケースもあるのですが、この【4244】では「「譜面」(頭の中に譜面があります)通りにそれらが出来ないと最初からやりなおさなければならない」とのことですので、他の人からはチックに見える動きであるものの、本人の意思でしていることは明白で、したがってチックとは言えません。
治療の有無についての記載がありませんので、治療を受けておられるか否かが不明ですが、この症状は強迫性障害の治療によって改善することが期待できます。
なお
【2547】で強迫行為とチックは関連があると書いてありましたが
これは【2457】を誤読しておられます。【2457】の記載は、「チックと統合失調症の両方が存在しやすい家系が存在し、その家系では強迫症状との関連も見られる」ですのでもう一度ご確認ください。つまり、これはあくまで特定の家系についての記載であって、「強迫行為とチックは関連がある」という記載ではありません。
(2021.2.5.)