【3183】本当にパニック障害でしょうか、何か別の病気を併発している可能性はありますか?

Q: 林先生初めまして、私は25歳の女性です。
5年ほど前にパニック障害と診断され、今年新しく通い始めたクリニックでもパニック障害だと診断を受けました。
以下、今までの状態です。長文になります、申し訳ありません。

私は物心ついた頃から度々異常な不安に襲われ、動けなくなったり恐怖のあまり泣き出すという事が頻繁にありました。
何故か分からないけど異常に怖くなる、同時に現実が夢のような感覚になり、私がいるこの場所は本当に現実なのか、うそか夢ではないかという思いにとらわれ恐怖のあまり親や祖母に訴えるも聞き入れてもらえませんでした。
症状は記憶している段階では6歳ぐらいからあったように思います。

小学生になる1ヶ月前に家庭の事情で今の家に引越し、両親、妹、近くに住んでいた祖父母と同居を始めました。
しかし問題ごとの多い祖母と節約志向かつ几帳面な母親の折り合いが非常に悪く、毎日言い合いか母の怒る声が聞こえる生活でした。(数年後に祖母が実は統合失調症であることが判明しました)

新しい土地で馴染めなかったのもあると思いますが学校内でも謎の不安感に襲われ、そのまま高校を中退するまでほぼ不登校児でした。
高校生になっても症状は治まらず、むしろ悪化の一途をたどり。
自分の症状を打ち込んで検索をかけたところ「不安神経症」に行き当たりました。
症状は殆ど当てはまり、これだ!と思ったものの病院へ行く勇気もなくそのまま数年経過してしまいました。

今現在続いている症状は以下のとおりです
・心臓がドキドキしたり、脈拍が増加する
・手の平や、全身に汗をかく
・体や、手足がふるえる
・息切れ感や、息苦しさを感じる
・窒息感、または喉(のど)が詰まった感じがする
・めまい、ふらつき、または気が遠くなるような感じがする
・現実感が失われ、自分が自分ではない感覚が起こる
・自分をコントロールできなくなる恐怖や、気が狂う恐怖に襲われる
・このままでは死んでしまうという恐怖を感じる
・冷たい感じや、ほてった感覚がある

幼少期から強く現れているものは、現実感の喪失と気が狂う恐怖(発狂恐怖?)です。
死への恐怖も感じますが、この二つほどではありません。
身体症状よりもこの精神症状の方が辛くて、今度こそダメなんじゃないかと何度も思いました。
一番酷かったのは6年前に祖母の統合失調症が再発した時です。
祖母が入院して2ヶ月ほどたったときにブツンとスイッチが切れたように現実感がなくなりました。
水の中で外からの声を聞いているような感覚と、自分の家なのに他人の家のような感覚が3日間続き、なのに感情や自我はあるのでとても恐ろしかったです。

5年前の診察と今年の診察でなるべく事細かに医師に説明をしたところ、どちらの医師からもパニック障害だとの診断が出ました。私が薬を怖がるため処方箋は出してもらっていません。
今の医師からは「貴方は我慢をしすぎているから発作の症状が大きくなってしまう。最初に出るかもしれないと感じた段階で薬を飲んで、不安感を消してしまえば随分楽になるはず」
「現実感がなくなる、発狂恐怖もパニック障害の典型的な症状だから」と言われたのですが今までの人生で数回しか薬のお世話になったことがないために強い抵抗感を感じ、デパスとソラナックス(0.5mだったと思います)を2錠ずつもらったものの発作を起こしそうになっても手にとることができず、飲まずにとってあります。
「本当に効いてくれるだろうか」「酷く副作用が出てしまったらどうしよう」という先読み不安をしてしまうせいでもあると思います。
悪い思考をしてしまうとそれが本当になってしまう気がして、止めたいのに止められず、結局できません。

両親に自分の状態を説明もしましたが、「家の中ばかりに閉じこもっているから自分で自分を病気にしてしまっているだけ」
「パニック障害かもしれないけどあんたは軽いから薬飲めば治る」と言われました。
精神症状のほうに関しては話したところ「漫画やアニメの見すぎ」「パソコンのやりすぎ」と言われました。
実際発作の恐怖から閉じこもりがち(家族と買い物にいったり、近場を散歩したりはできます)ですし、ネットも好きで休憩を挟みながらですが割りと長い時間やっているのでその通りな部分もあります。
ただ、両親の前で大きな発作は起こしていません。気味悪がられてしまうという恐怖心から親の前で泣くほどの発作を起こしたことはないです。
妹の前では何度も大きな発作を起こしているので妹は「絶対に軽いものじゃない、あんたは重度だしゆっくり治して行くしか方法はない」と言い切ります。

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前置きが非常に長くなってしまいましたが、以下が最近の症状です。

最近は発作こそあまり起きていませんが予期不安と、なぜか死への恐怖、現実感喪失への恐怖と発狂恐怖が酷くなりました。
4ヶ月前に16歳の愛犬を急に失い、今まで楽しかったことが7割ほどしか楽しめなくなりましたがショックのせいだと思います。
冬という時期が時期なので憂鬱になっているだけかもしれませんが。
リラックスをしていても忙しくしていても、突然思い出したように「本当にこの世界に自分はいるのか」「この世界は実は誰かの夢だったり、嘘だったりするのではないか」という不安に襲われます。
そんな事はありえない、考えすぎだと否定するものの不安がぬぐえず落ち着きがなくなってそわそわしたり、どうしようもできない恐怖感で泣きそうになり発作の一歩手前までいってしまうということが頻発し始めました。昔からありましたが、昔はここまで頻繁ではなかったです。

パニック障害はこういう症状も出るんでしょうか?それとも病的な妄想だったりするんでしょうか。
一度考え出すと中々収まらず、それが原因で発作を起こすのはもっと苦しいし怖いので考えたくありません。
パニック障害のほかに何かを併発している可能性はありますか?
また、私の症状は本当にパニック障害なんでしょうか。つたない文章なので判断が難しいかもしれませんがご回答いただけると嬉しいです。

 

林: パニック障害の可能性が最も高いと思います。もっとも、パニック障害とは、公式には、パニック発作がある(ここでいう「パニック発作」とは、日常用語でいう「パニック」とは違います)ということだけに基づく診断名ですので、それ以外の症状があるこの【3183】の質問者が、

パニック障害のほかに何かを併発している可能性はありますか?

という疑問をお持ちになるのは理解できるところです。
そして、

自分の症状を打ち込んで検索をかけたところ「不安神経症」に行き当たりました。
 症状は殆ど当てはまり、これだ!と思った

その気持ちもまた理解できるところです。「不安神経症」は、現在では公式の診断名ではありませんが、不安を主とする病態の総称的な概念ですので、この【3183】のケースにはかなりよくあてはまると言えるでしょう。

現代の公式の診断基準では、パニック発作が主であればパニック障害になり、パニック障害以外の全般的な不安症状が主であれば全般性不安障害になる、きわめて大雑把に言えばそういうことになります。この【3183】のケースにはパニック発作明らかにあると判断できる一方、他の不安症状もありますので、どちらが主であるかという検討が必要ということになるでしょう。

しかしそんなことを【3183】の質問者が思い悩む必要はありません。そういうことを思い悩むこと自体が【3183】の質問者の問題であると言えます。

本当にパニック障害でしょうか、何か別の病気を併発している可能性はありますか?    

そんなことをいつまでも思い悩んでいても、何の意味もありません。そんなことより、今の症状がつらいのであれば、治療を受けるべきです。そして現に受診し、医師から改善へのアドバイスを受けているのですから、それに従うべきです。ネットで私などに質問しても意味がありません。思い悩む暇があったら、医師の指示に従って治療を受けてください。それに優るアドバイスはあり得ません。

(2016.4.5.)

05. 4月 2016 by Hayashi
カテゴリー: パニック障害, 精神科Q&A