【3828】トンデモない精神科医

Q:  私は30代女性です。 私は今怒りで震えています
先生はVという医師?をご存じですか
Kindleの読み放題で、統失に関する本をパラパラと読んでいて彼の作品も読んでみました(正確にはチラ見です)
彼はトンデモないですね。果たして本当に精神科医なのでしょうか
彼のような医師がいる限り、統合失調症患者は苦しむ事になりますよね、薬物療法は悪のような言い方をしていました。すみません、不快すぎてすぐに読むのをやめてしまい、あまり内容は覚えていませんがそんなことが書かれていました。
ネットでも、彼の信者が統合失調症の家族に薬物療法を止めるように言ったとか、薬物療法の悪について語っていて目眩がしました。

私は家族が統失になって色々調べていて、VRで統合失調症の幻聴が体験できる、というのをネットでみて、早速やってみました。
ぼんやりしたイメージだった幻聴、幻覚が、患者にはこんなにハッキリ、本当にその人にとっては現実に起こっているんだと分かりました。患者のつらさが少しですが分かりました

統合失調症は100人に1人かかるのに、まだまだ偏見がありますね。有名人でも公表されている人はいますが、もっと沢山の人がカミングアウトできる世の中になればいいなと思います。
統合失調症の悪いイメージは事件などで度々目にしますが、薬飲めば普通の人と同じくらい活動できるんだよ! っていうことが広まればいいなと思います。
そうすれば、悪化が良貨を駆逐ではなく、良貨が悪貨を駆逐…Vさんのようなトンデモ医師がはびこらなくなるかなと思ってます。

 

林:  以下は、V医師(メールには本名が記されていましたがここでは伏せることにいたします)の診療を受け続け、その後に私が診察することになったある一人の患者さんについての実話です:

その方は30代の既婚男性で、数年前から統合失調症を患っておられました。主症状は被害妄想で、大きな組織が自分を監視し、危害を加えようとたくらんでいるというものでした。統合失調症の妄想として、かなり典型的なものです。
彼は精神科を受診し投薬を受け、妄想はいったんほとんど消失し、仕事もできる状態まで回復しました。しかしご本人も奥様もできれば薬をやめたいと思い、主治医に相談し徐々に薬を減らしてみたのですが、すると妄想が再燃してきたため、薬は当初の量よりは減らすことはできたものの、それ以上は減らすことは困難であると主治医から説明されました。
ご本人と奥様はそれを残念に思い、セカンドオピニオンを求めて他の複数の精神科医を受診しましたが、やはりこれ以上は薬は減らせないと説明されました。
それでも何とかならないかと考えた奥様は、ネット等で、薬を使わずに統合失調症を治療してくれる医師を探し、V医師にたどりつきました。
V医師から、薬をやめられると説明されたご本人・奥様はとても喜び、それからはV医師が処方した漢方薬だけを飲み、それまでの薬は完全にやめました。

その結果、統合失調症の症状が再燃し悪化していったのは当然です。

統合失調症が再燃したときの常の通り、前と同じ妄想が強まってきました。大きな組織が自分を監視している。危害を加えようとしている。そしてさらにご本人は、奥様がその組織の一員であると確信しました。

そして彼は、奥様を殺害したのです。

(2019.5.5.)

05. 5月 2019 by Hayashi
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