【3116】母の統合失調症はだいぶよくなりましたが、まだ問題が残っています

Q: 20代女性です。母(50代)が統合失調であると診断を受けてからもう十年あまりになります。

受診した当初の母は
・周りから悪口を言われ続ける幻聴を聞く
・実際にはありえないようなもの(幻覚)を見る
・家に盗聴器があると信じこむ
・家族が自分を陥れていると信じ、ものを振り回したり、罵詈雑言を浴びせる
といった症状を呈していました。

投薬治療を続けた結果、当初の頃に比べれば大分良くなりました。投薬治療は続けていますが、もう幻覚・幻聴の類のものは見えていないようです。
しかしながら、現在もいくつかの問題があり、その点についてご相談したく思います。

(1) 地域・周囲の方とのかかわり合いについて
母の発症のタイミングが嫁いできたタイミングとある程度かぶってしまったため、当時の幻覚・幻聴のことを、自分が住んでいる地域や姑によって引き起こされた、実際にあったこととして信じ込んでいます。また、その信じこみのせいで、ものを紛失したり閉めた覚えがない場所が閉まっていたりすると「泥棒に入られた」とすぐに断定します。
今後、これらの症状が改善することはあるのでしょうか。もし改善するなら、周囲としてはどのように対応すればよいでしょうか。

(2) 性格について
母は非常に短気で、自分の思い通りにならなかったり、失言を咎められたりすると癇癪を起こします。自分が知っていることが世界の全てだと思ったり、偏見を持つ傾向も強いです。特に、お酒を飲んだ時にそのような状態になります。
これは母元来の性格なのでしょうか。それとも、病気のせいなのでしょうか。
あと、断酒させる必要はありますでしょうか。

林:

母の発症のタイミングが嫁いできたタイミングとある程度かぶってしまったため、当時の幻覚・幻聴のことを、自分が住んでいる地域や姑によって引き起こされた、実際にあったこととして信じ込んでいます。また、その信じこみのせいで、ものを紛失したり閉めた覚えがない場所が閉まっていたりすると「泥棒に入られた」とすぐに断定します。

上記、「母の発症のタイミングが嫁いできたタイミングとある程度かぶってしまったため・・・その信じこみのせいで」とありますが、その解釈が正しいかどうかはわかりません。むしろ統合失調症の妄想がまだ残存しているとみるほうが妥当でしょう。そうだとすれば、薬物療法がまだ最適でないということになります。

今後、これらの症状が改善することはあるのでしょうか。

薬物の調整によって改善する期待は持てると思います。

これは母元来の性格なのでしょうか。それとも、病気のせいなのでしょうか。

わかりません。統合失調症発症以前の状態についての情報がないからです。

あと、断酒させる必要はありますでしょうか。

わかりません。
飲酒したときにそのようになるという点だけから見れば、断酒させるべきでしょう。しかし飲酒にはプラスの面もありますが、そのプラスの面についての情報がこの【3116】のケースについては不明のため、結論としてはわかりません。

(2016.1.5.)

05. 1月 2016 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症