【3696】義姉の物忘れについて

Q: 実家に住む兄嫁(43歳)についてです。 私は40代女性です。

最初に義姉の異変に気付いたのは母でした。
冷蔵庫の中にある食材について聞いたところ 「私は買ってない」「知らない」とのこと。
後日、判明したのは姉が実家からもらってきたものだったのですが義姉は思い出せないままでした。
その頃はまだ、忘れっぽくなったね、と笑っていられたのですが

・私が顔のシミ取り予約をしたと話した時、「私も行きたい」と、治療の流れや、金額についてあれこれ質問し「私も予約しようか」などと散々悩んでいたのに、数か月たち(多分10か月くらいだったかと) 「来週いよいよシミ取りの日」と話した時には記憶の中から削除されていました。

・1年前、義姉が大好きなアーティストのコンサートに私が友人と行くことになった時も「いいなぁ」「うらやましい」と大騒ぎし、帰ってからも「どうだった?」と感想を聞いてきたのに、先日、またしてもこのこれらは義姉の記憶から完全に削除されていました。

・昨年の義姉の誕生日にクラッチバッグをプレゼントしたのですが 、先日、「最近、クラッチ流行ってるんだねぇ。私も買おうかな」と言い 「去年の誕生日にあげたよ、色も選んでもらって、緑にしてたよ」と答えると全く記憶にもなく、バッグも無いとのことでした

同居してない私でも数々の驚きエピソードがあるので、毎日一緒にいる母にはさらにたくさんのエピソードがあるようです。

さすがに、放置できないと思い、兄に相談のうえ、義姉を脳神経外科に連れていきました。 長谷川式、MRIなどすべて「全く問題ありません」との結果でした。

義姉には日記をつけるように勧め、実践しているようです。
最近は、職場でも「え?覚えてないの?」と言われることが増えたと話しています。今のところ、仕事や日常生活に支障はありません。
ストレスや不安に感じていることもないと言います。

こちらが、指摘しても「そうだったね」と思い出すことが一切ないことがとても不安です。
エピソードはどれも1年ほど前の記憶についてですが、母によると数日前のことでも記憶がないこともあるそうです。

精神科の受診も検討していますが、本人もあまり気が進まないようで、無理強いはできません。

単なる【忘れっぽい】で済ませてよいのでしょうか。
何か精神疾患でもあるのではと家族で心配しています。
こちらが指摘しても「そうだったね」と全く思い出さないことがとても不安です。

 

林: かなり明確な記憶の欠損があるのに、本人が深刻に考えていない点、また、記憶障害以外には問題がない点(と思われる。書かれていないので ない と一応判断しています)をあわせると、解離の色彩がある記憶障害であると言えます。

義姉を脳神経外科に連れていきました。 長谷川式、MRIなどすべて「全く問題ありません」との結果でした。

とのことですが、解離性健忘であればほとんどの検査で何の異常所見も見られないのが普通です。また、これだけの記憶障害のエピソードがある以上、検査で問題がないからといって「問題なし」と結論するのは医療として不合理でしょう。

質問文には

記憶の中から削除されていました。

またしてもこのこれらは義姉の記憶から完全に削除されていました。

などと書かれていますが、「記憶から削除されている」という表現にはすでに質問者の解釈が入っていますので、本当は解釈の入っていない事実についての情報がほしいところです。つまり、このような出来事の話になったとき、本人がどのような反応をしたかのということが、診断のためには重要な情報です。

いずれにせよこれは

単なる【忘れっぽい】で済ませてよい

というレベルの問題ではありません。

(2018.7.5.)

05. 7月 2018 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A