【3119】弟は電気けいれん療法を実施することになりました(【3033】のその後)
Q: 【3033】弟は医療保護入院になりました 【3012】弟の統合失調症の再発の兆候および再発後についてで回答いただきました30歳男性です。
ご回答いただきありがとうございました。
その後の経過についてです。診断名もお伝えしておりませんでしたので記載いたします。
弟は保護室への隔離はなくなりましたが、5ヶ月経過した現在も閉鎖病棟に入院中です。
そして、月末から電気けいれん療法を実施するため、大きい病院へ転院することになりました。
電気けいれん療法実施後、現在の病院に再転院となります。
■診断名
急性多形性精神病
(過去のエピソードを含めると妄想型統合失調症)
■入院後2ヶ月
主治医への攻撃性がありましたが、保護室にいる本人と両親を会わせたところ、両親への攻撃性はなかったため両親との面会が許可されました。
これより2ヶ月かけて保護室から閉鎖病棟にいられる時間をフルタイムになるよう徐々に伸ばすようになりました。
■入院後4ヶ月
いろいろと投薬を変えていたようですが主治医への攻撃性はおさまりません。
両親、私、本人、主治医と治療方針面談(今まで月1回あったのですが、私は今回初参加)したところ、セレネース9mgを投与したところ安定しているということで携帯電話が解禁されそうになりました。しかし、悪化した当時の記録が残っているため、もう少し安定してから渡したいと主治医に申し出たところ3週間ほど延期となりました。
このまま順調に回復に向えばよいが、回復しないようであれば電気けいれん療法を検討するとの話でした。
治療方針面談から数日後、両親との面会で入院前の行動に関する記憶はあるものの、なぜ入院に至ったのか理解できていない様子だったとのことで、量販店は出禁になったこと、失恋のことを両親が伝えました。
そのときは「そうか。」という反応でしたが、その後の数日間病院常設の公衆電話から
実家へ鬼のように電話をかけてきました。
内容のほとんどが妄想がらみでしたが、まともに応対するときもあったようです。
音楽プレーヤーが欲しいとの訴えがあり、病院伝えたところ許可されたため渡しました。
音楽プレーヤーのおかげで更に落ち着きを取り戻し始めたようで、
「ぎりぎりのところで踏ん張りました。電気けいれん療法は実施しなくて大
丈夫」とのことでした。
しかし、治療方針面談から3週間後、携帯電話を渡しましたが、その直後から私に対する暴言メッセージがくるようになりました。
連絡をとっていなかった旧友にも連絡しまくる状態でした。(内容は妄想というより、自分のおかれた状況を説明に終始しており、現状への焦りからくるように見受けられました)
深夜まで携帯電話をいじっている状況でしたので看護師が注意したところ、攻撃的な態度をとったとのことです。結果、携帯電話は取り上げられ両親の手元に戻ってきました。
■入院後5ヶ月
冒頭に申しましたとおり、電気けいれん療法を行われることになりました。
電気けいれん療法で落ち着けばよいのですが、それでも良くならなければ、クロザリルを投与することになるとのことです。
ここまで悪化する前は不安定ながらも生活できていたため、弟が治療抵抗性とは夢にも思っていませんでした。
クロザリルについても調べてはおり、副作用が非常に強いため投与することなく回復して欲しいと思っておりました。
2ヶ月前、主治医への敵意が消えないのは主治医との相性が合わないのではとも思ったので、主治医交代を申し出ようと思いました。しかし、経過をみるに敵意は両親から主治医にただ移っただけです。
主治医自身も「敵意を私に向けさせる。私はそういうやり方をします。」と言っていました。
その敵意そのものを軽減させない限り、主治医が変えたとしても新たな対象を作るだけで何も変わらない気がしています。
電気けいれん療法実施後、病棟および主治医を変更するようなので、結果的には変更となりますが。
治療自体は医療従事者に任せるしかなく、私には何もできないことが非常に歯がゆく思います。
お読みいただきありがとうございました。また進展がありましたら報告させていただきます。
林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。
【3012】の回答に記した通り、質問者は統合失調症という病気をとてもよく理解しておられると思います。
その理解は、単に病気の知識ということにとどまらず、実際のケース(この【3119】でいえば、弟さん)の症状についても正確かつ冷静だと思います。
たとえば、
2ヶ月前、主治医への敵意が消えないのは主治医との相性が合わないのではとも思ったので、主治医交代を申し出ようと思いました。しかし、経過をみるに敵意は両親から主治医にただ移っただけです。
【3033】からの全経過から見て、この「敵意」は統合失調症の症状であることはまず確実です。したがって質問者の「経過をみるに敵意は両親から主治医にただ移っただけ」という見解は適切なものですが、一般的にはご家族はなかなかこのような冷静な見方はできないものです。
その敵意そのものを軽減させない限り、主治医が変えたとしても新たな対象を作るだけで何も変わらない気がしています。
その通りでしょう。
クロザリルについても調べてはおり、副作用が非常に強いため投与することなく回復して欲しいと思っておりました。
クロザリルという薬については、「副作用が非常に強い」という表現は正しくありません。「強い副作用が出ることがある」というのが正しい表現です。ということは、極論すれば、どんな薬でもそれは同じです。確率は低くても、どんな薬にも「強い副作用が出ることがある」ものです。そんな中で、クロザリルは副作用の厳密なチェックが医療者に義務づけられていますので、逆にむしろ安心と見ることもできます。
しかしそれはそれとして、まずは電気けいれん療法の効果に期待することだと思います。また経過のご報告をいただければ大変嬉しく思います。
(2016.1.5.)