【3721】母の再発を心配するのは私の気にし過ぎでしょうか

Q: 私の家族について質問させてください。
私は30代女性で、同じく30代の兄弟が2人おります。母親が、統合失調症ではないかと考えておりますが、兄弟で、母親の症状に対する認識が大きく異なることに気が付きました。ちなみに母親からは不調の原因について、主治医から「自律神経失調」と説明されています。「統合失調症ではないか」というのは私の推測です。

質問1.母は統合失調症の可能性が高いでしょうか。
質問2.同じ家で暮らす家族(同世代の兄弟)にもかかわらず、家族の認識が異なるのはなぜでしょうか。

母親の症状について説明します。母親は専業主婦をしておりましたが、40代半ばより「なんとなく調子が悪くて動けない、起きられない」という症状に悩まされはじめました。ある時、新聞の集金が来たので寝込んでいた母を呼びに行ったところ、突然私を抱えて「出てはいけない!外は悪い奴がいっぱいだから!」と言われ、結局新聞の集金が帰るまで二人で息をひそめていました。また、父方の祖母(母からすれば姑)は宇宙から来た悪い奴で、本当のおばあちゃんは別にいる、と言ったり(冗談という感じではなく、図解付きで詳しく説明された)、「子どもの頃の○○(母からすれば夫)がそこにいる、恥ずかしがって隠れてしまったけど…出ておいで」などと言うこともありました。突如激高し、父親に暴力をふるったこともあります。原因は、母親に頼まれて買い物をしてきた父親が代金を請求した、というような、普通であれば怒るような場面ではありません。

父親は何度も受診を進めましたが、母親はかたくなに拒否していたそうです。そこで母親の両親に相談し、母の実家で療養し、そこで受診も促してもらいました。実の親の勧めにより、神経内科や精神科を表号する町の医院にかかり、母の症状は徐々に軽快していきました。「おかしな言動」がなくなるのに1か月位、 普通に朝起きられるなど「元気になった」と感じるには数か月かかったように思います。現在も同じ医師にかかり、ロヒプノールとリスペリドンの内服を続けて います。症状は、全くないようです。
当時のことは、なんとなく話してはいけないことのような気がして、家族でもあまり話しません。ただ、「お母さんはこういう気質(持病?)があるから見守っていかないとね。」という話をさりげなく兄弟でしても、「まあ調子悪い時もあったけど、今は治ったでしょ。」「気にしすぎでしょ。」という反応です。今は両親二人暮らしで、母がストレスをためないよう、父がフォローしてくれているのですが、もっと歳を取った時のことが心配です。兄弟の言うとおり、気にしすぎなのかもしれませんが……私としては、せっかく兄弟3人いるので、「何かのきっかけで悪化するかも」という気持ちを共有しておきたいです。

 

林:
質問1.母は統合失調症の可能性が高いでしょうか。

はい、統合失調症の可能性が最も高いでしょう。

質問2.同じ家で暮らす家族(同世代の兄弟)にもかかわらず、家族の認識が異なるのはなぜでしょうか。

「同じ家で暮らす家族」というのは、同世代のご兄弟に共通する要因ではありますが、一つの要因にすぎず、共通しない要因は膨大にあるわけですから(精神科についての知識もその一つです)、認識が異なるのはごく自然なことです。

兄弟の言うとおり、気にしすぎなのかもしれませんが……

そうではなく、質問者以外のご兄弟が、現実を直視していない、または、直視しようとしていないということです。ご兄弟は事実願望を混同していると言ってもいいでしょう。

私としては、せっかく兄弟3人いるので、「何かのきっかけで悪化するかも」という気持ちを共有しておきたいです。

是非そうされることが求められます。それが何よりお母様ご本人のためでもあります。現実の否認は将来に大きな禍根を生むものです。

(2018.9.5.)

05. 9月 2018 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症