【3715】統合失調症と思われる症状への自己対処法の有効性 (【3702】のその後)

Q: 【3702】病気ではないと思っていたのですが、最近また異変を感じています で回答いただいた20代女性です。
私の質問に回答をして下さって本当にありがとうございます。
頂いた回答に統合失調症かもしれないという事が書いてあったので、もう一度こちらの精神科Q&Aの特に【2000】から【2078】のところをよく読んでいました。
そこでは同じような事をおっしゃってる方が多く、また思い出したり気が付いた事があります。
10年前にあった事は、「気にする必要がなくなるように」してきたため、今は無くなったのだという事です。
具体的には、
・ある人物に自分の連絡先を詐欺サイトなどにばら撒かれ、迷惑メールが届くようになった
→メールのフィルターでほとんどのメールを拒否、電話は家族と職場の人以外は出ない。自動車のディーラーだと分かっても出ない。
・自分の顔が気持ち悪すぎて笑われる、気持ち悪がられる、噂される、気持ち悪いことに気がつくと鏡を長い時間見続けてしまう、毛抜きを2時間続けてしまう
→鏡を見るのをさける、写真を撮るのを避ける、化粧するときは眼鏡やコンタクトをしないでボヤけたまんま鏡を見る、他人がいるところでは仕事中でもマスク常時着用
・お店や電車などの人混みで、悪口を言われたり、考えていることを無意識に口に出してしまっていて、それについて何か言われた気がする
→人が多いお店に行かない、電車に乗らない。やむをえない時は入り口の所で、ずっと窓の外を見て誰とも目を合わさない。
・臭いと言われる
→朝必ずシャワーを浴びる、制汗スプレー、なるべく人に近寄らない
・後ろに人がいると、おならのことが気になって仕方なくて、その場にいられない
→並ばなければならない場面を避ける、やむをえない場合は横を向いて後ろに誰もいない状況にする、何とか他の事を考えようと努める
・知らない人から食べ方が気持ち悪い、ゴリラみたいと言われる、ゴリラという単語が聞こえると自分が見られていると思う
→個室のところでなるべく食べる。外食のお誘いはなるべく断る。忘年会などは、取り分ける役に徹して、なるべく食べない。未だにフードコートなどでは、気になって食べるのが遅いか、ほとんど残してしまう。
・近所を出歩くと、化け物でも出たかのような目で見られる、うわっと言われる、ヤバイ、キモい、イタイと言われる
→近所を出歩かない、出歩くのはほぼ玄関から駐車場までだけ、洗濯物は、まずバスタオルなど大きいものを先に干し、隠れながら干す。聞こえたらドキッとするが、聞こえてないふりをして強気になる。
・引きこもっていた頃、自分を外に出すために、家族が番組に何かを送って、引きこもりの話や無職の話などを放送している、自分のことをテレビでやっている、監視カメラで撮られているかもしれないと思っていた
→あらゆる角を睨みつけたり中指を立てたりしていたが、今は、本人の許可なく撮影は出来ないこと知ったのでそんな事はあり得ないと思っている

長くなってしまってすみません。このような感じで対策を取ったため、無くなったのだと思います。これからもこのように意識していくつもりですし、【3702】で相談させて頂いた件は、その上司と会話を避ける、一緒の場にいるのを避けるといった対策を取っています。自分はもう人間とは思えません。けれど誰にも迷惑がかからなければそれで良いです。家族に迷惑がかかるならその時は死にます。というより、母に死ねと言われた気がします。テレビのニュースを見た母がこういう子は早く死んだ方が良いと言っていました。私のようなのと照らし合わせたんだと思います。自業自得です。でもスッキリしました。今まで不快な思いをさせてしまっていたら申し訳ありません。本当にありがとうございました。

 

林: 経過のご連絡をいただきありがとうございました。ご自分の努力により改善されたのは大変喜ばしいことです。質問者の取られた努力の内容は、類似の症状に悩む方々にとっても大いに参考になる対処法だと思います。今後の安定とさらなる改善を願っております。

ただし、この対処法と病状・経過の関係については、慎重な判断が必要です。

10年前にあった事は、「気にする必要がなくなるように」してきたため、今は無くなったのだという事です。

と質問者は判断しておられますが、そのような対処法によって症状が軽くなるケースはごく一部だということです。多くの場合は同時に服薬をすることで初めて改善が得られるものです。ですから、第一に、類似の症状に悩む読者の中で、薬を飲まずにこの【3715】の対処法だけで病気を良くしようとするのは大変危険です。
第二には、この【3715】の質問者についても、ここまではご自分の努力で病気を克服されてきましたが、今後も同じように克服し続けることができるかどうかはまだわからないということに留意する必要があります。
したがって、

このような感じで対策を取ったため、無くなったのだと思います。これからもこのように意識していくつもりです

その意識はぜひ続けることが勧められますが、それだけで大丈夫だと楽観することは禁物です。

さらに言えば、【3715】に書かれている対処方法で本当に十分によくなっていると言えるかどうかについても慎重に判断する必要があります。
質問者が取られている対処法の多くは、「つらい場面を避ける」が基本であるとみることができます。対処法の一部を抜粋しますと、

鏡を見るのをさける、写真を撮るのを避ける、化粧するときは眼鏡やコンタクトをしないでボヤけたまんま鏡を見る、他人がいるところでは仕事中でもマスク常時着用

人が多いお店に行かない、電車に乗らない。やむをえない時は入り口の所で、ずっと窓の外を見て誰とも目を合わさない。

なるべく人に近寄らない

並ばなければならない場面を避ける

個室のところでなるべく食べる。外食のお誘いはなるべく断る。忘年会などは、取り分ける役に徹して、なるべく食べない。未だにフードコートなどでは、気になって食べるのが遅いか、ほとんど残してしまう。

近所を出歩かない、出歩くのはほぼ玄関から駐車場までだけ、

などで、いずれも「つらい場面を避ける」というパターンで、その結果として行動範囲が大きく制限されているとしたら、それを改善したと言っていいかどうかは微妙です。【3715】のケースの以前の引きこもり状態に比べれば格段に行動範囲は広くなっていると言えるかもれませんが、それは以前と比べて相対的にみればそうだということであって、一般的にみて行動範囲が十分に広いか、また、引きこもりの傾向がないと言えるかは別の話です。
実際に他のケースでは、ご本人的にはつらい場面を避け行動範囲を制限することでよくなっていると自覚されていても、客観的にはほとんど引きこもりであるということもしばしばあります。

以上、この回答の冒頭に記した通り、ご自分の努力で改善されたのは大変喜ばしいことですが、この対処法と病状・経過の関係については、慎重な判断が必要です。

(2018.8.5.)

05. 8月 2018 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症