【3029】私の頭が真っ白になるのは、統合失調症の母の影響でしょうか
Q: 10代女子です。私が中学生の時に母親が統合失調症(幻聴有り・存在する人物や架空の人物が登場する被害妄想が酷かったです)を患いました。
家族構成は両親、私と妹です。家族全員がそういった病について無知でしたので、何かと対応が遅れ、症状が酷く悪化した時期もあり、強制入院を二度しています。最終的には父親と結託して何とか病院に通わせ、薬を飲ませ、私が高校生になった現在は母の症状も安定しており、薬の方も毎日飲んでくれています。なかなか病気の自覚を持ってくれずに大変でしたが、家の中にビデオカメラを設置して興奮状態を映像におさめ、それを病院にて本人に見せたところ自覚を持ってくれました。
この過去については一般的な中学生が経験できないであろうことを経験したことで物の考え方も随分変わったと思っていますし、当時の自分は我ながら「無知な子どもにしては頑張ったんじゃないか」と思っております。
しかしながら中学生の頃はとにかく必死でしたので、統合失調症が何たるものかゆっくり調べる時間も余裕もありませんでした。なので高校に入ってから精神病について調べてみようと思い至り、それ以来当サイトもよく拝見させて頂いています。
長い前置きになりました。本題に入ります。
高校生になってから、自分の中で変化があり、戸惑っている状態です。自分で気付いてから半年ほどです。
まず母に対して強くストレスを感じます。
私や妹が風邪を引いて熱を出しても何もしなかったり、食事は決まったメニューをローテーション、一日中友人と長電話するかメールするか寝るかで家事をろくにしない母。「朝起きられないから」とお弁当は前日に用意されます。最初は発病した頃の昼夜逆転具合を思えば夜ぐっすり寝ることは良いことだと思っていたのですが(もちろん当初は薬の影響もあって本当に起きられなかったんだと思います)、もう2年間ずっとその調子です。父によると発病当初に比べ、薬のきつさはかなり軽減してあるとのこと(薬の詳細についてはよく分からず申し訳ないです)。日中よく寝るせいか夜2時過ぎまでテレビを見たりしているので「朝起きる気がない」だけでは?と思い、病気だからと言って許される範疇を超えていると感じ、見ているだけでイライラします。
もともと仲良し家族といった家庭ではなかったのですし、親子なので腹立つことも多々ありますが、父は尊敬できるし感謝できるのに母にはまったく出来ません。現在母とはほぼ口をきいておらず、見ているのも嫌なので、放課後も休日も食事とトイレ・お風呂以外は常に部屋にこもりっきりです。
それから教室という空間にとても嫌悪感を抱くようになりました。中学の頃、母が発病して急に休みがちになったことで友達とすれ違いが起こり、クラス内で孤立したのが原因かと思います(1年半ほどクラスの誰とも口をきけない状態でした)。大人(担任の先生など)と、長い付き合いの友人にしか母のことは話していません。現在はとても良いクラスで普通に友達もおり、楽しいのですが、たかが10分の休み時間も教室にいるのが嫌で「早く出たい」と思うのです。ふと廊下は大丈夫なのかと不思議に思ったので試しましたが、廊下でも人が多いと同じく嫌悪感でいっぱいになるので、人混みが嫌なのかと思います。通学の際の満員電車もかなり苦痛です。あの大人数のざわざわした話し声が嫌いで、足音、物音に凄く過敏になった気がします。特にせわしない足音や、物が叩かれたり割れる音を聞くと少し動悸が速まって息苦しくなります。(母が凄い勢いで階段を上がったり降りたりしたり、物に当たることが多かったからだと思われます)
担任が女性なのですが(とても良い先生で、事情を理解してくださり丁寧な対応をして頂いています)、担任をはじめとした大人の女性(特に母と歳の近い50代あたり)の激怒した表情を見たり、怒鳴り声を聞くと冷や汗が止まらなかったり、手足が震えたりします。保健の授業で薬物依存になるとどうなるかという再現映像を見た時は、患者の幻聴を聞いて暴れたり怯えたりする描写のあたりで教室を抜け、トイレで吐いてしまいました。幻聴を聴いて暴れたり怯える母の姿と似ているなと軽く考えただけのつもりが、思った途端に吐き気がこみ上げてしまいました。
悪夢をみることが格段に増えました。酷い時でほぼ毎日、現在は月に2〜3回みる程度です。内容は過去に実際に起こった出来事(母が一晩中暴れ倒した夜のこと、父に軽傷を負わせた場面など)です。夜中に必ず目が覚めてしまいます。また夢をみるみないに限らず、眠りが浅いのかぐっすり寝れた感じが無く、2〜3時間ごとに目が覚めたりすることもあり、朝や授業中が強烈に眠たくて悩まされています。
上記を自覚しはじめて、だんだんと学校を休む回数が増えました。現在は進みたい進路が決まり、そのためと思ってなんとか通っていますがそれでも週五日あるうち一日のペースで休んでしまいます。出席日数は評定に響くので早く直さないと!と思ってはいるのですがなかなか上手くいきません。
休んでしまう日の朝も普段通りに目覚めるのです。
いつもなら「起きて着替えなきゃ」と体を起こすところ、そういう日は「着替えなきゃ」と考えるのですがそれから頭の中に白いベールがかかったかのような状態になります。どう言葉で説明すればいいのか分からないのですが、それ以降頭が真っ白になったようで物が考えられないのです。そうしてボーッと横になったまま、気付けば3〜4時間経っています。
今更行っても間に合わないと思い、起きてから家にある教科書やノートで勉強するのですが、気付くとまた朝と同じく何も考えず数時間ボーッとしてしまっていることがほとんどです。そんな感じで一日を潰してしまうので、時間を無駄にしてしまったと自己嫌悪になります。
先日思い切って友達に相談したところ、「普通に考えて、なかなかそんなに長くボーッとできない。精神的なものが原因なんじゃない?」と言われ、当サイトにメールを送らせていただいた次第です。
この頭が真っ白になってしまう現象は精神的なものが原因でしょうか、またそういった症状のある病気は実際にあったりするのでしょうか。
スクールカウンセラーの方に話を聞いてもらおうかと担任に相談しようとも思っていますが、大げさでしょうか?
