【3919】突然離婚請求をしてきた妻は精神疾患なのでしょうか

Q: 現在、妻から、代理人弁護士を通じて、離婚請求されています。
私は30代、妻は20代、子供は3歳です。
今年の夏、仕事から帰ると、子供を連れて、実家に帰ってしまい、別居が始まりました。それ以降、一切、連絡は取れていません。
離婚についての話し合いは一切なく、突然のことでした。代理人を通じて聞いた離婚理由は、私の「高いものを買うなよ」という言葉と言い方(理屈っぽく言う所がきつく感じたようです)が嫌だったとのことでした。私に不貞や暴力はありません。「高いものを買うなよ」というのは、確かに言っていましたが、私が贅沢したかったり、意地悪をしたいからでもありません。単純に、貯金したかったからです。とは言うものの、妻が欲しいものは割と買っていて、後述になりますが、やりたいこともやらせていました。

しかし、代理人を立てるぐらいなので、妻の意志は固く、基本的には、離婚に合意する方向で考えています。ただ、妻の心身の健康状態が気になるため、それが解消(正常であることが証明)されることを条件にしています。

妻の心身の状態が気になり始めたのは、今から1年半前に遡ります。
去年5月、その日、旅行に行くため準備をしていました。子供のおむつをかえていた妻に、「電車が来るから早く行こうよ」と言うと、突然、子供を置いて家を飛び出しました。その日は連絡もつかず、翌日、近所の警察から連絡があり、妻がきているということで、迎えに行きました。
妻は、家を飛び出した後、区役所かどこかに相談に行き、そして、警察に向かったようです(区役所から警察へ行った詳しい経緯は不明。泣く子供を置いて出て行ったことに怒りを覚えた私は、妻に、「もう離婚しかない」といってしまったので、それで警察に行ったのかもしれません)。その警察官は、DVなどの家庭問題を担当されている方でした。その警察官からは、「奥さんは育児ノイローゼだと思います」という話をされました。
私は転勤族で、私も妻も周りに親族がおらず、育児は妻中心(住んでいた社宅では、私自身、イクメンと言われていましたが)でしたので、そうなってしまったのかもしれません。
その一ヵ月後、妻は、突然の頭痛に襲われ、救急車で緊急搬送。検査の結果、特に異常はありませんでした。
その一ヵ月後ぐらいに、趣味で行っていた絵画を本格的に勉強したいということで、関東にある私の実家で生活したいという話になりました。「実家には私の親もいるし、趣味の絵画ができるなら、育児ノイローゼも軽減するのでは」と考え、妻は子供を連れて、私の実家で生活するようになりました。
私も、関東への出張が、月に1、2度ありましたので、その都度、実家に帰ったり、将来どこに家を買うかなど話し合ったりするなど普通に過ごしていました。

しかし、今年に入り、再び気になる行動が出てきました。
まず、私のことを極端に嫌うようになりました。妻に触るだけでも、私をつねったり、突き飛ばしたりするようになりました。
さらに、政治に急激に関心を持ち始め、テレビの国会番組を録画し、深夜に見るようになっていました。ある時は、不適切な発言をした大臣(実際に不適切な発言はありました)の事務所に抗議の電話をするようになりました。
また、ある日、「○○銀行(大手)が潰れる」と言い出し、○○銀行にあった口座を、別の銀行口座に変えてしまいました。理由は、○○銀行が、海外のクラスター爆弾を作っている企業へ投資していたというニュースを見たからだそうです(実際にそのニュースはありました)。

離婚請求を受けた後、これらの行動が引っかかっていたため、子供や出産後の母親のこころの問題に詳しい医師のもとを訪れ、相談しました。その医師は、妻は、育児ノイローゼや産後うつではなく、統合失調症または発達障害の可能性が考えられるということでした。
しかし、上記した行動以外、特に異変を感じませんでしたので、私自身にわかに信じがたいというのが正直なところです。

妻は何らかの精神疾患の可能性があるのでしょうか? 子供への影響も含めて、アドバイスをいただければと思います。

長文になりましたが、何卒、よろしくお願いします。

 

林: 「配偶者が急に離婚すると言い出した、配偶者は精神疾患なのではないか?」という質問に対しては、それが一方の当事者からの見方である以上、【3525】突然離婚を切り出した妻は精神疾患ではないかの回答のように、「わかりません」が妥当であるというのがひとつの正当な考え方ですが、離婚を言い出した配偶者について、さらに追加情報があれば、判断は変わる可能性があります。たとえば【0910】突然離婚すると言い出した妻は統合失調症なのでしょうか【1660】夫に突然離婚すると言われました などは、統合失調症の症状からくる離婚請求であることが明らかな例です。

この【3919】のケースも、奥様はおそらく統合失調症でしょう。奇異といえる感情の突然の変化や、これまでと異質な行動や関心、すなわち「政治に急激に関心を持ち始め」、そして、銀行についての被害妄想的な言辞を総合すれば、統合失調症発症の可能性は著しく高まります。相談を受けた医師が奥様の診断は統合失調症または発達障害の可能性ありという見解であることもそれを支持します。

基本的には、離婚に合意する方向で考えています。ただ、妻の心身の健康状態が気になるため、それが解消(正常であることが証明)されることを条件にしています。

とのこと、それは適切なお考えであると思いますが、離婚調停等の段階で「病気ではない」などの診断書が出されてくる可能性もあり(それは、たとえば、奥様の希望を受けて、そのように診断してくれる医師を弁護士が探した結果として出されるなどが考えられます)、質問者には、奥様とお子様のためにも、強い意志を持って、真実(病気であるという真実)をはっきりさせることを強くお勧めします。

子供への影響も含めて、アドバイスをいただければと思います。

同じようなパターンの結果、妻だけでなく子供が悲惨な状態になっている実例として【1647】突然離婚すると言い出した妻・・・話を聞くと妄想があるようなのですが とその後の経過の【1753】父から引き離され、統合失調症の妻に引き取られた子供の激しい精神症状をご参照ください。この【3919】もこのままでは同じような事態になりかねません。

(2019.11.5.)

05. 11月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |