【3414】90歳の母に突然幻覚妄想が現れ、数ヶ月続いている

Q: 90歳の母のことです。私は息子(60代)です。
母は6か月前に胸椎を圧迫骨折して総合病院に入院しましたが せん妄様症状がひどく同室の患者さん、看護師さん等に 暴言 不眠 服薬拒否 妄想(見張られ妄想が主)等で 半強制退院となりました。
退院後も 妄想、独語が続き 介護拒否 服薬拒否等が数か月たった現在も続いています。想(見張られ妄想が主)私の娘、母の孫は統合失調症です。主治医(精神科医)は90歳で統合失調症は発症しないといいますが 娘と同じような症状を目の当たりにすると 統合失調症そのものと思ってしまいます。
既往の病で数年来ブレドニン5mgを服用しています。
気のせいもあるかも知れませんがセロクエルを1週間ほどのめるときは少しましになるように思われます。
以下の点についてお聞きします
・90歳になっても統合失調症を発病することがあるのか
・診断はともかく 統合失調症様症状にたいして第一の治療選択薬は
以上のことをお尋ねします

 

林: せん妄が長引いていると考えるのが最も普通ですが、情報が不十分なこともあり何とも言えません。

第一に、最も重要な事項である症状が不明です。

暴言 不眠 服薬拒否 妄想(見張られ妄想が主)等で 半強制退院となりました。
退院後も 妄想、独語が続き 介護拒否 服薬拒否等

このように単語を並べただけでは、ほとんど何もわかりません。すなわちたとえば「妄想」と書かれていますが、それが本当に精神医学的な症状としての妄想かどうかが判断できません。
もっとも

妄想(見張られ妄想が主)

と書かれていることと、経過からみれば、せん妄によるものと考えるのが普通です。
しかしそう判断するとしても、症状の描写とはっきり言えるのはこの「妄想」だけで、「暴言」や「不眠」については、具体的な記載がなければ、何の症状と考えるのが適切かわかりません。

また、

娘と同じような症状

と書かれていますが、どこがどう同じなのか、またそもそも同じといえるかどうかもわかません。

それから

既往の病で数年来ブレドニン5mgを服用しています。

これも重要なことで、いかなる病気をお持ちなのかという情報が必要です。ステロイドをおのみになっているということは、たとえば膠原病が考えられ、その膠原病そのものの症状として幻覚や妄想が出ることがあるからです。また、ブレドニンによる精神症状ということも考えられます。おそらくこれまではこの量のブレドニンで精神症状は出ていなかったと推測できますが、今回のように身体状態が悪化したときには、それまで出なかった副作用が出ることがあるからです。膠原病による精神症状についても同じことが言えます。

以上、不明な点が多すぎますので回答困難ですが、それでも最も可能性が高いのはせん妄が長引いている状態だと思います。

ご質問についての回答は次の通りです。

・    90歳になっても統合失調症を発病することがあるのか

「ことがあるのか」という問いに対する答は常に イエス です。ただし「90歳になっても統合失調症を発病すること」は、「まずない」とまでは言えます。

・診断はともかく 統合失調症様症状にたいして第一の治療選択薬は

このケースはせん妄と思われますので、薬は使わないのが理想です。しかし理想は理想であって、症状が強ければそうは言っていられないことはよくあります。そのような場合には抗精神病薬を用いることになります。

(2017.5.5.)

05. 5月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |