【3364】気分変動が激しい伯母への対応に困っています

Q: 私は20代の女性です。気分の変動が激しく、極端な言動が目立つ50代の伯母についてご相談申し上げます。 伯母は現在、息子と夫(私にとっては伯父)と義父母(私にとっては母方の祖父母)と一緒に暮らしています。夫婦共働きですが、伯父はまったく家事を手伝わず、炊事・洗濯・掃除などの家事は主に伯母と母方の祖母が担当しています。 伯母は毎日きちんと仕事をこなしているようですが、物事をなんでも自分の思い通りにしたい傾向があるため、職場での評判はあまり良くないそうです。また、家の中では息子以外の家族に対して冷たい態度をとり、その上非常に極端な言動が日常的に見られるため、家族は常に伯母に振り回され、疲れ果てている状態です。伯母の言動のうち、特に困っているのが以下の4点です。
(1)「食費の過度な節約」 伯母にはずいぶん前から作る食事の量が少ない傾向があったのですが、数年前から極端にひどくなりました。食費節約のためなのか、伯母は十分な量の食事を作らないため、家族は互いに目配せし合い、少ない食事を分け合って食べている状態です。当然空腹は満たされず、家族は間食をとることでどうにか凌いでいます。ところが一方で、伯母には作った料理を小出しにしているうちに腐らせてしまったり、せっかく買った食材を使わないまま賞味期限を切らしてしまって捨てるなど、節約とは矛盾する行動も多く見られます。
(2)「夫に対する冷たい仕打ち」 伯母は伯父の衣類をほとんど新調しないため、仕事に着ていくワイシャツでさえぼろぼろの状態のようです。それを見かねた母方の祖母が新しいシャツを購入すると、伯母は伯父に対し「それを着るな!」と言ったそうです。また、伯母は数年前から伯父の衣類の洗濯を拒んでおり、母方の祖母が仕方なく伯父の衣類を洗濯している状態です。さらに、先日伯母が部屋の片付けをした際は、伯父の衣類を新旧問わずゴミ袋に詰め込んでいたそうです。
(3)「自分のための浪費」 食費を節約する一方で、伯母は通信販売で頻繁に食品などを取り寄せ、ほとんど自分一人で消費しているようです。また、自分用の衣類をたくさん購入し、着なくなった服は誰かにあげたりすることなく、すべて捨ててしまっているそうです。
(4)「家族以外にも不親切な態度をとるようになった」 数年前までの伯母は、家族以外の人にはおおむね平静な態度で接していました。そのため、私は伯母が異常だと考えたことはほとんどありませんでした。ところが、数年前から伯母の家族以外に対する態度が悪化し始めました。たとえば今年の始め、伯母と顔を合わせた際に、私は「こんにちは」と挨拶をしたのですが、伯母は挨拶を返さず、無言・無表情のまま、後ずさりをするようにしてその場を去ってしまいました。また、今年の夏頃には、伯母にとっては義理の妹である私の母や姪である私に対してさえ、いらだちをむき出しにしたり、気に入らないことがあると感情的に怒ったりするようになりました。私は年に数回しか伯母に会いませんが、伯母の言動は年々ひどくなっているように感じられます。
伯母の家族は、伯母がどんなにひどい言動をとったとしても、伯母に正面から意見することができません。というのも、伯母の母親と母方の祖母が精神病を思わせる症状を見せており、「下手に刺激すると何をするかわからない」という不安があるためです。 これは母方の祖母から聞いた話なのですが、伯母の母親は若い頃、深いスリットが入ったスカートのような派手な服を着て町内をうろついたり、気に入らないことがあると夫の背広を燃やしたりしたことがあったそうです。しかし、現在70代の伯母の母親は、ほとんどうつ状態のようです。体の病気で入院した際は病室で暴れ、退院した後は無気力になり、今は一日中家で寝てばかりいるとのことです。また「これまでの人生で幸せだったことなんて何一つない」とも言っているそうです。一方、伯母の母方の祖母は、着物の帯がほどけてだらりと垂れ下がった状態で近所を徘徊していたことがあったようです(*その垂れ下がった帯を持って歩いていたのが当時幼い子供だった伯母の母親ですので、おそらく伯母の母方の祖母が性的暴行を受けた可能性はないと思われます)。 私は精神病に関する本を読み、いくつかの特徴から、伯母の母親と母方の祖母については双極性障害の疑いがあると考えています。しかし、伯母には数週間〜数ヶ月周期で躁とうつを繰り返すといった傾向は見られません。ただ、季節の変わり目に精神状態が悪化する傾向はあります。 情報が少なくて申し訳ないのですが、伯母が患っている精神病として、どのような病気が考えられるでしょうか。また、もし伯母が精神病ではないとしても、カウンセリングなどを受けることによって精神状態が改善する可能性はあるでしょうか。

林:
気分の変動が激しく、極端な言動が目立つ50代の伯母

確かにこの伯母様は「気分の変動が激しく、極端な言動が目立つ」と言えます。しかし逆に言うと、言えることはそこまでなので、特定の精神疾患の可能性を指摘することは難しいです。ただあまりに極端であることは確かですので、単なる性格の問題の範囲ではなさそうです。
断片的な情報の中で、注目すべきものは、

伯母の母親と母方の祖母が精神病を思わせる症状を見せており、

この家族歴です。と言ってもその「精神病」が何であるか不明ですが、

伯母の母親は若い頃、深いスリットが入ったスカートのような派手な服を着て町内をうろついたり、気に入らないことがあると夫の背広を燃やしたりしたことがあったそうです。しかし、現在70代の伯母の母親は、ほとんどうつ状態のようです。体の病気で入院した際は病室で暴れ、退院した後は無気力になり、今は一日中家で寝てばかりいるとのことです。また「これまでの人生で幸せだったことなんて何一つない」とも言っているそうです。

この経過からは、若いときに統合失調症を発症し、現在は慢性化して無為の状態になっていると推定することが可能です。

一方、伯母の母方の祖母は、着物の帯がほどけてだらりと垂れ下がった状態で近所を徘徊していたことがあったようです

これも、統合失調症と推定することが可能です。・・もちろんこれだけのエピソードでそこまで言うのは無理がありますが、他の情報とあわせればそのように推定できるということです。統合失調症という病気がとてもありふれた多い病気であることも、推定を支持する一つの事実になるでしょう。
そうなりますと、伯母様の今の状態は、統合失調症の慢性化による人格変化の可能性が高いと言えます。

私は精神病に関する本を読み、いくつかの特徴から、伯母の母親と母方の祖母については双極性障害の疑いがあると考えています。

その根拠が不明です。

情報が少なくて申し訳ないのですが、伯母が患っている精神病として、どのような病気が考えられるでしょうか。

最も考えられるのは統合失調症でしょう。伯母様の若い頃に幻聴や被害妄想のエピソードがなかったかどうかを知りたいところです。

また、もし伯母が精神病ではないとしても、カウンセリングなどを受けることによって精神状態が改善する可能性はあるでしょうか。

この症状はカウンセリングで改善することは期待できません。薬物療法が必要です。

(2017.2.5.)

05. 2月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症