長文失礼しました。
私のように統合失調症などを患う親を持つ学生の方は沢山いると思います。
そんな方々が少しでも楽しく希望を持って毎日を過ごされることを願います。
林:
スクールカウンセラーの方に話を聞いてもらおうかと担任に相談しようとも思っていますが、大げさでしょうか?
大げさではないと思います。一度お話を聞いてもらうことをお勧めします。
子供時代に、統合失調症のお母様のために大変なご苦労をされたこと、お察し申し上げます。質問者をはじめとするご家族の努力で、現在お母様は、完全ではないにせよかなり良い状態が維持できているように思われます。
そして、質問者ご本人のことです。
このような家庭環境の中で育たれた質問者の現在の状態が、幼少期の苦労に起因すると考えるのはごく自然なことです。
担任をはじめとした大人の女性(特に母と歳の近い50代あたり)の激怒した表情を見たり、怒鳴り声を聞くと冷や汗が止まらなかったり、手足が震えたりします。保健の授業で薬物依存になるとどうなるかという再現映像を見た時は、患者の幻聴を聞いて暴れたり怯えたりする描写のあたりで教室を抜け、トイレで吐いてしまいました。幻聴を聴いて暴れたり怯える母の姿と似ているなと軽く考えただけのつもりが、思った途端に吐き気がこみ上げてしまいました。
このような出来事からみても、お母様をめぐる一種のトラウマの影響があることは確かでしょう。
けれども、そうしたトラウマだけを質問者の今の状態の原因と考えていいということにはなりません。
お母様が統合失調症であった以上、娘である質問者には、遺伝的に統合失調症を発症しやすい素因があることを考慮しなければなりません。すると、質問者の今の状態が、統合失調症の前駆症状である可能性も否定できません。
統合失調症の前駆症状疑い項目の中にも、
遺伝的なリスクと機能低下
という項目があります。この【3029】の質問者は、統合失調症の母親を持つという遺伝的リスクがあり、加えて
だんだんと学校を休む回数が増えました。現在は進みたい進路が決まり、そのためと思ってなんとか通っていますがそれでも週五日あるうち一日のペースで休んでしまいます。出席日数は評定に響くので早く直さないと!と思ってはいるのですがなかなか上手くいきません。
休んでしまう日の朝も普段通りに目覚めるのです。
いつもなら「起きて着替えなきゃ」と体を起こすところ、そういう日は「着替えなきゃ」と考えるのですがそれから頭の中に白いベールがかかったかのような状態になります。どう言葉で説明すればいいのか分からないのですが、それ以降頭が真っ白になったようで物が考えられないのです。そうしてボーッと横になったまま、気付けば3〜4時間経っています。
今更行っても間に合わないと思い、起きてから家にある教科書やノートで勉強するのですが、気付くとまた朝と同じく何も考えず数時間ボーッとしてしまっていることがほとんどです。
という機能低下が認められますので、統計上は「統合失調症の前駆症状の疑いあり」ということになります。
もちろんこのような統計的根拠だけをもとに、「質問者の今の状態は統合失調症の前駆症状」と結論することはできません。一方で、「質問者の今の状態は、統合失調症の母親をめぐるトラウマが原因」と結論することもできません。
そこで回答は冒頭の通り、
スクールカウンセラーの方に一度お話を聞いてもらうことをお勧めします。
ということになります。
私のように統合失調症などを患う親を持つ学生の方は沢山いると思います。
そんな方々が少しでも楽しく希望を持って毎日を過ごされることを願います。
読者へのメッセージをいただいたことに感謝いたします。私も同感です。
但し、真の希望は事実から生まれると私は考えます。したがって、明るい可能性も暗い可能性もすべて同様に回答するという方針をご理解ください。
(2015.8.5.)