【3192】イマジナリーフレンド(空想上の友人)と恋愛関係にあっても大丈夫でしょうか

Q: 25歳女性です。『精神科Q&Aに質問される方へ』を拝見いたしました。
注意事項を了解したうえでご相談させていただきたいと思います。
私は一旦親元から独立したものの、うつでの体調不良で自宅と実家を長期的に行ったり来たりしています。体調の良いときは作業所に通所し、精神障がい年金2級と精神障がい手帳2級があります。
父はアルコール依存症と躁うつ病(双極I型障害)、母と妹は病気とまではいかないようですが心療内科通院中で服薬しています。弟は中学時代不登校になり今は通信制高校に通っています。
叔父は二人共躁うつ病で、私への性的ないたずらも何度かありました。うち一人は私が11歳の時に自殺しています)

私自身は元々そんなに明るい性格ではありませんが、責任感が強い、しっかりしている、真面目だと他人から言われておりました。
ただ、小学生くらいの時から子供のように親や学校の先生に甘えるのは上手くなかったように思います。私の愛情の受け止め方の鈍さも一因であると考えています。

13歳の時にうつ病(時期によりうつ状態、反復性うつ、摂食障害)と診断されました。
同時期に父も母も精神を患い、以降心療内科、精神科に通院や入院をしております。

私の主治医は現在児童精神科専門で、入院施設のない病院です。
他の病院で入院をしていた時期(15歳、17歳、20歳)もありましたが、その後、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、うつのほうは少しずつですが確実に良くなっていると思っております。

今回お伺いしたいのは、イマジナリーフレンド(空想上の友人/以下IFと略させていただきます)と恋愛関係、もしくは友人関係を続けていても日常生活や治療に支障をきたさないかというものです。

IFが現れたのはうつと診断される2か月前(13歳)でした。
当初は『いらない自分(=今の私)を捨て、理想の自分を作りたい』という気持ちから、3姉弟の一番上だったこともあり、他人に甘えることのできる自分になりたいと考え、少し他人に甘えられ、素直で明るい、無邪気な性格のIF(女性)が生まれました。
結局それは主な人格(解離性同一性障害ではないのですが、便宜上こう呼ばせていただきます)として定着することはなく、IFとして残りました。

それをきっかけに、うつや環境の寂しさからかIFが増え、今は男女合わせて10人程度います。
どのIFも性格や年齢が違います。
私自身の感覚からすると、たとえて言うならぶどうの房・本体=自分という体、ぶどうの粒=個々の人格という感じです。

その中の一人、2番目にできたIF(男性/29歳)ともう12年ほどお互い『好きな人』という恋愛関係にあります。
中にはその人との子供であるIFも存在しています。

私より少し怒りっぽい性格ですが、心配症で、私のことは他のIFに比べるとやや甘やかしすぎな気もしますが、恋愛感情云々を抜きにしても大切な存在です。

ただ、最近年齢を重ねるにつれ、将来への不安が大きくなり(『この先両親がいなくなったら一人で生きていくのかな……』『(現実での)結婚も諦めるしかないのかな』『自分が介護状態になった時はどうするんだろう』といったこと)
お互いにこのままでいいのか?という悩みがあります。

中学の時から私自身不登校で、今まで好きな人がいたことはありましたが、お付き合いしたことがある方はいません。

恋愛関係にあるIFや他のIFは『現実に(私に)大切な人ができるならそれが一番良い』と言います。
しかし私としては表面上以上に他人と関わるのは少し怖く思え、出会いの場がないこともあり、 何より私自身、自分の外見も内面も嫌いで自信を持てず、『こんな自分を好きになってくれる他人などいない』と考えてしまいます。

このままIFとの恋愛関係、友人関係を続けているとやはり現実生活、日常生活の対人面において不都合が出てくるのでしょうか?
すでに出ている、という気もしています……。
私自身の勝手な寂しさや幼さからくる、おかしな状態なのでしょうか?

主治医にはIFがいることは伝えていますが、恋愛関係にあることは伝えていません。
「病気でなく、あなたを助けてくれるものだしうつが良くなればいなくなっていくから大丈夫」とのことです(いなくなられてしまうと、個人的にはそれはそれで不安ですが……)。

現在心理療法士によるカウンセリングも受けていますが、なかなかIFのことまでは恥ずかしさから相談できる状態になく、林先生にお伺いしたかった次第です。

現在の薬の処方は以下の通りです。

毎食後:クラシエ加味帰脾湯 2.5g 1包
夕:  コントミン糖衣錠12.5mg 1錠
ジェイゾロフト50mg   1錠
寝る前:リスミー 1mg 1錠
エビリファイ6mg 1錠
フルニトラゼパム(ビビットエース)1mg

頓服(体調に合わせ、適宜飲んでいます)
憂鬱時 ロラゼパム(ユーパン)1回2錠
不安時 デパス 1回1錠

体調の良いときに病院の作業所に月2〜3回程度通っています。

お忙しいとは思いますが、もしご回答いただけましたら大変嬉しく思います。

 

林:

結局それは主な人格(解離性同一性障害ではないのですが、便宜上こう呼ばせていただきます)として定着することはなく、IFとして残りました。

この【3192】のケースのイマジナリーフレンドは、解離性同一性障害の副人格とのいわば境界線上にあるともいうべき存在だと思います。(そもそもIFと副人格には移行があるという考え方もできます)

このままIFとの恋愛関係、友人関係を続けているとやはり現実生活、日常生活の対人面において不都合が出てくるのでしょうか?

それはわかりません。しかしそのおそれは十分にあります。

すでに出ている、という気もしています……。

そうであればなおさら、

主治医にはIFがいることは伝えていますが、恋愛関係にあることは伝えていません。

恋愛関係にあることも主治医に伝えるべきです。

現在心理療法士によるカウンセリングも受けていますが、なかなかIFのことまでは恥ずかしさから相談できる状態になく、林先生にお伺いしたかった次第です。

恥ずかしさから相談できる状態になく」という気持ちは理解できますが、今後、何らかの支障が顕在化するおそれはありますので、このサイトへの相談を機会に、ぜひ主治医または心理療法士に(両方が望ましいですが、どちらか一方でも構いません)お伝えください。

(2016.4.5.)

05. 4月 2016 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害