【3431】うつ病の人には努力は必要ないんですか

Q: 30代女性です。私は22歳頃から、生きる事が苦しいです。生きている意味がわかりません。私は甘やかされて育ちました。怒られて外に出されたら、親が困るのがわかっててどこかへ1人で行ってしまうタイプでした。嫌な事、出来ない事はやらず、逃げてきました。

ちょうど22歳の頃中絶をし、相手がとても対応が悪く傷付いたので、その彼とは別れ、その時に一度だけリストカットしました。しばらく付き合わないつもりでしたが、何度も言い寄られた相手と付き合いました。でもすぐにワガママを理由に振られ、その後男は信用しないと決めて付き合う事をしませんでした。その間も男性と身体の関係はあったものの、心は渡さないと決めていました。

25歳の頃出会った人がいて、その人は失いたくないと思い、付き合いました。彼も小さい頃親との関係が悪く病んでいたようで、自分は30歳になったら自殺しようとしていた事、それが私に出会って変わった事、この世で信用してるのは私だけだと、付き合ってるしばらく経ってから聞かされました。付き合って一年、結婚の話も出ていましたが、些細な事でケンカをし、彼は私の事が信用出来ないと言い振られました。そしてその翌日彼は自殺しました。

その時、私の未来もなくなったと思いました。ただ、私の精神は壊れませんでした。彼の死を知らされた時も冷静な自分がいました。それからひたすら泣き続け、何かを変えてほしいと思い心療内科に行きましたが「今泣く事は自然な事なので泣いてください」と言われ、何も意味を成さず、信頼も生まれませんでした。それからは睡眠薬だけもらいに行っていました。友達に話した方がよっぽど救われました。
その頃は夜中に眠れず、泣きながら友達に電話をする事がしょっちゅうでした。友人には本当に感謝しています。彼が亡くなったのは私が仕事を辞めてすぐだったので、その時無職でした。日々泣いて、眠っての繰り返しで、苦しさから逃げるために仕事をしようと決めました。でも面接に行って帰ってきてから、仕事なんかしても彼は戻らない。意味ない。と思い、死のうと決めました。何度かトライしましたが死ねず、今に至ります。支えてくれた周りの人への恩返しというか、義務感で生きている感じです。それからは仕事や、新しい事を見つける事で、ひたすら走り続けてきました。でも仕事を変えるタイミング等、暇な時間が出来ると部屋に篭り、落ち込み、泣いて生きてる意味がないと考えます。

彼がいなくなってから、諦めが早くなりました。それは自分の心を守るためのような気がします。かけがえのないものを作ると失った時痛いから。現在、彼の死から7年経ちました。最近になってやっと睡眠薬をやめました。彼がいなくなって、私は一生彼を想い続けていこうと思っていましたが、残念ながら他の人を好きになりました。最初は、こんなはずじゃなかったと拒絶し、年を重ねるごとにある意味恋愛のリハビリをしつつ、今つき合ってる人がいます。ただ、私は恋愛に限らず、仕事でもなんでも、嫌な事があるとすぐに死にたいと考えます。よく友人に言うのは、消えたい、という言葉です。辛い思いをしてまで生きていく意味があるとは思えません。

今の彼はうつ病です。不安症もあります。症状を聞く限り擬態うつ病ではないと思います。1日の大半寝ています。

私はうつ病だったのでしょうか?看護婦のいとこには最近、うつ状態だったのではと言われました。

私は、うつ病と診断されたわけではないし、行動して、考え方を変えて、考える事をやめて、努力して走り続けてきました。

なので彼のうつ病を理解する事が難しい。合う薬が見つかるのを待ち、1日の大半を寝て過ごし、行動しない。最初はカフェやジムに行ってましたが最近はほとんど家から出ません。なんで悪化したの?と聞くと、薬の耐性の問題で効かなくなったからだといいます。看護婦のいとこには、やろうとしてる事も出来ないのがうつ病、だから彼はうつ病、私のはうつ状態だったんじゃないかと言われました。

うつ病がよくわかりません。不安症や不眠にはセロトニンを増やすといいと聞きました。人の幸せは、人と関わる事にあると思います。

夕方に起き、出かけず、また寝る。そんな生活でうつ病は改善するものですか?悪循環としか思えません。

うつ病だから何もしなくていいんですか?早く治りたい気持ちがあるなら、ちょっと無理してでも行動した方が良くないですか?私は行動して改善してきただけに、彼の病気への対応が理解できません。うつ病の人は努力は必要ないんですか?

 

林: まず、この【3431】の質問者の今の彼がうつ病であるか、これだけの記載ではわかりません。

症状を聞く限り擬態うつ病ではないと思います。

質問者によるこのような自己判断は、具体的な症状の記載が乏しいこととあわせ、診断のための情報としての価値がありません。
したがって、以下の答は一般論であり、質問者の今の彼とは無関係です。

 

夕方に起き、出かけず、また寝る。そんな生活でうつ病は改善するものですか?悪循環としか思えません。

うつ病のある時期においては、そのような生活のほうがむしろ回復を促進します。悪循環ではありません。但しそれはその人が「うつ病」であって、しかも「ある時期」という限定つきです。

うつ病だから何もしなくていいんですか?

うつ病のある時期においては、何もしないほうがいいです。

早く治りたい気持ちがあるなら、ちょっと無理してでも行動した方が良くないですか?

周囲の方のそのような考え方が、うつ病の人を責め、うつ病を悪化させ、時には自殺に追い込みます。

私は行動して改善してきただけに、彼の病気への対応が理解できません。

自分の経験を根拠なく一般化することは誤りです。そのような考え方・接し方が、うつ病の人の回復を大きく阻む例は膨大にあります。

うつ病の人は努力は必要ないんですか?

うつ病のある時期においては、努力しないことが回復への最善の努力です。
なお

不安症や不眠にはセロトニンを増やすといいと聞きました。

そういういい加減な情報を信じてはいけません。正しいのは「セロトニンが関与している」というところまでです。そこから先は現在の医学・科学では推定の域を出ないか、少なくとも臨床に実用できるレベルの知見ではありません。

(2017.5.5.)

05. 5月 2017 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 擬態うつ病, 精神科Q&A, 自殺