【3388】急に人格が変わってしまった同僚

Q: 20代女性です。
以前同じ職場で一緒に仕事をしていた男性社員(20代後半)が、長期休暇の後に急
に人が変ってしまったようになり、もしかしたらと思い、質問させて頂きました。

その男性社員の方は、以前はとてもフレンドリーな性格だったのですが、最終的にチームを外され、一緒に仕事をする事も全くなくなり、今はどうしているか分かりません。当時私はとても混乱してしまい、なかなか他の社員に相談する事もできませんでした。
以下にその時の状況をなるべく客観的に記述致します。

・数時間の遅刻をするようになった
・急に身だしなみを気にしなくなった
⇒その方は既婚者なので、不可解でした。

・「いつもニヤニヤ自分を笑っているように見える」と言うようになった
⇒どうやら私が、その方を仕事中ずっと笑っているように感じる模様でした。
言われた私はショックだったのですが、他の社員にも同じことを言っているという事がわかり、(他の社員から同様の事を言われたと打ち明けられた)その時は自分は安心したのですが、不気味でした。

・他社の人の書いた書類を丸めたり、ペンでバツをつける
⇒本人は「添削をしている」と言っていました。こちらもとても不可解でした。

・冗談が通じなくなった

・仕事中に突然、業務とは全く関係のない事を言い始める
⇒たとえば「キャバ嬢のように見られない方法」などです。以前はよく業務上の豆知識などを良く教えてくれていたのに、全く理解できない事を言うようになり、とても混乱してしまいました。

以上のような内容です。
これらの変化(?)は、ストレスによるものなのでしょうか。
それとも、別な原因があるのでしょうか。

林:
これらの変化(?)は、ストレスによるものなのでしょうか。

その推定には根拠が全くありません。質問者は、「精神状態の変化はストレスによるものである」という誤った先入観を持っておられるのだと思います。多くの方がこの先入観のために判断を誤っています。具体的にはストレスとの関係が大きくない内因性精神障害(統合失調症など)を見過ごし、悪化するまで気づかず、時には取り返しのつかないことになるという事態が発生しています。

ここまでは一般論です。
この【3388】のケースでは、

以前同じ職場で一緒に仕事をしていた男性社員(20代後半)が、長期休暇の後に急
に人が変ってしまったようになり、

まずこの書き出しの部分、「長期休暇」とはどのくらいだったのか、そしてその「長期休暇」を取るに至った経緯はどのようなものだったのか、さらにはその「長期休暇」の前に何らかの変化がその男性に見られなかったのか、が重要なポイントになります。
というのは、20代の方がこのようにある一定期間見ない間に人格が変わってしまったようになり、しかもその内容がこのメールに書かれているように、被害妄想や思考障害の色彩がある場合、最も可能性が高いのはこの男性が統合失調症に罹患したということだからです。
その観点からすれば、「長期休暇」の前に、何らかの変化(たとえば軽いうつ状態に見えるもの)があり[それは統合失調症の前駆症状または発症と考えられます]、通常なら取らない時期に「長期休暇」を取り[入院治療を受けていたと考えられます]、その「長期休暇」が1ヶ月から1年程度であったとすれば[初発で入院したとすれば、退院後職場復帰までの期間を合わせ、最低でも1ヶ月はかかります。入院だけが1年というのは長すぎますが、退院後職場復帰までの期間を合わせれば1年かそれ以上かかることも考えられます]、統合失調症に罹患し入院治療を受けていた、という推定が強化されます。

以上より回答は次の通りになります。

これらの変化(?)は、ストレスによるものなのでしょうか。

その推定には全く根拠がありません。

それとも、別な原因があるのでしょうか。

統合失調症への罹患が考えられます。しかし、情報不足で何とも言えません。

(2017.3.5.)

05. 3月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症