【2392】虐待の体験記が他人ごとは思えず涙しました

Q: 40代男性です。Dr 林さま 【1983】さま 初めまして。 幼少時に性的虐待を受けていた者の一人として、いてもたってもいられず、【1983】さまのケースについて、自分が感じたことを申し上げます。
事実としての性的虐待が、他人にとっては非常に軽微と判断されケース(幼稚園児が父親と入浴時に、乳房の膨らみ具合を確認されるなど)でも、本人にとっては、神とも信頼する全知全能である父親からの裏切り行為ですから、強烈なトラウマとなり、成長後に精神疾患の要因となることは多いと思います。(上記は私の友人のケースです) 虐待が軽微かどうかは、虐待事象が幼少時の本人にどれだけ強い衝撃を与えたかどうかだと思います。 ましてや、このケースでは‥
私は、【1983】私は虐待を体内に巣くうガン細胞だととらえています を読んで、涙が止まりません。 【1983】の方は、必死に自分の心を整理しようとされています。そう、この方は大丈夫。信じるべきは他人である結婚相手の方であると直感的に解っていらっしゃいます。他人が自分に同情してくれるなんて、超幸せですよ。 父母は肉親ですが、残念ながら全幅の信頼を置いて、心を委ねる相手ではありません。 心を委ねるなら他人ですよ!性的虐待するような肉親は信用できません。 男性である私は、20代後半に数ヶ月で、ある程度自分の心に折り合いをつけることができましたが、それでも、年に5~6回くらいは、強烈な怒りと無力感衝動と共に、全てを捨てたい欲求が沸き上がってくることがあります。 ましてや女性にとっては、非常に辛く困難を伴う心の整理と存じます。 暗い音楽を聴きながら、ボーっと昔のことを思い出しつつ、でも、今を生きてるからなぁ‥と思えれば、少しは心の整理もできるかも知れません。 性的虐待によるトラウマから精神を病むと、境界性パーソナリティ障害などと診断名はつきますが、一番の課題は、当人の自死衝動を止めることであると私は思います。(特に女性が自分の存在を消そうとする衝動をです。) 私の周囲で、父親か兄のどちらからか性的虐待を受けていた女性が、三年前くらいに自死してしまいました。 彼女は、夫や子供を信じきることができず、自分を犯した肉親とそれを見過ごした肉親への無償の愛と憎悪を捨てきることができず、その結果、自分を消すことに向かうことを止めず、自死にまで至ってしまいました。 自分で心の折り合いをつけて、肉親への心の委ねを絶って、他者である配偶者や恋人や子供と今を生きることに強引に向かうか? あるいは助けてくれなかった肉親への心の委ねがジワジワと残ったまま、肉親や嫌な相手と性的関係を持ってしまった自分を消したい衝動が、最後まで消えず、自死にまで至ってしまうか?‥ ‥は、ひとえにそのご本人が心を整理し、折り合いをつけられるかどうか?にかかっていると思います。私はここに、精神医療の大きな役割を見出すものであります。 できれば自死してほしくないです。私は無力ですが。せっかくの自分だけの人生ですからね。 そう、自分の人生を生きているのは自分だけ。自分とは両親の創造物ではなく、全く別の生き物です。その全く別の生き物が、群れの中から気の合う仲間を一匹でも見つけられれば、それだけも生きている甲斐があるってもんです。 死んだ後では、今の自分を見ることはできませんからね。 とりとめが無く、しかもこのQ&Aの主旨にはいささか外れた文かも知れませんが、【1983】私は虐待を体内に巣くうガン細胞だととらえています‥が、あまりに他人事とは思えなかったので、衝動のままに記述致しました。 Dr 林さま、ご容赦下されませ。

林: 精神科Q&Aを真剣に読んでいただき、また、真摯なコメントをいただきありがとうございました。この【2392】の内容は、精神医学的に見てすべてが正鵠を射ているとまでは言えませんが、真摯さ、誠実さは深く感じられます。

Q&Aの主旨にはいささか外れた文かも知れませんが、

そんなことはありません。ありがとうございました。

(2013.5.5.)


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03. 5月 2013 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 虐待