【2965】分別されたゴミ屋敷‏に住む弟

Q: 分別された(?)ゴミ屋敷に住む弟についての質問です。長文お許し下さい。

50歳。
3年前に離婚。一軒家にローンを返済しながら居住。
1Fの20畳ほどのLDKで生活。
非正規社員(夜勤有り)で就業中。
私は600km程離れた県外に住んでいます。

2年前(離婚後半年ほどの時期)に訪ねると、玄関には開封後の郵便物が靴箱の上や周辺に散乱。
部屋に入ると、呑んだ後のアルコールの空き缶が、キッチンテーブルの上にずらっと整頓して並び、外のデッキにも空き缶がサークル上にきれいに積み上げられ、その上にたくさんのタバコの吸い殻がやはりサークル状にきれいに並べられていました。
部屋の角には服が山になり、立ち入りませんでしたがキッチン床一面に透明の買い物袋がたたまれずふわっとした状態で山になっていました。何故捨てないか訪ねると、使うかもしれないと言うので、必要な分だけ残して、処分すればといっても、おいおいという返事で、空き缶の処分に対してもおいおいと同じ答えです。
訪ねる事は伝えていたので、私が訪ねる直前に掃除機をざっとかけたような状態でした。
離婚で、精神的にも落ち込んでいるだろうし、いずれ気持ちが落ち着いたら片付ける気になるだろうと思いましたし、アルコールも入っていたので、強くいっても反発して大きな声でどなりちらして聞く耳持たずなので、あまりきつくは言いませんでした。

先日2年ぶりに訪ねると、おそらく2年前に見た光景の上に2年分のゴミがそのまま積み重なったであろう状態に絶句しました。
玄関はさらに紙類が散乱し、床は歩いた所以外は埃と抜けた髪の毛が積もり、部屋に入ると思わず声が出るほどの状態でした。
部屋の三分の一はティッシュの空き箱が山と言うより海になり(使い終わった箱をぽーんと投げ捨てるとのこと。)、テーブルの上はもちろん、キッチンの空間半分以上が1.2mほどの高さまで空き缶で埋まり(IHコンロも流しも水道も缶に埋もれていました。)、透明の買い物袋の山はさらに大きくなり、外は見ませんでしたが2年前のままのようでした。
部屋中はもちろん、掃除機にも埃が降り積もり、たまたま1年前に預けた荷物も、トンとそこに置かれたまま埃が降り積もっています。

そのゴミに溢れた部屋の入り口に置いたソファで寝起きをし、その前にパソコンとTVを置き、1年前まで使われていたらしいボロボロの埃まみれのカセットコンロと、使用済みのガス缶、アルコールの空き缶と灰皿代わりにした空き缶が散乱する一角でアルコールを呑みながらネットで一日を過ごしているようです。昨年末にはマロリー・ワイス症候群で吐血しました。一日3食摂るように指導されてもなお、お金が無いからと一日一食でアルコールとタバコはやめられません。嘔吐癖がついたと、今も度々嘔吐するようです。
カーテンや窓はいっさい開けない、こんな状態で開けられないとのこと。
他人もいっさい家にいれないとのこと。

トイレや風呂場も便器内と浴槽内以外は掃除した様子はなく黒カビだらけでした。洗濯機周辺も同様です。
簡単に言えば、結婚するまでは母親、結婚後は奥さんが身の回りの面倒をみていたけれど、自分ではいっさいやっていない状態に見えました。

仕事に行く時はひげも剃って、清潔にしていくとのことですが、本当の所、風呂に入ったり洗濯したりしているのかは判りませんでした。

奇妙に感じたのは、空き缶、空き箱、空き袋と尋常ではないゴミの量ですが、大まかに分別されているのです。
決して良い意味で言っている訳ではないのですが、あまりの量が塊になっていて、見ようによっては現代アートの作品で見た事があるような感じです。

山ほどのゴミの中に住んでいますが、日常的に出るティッシュや食べた弁当がらなどはゴミの日に出しているようで、今までに聞いたことのある何もかもがごちゃごちゃのゴミ屋敷とはちょっと違うようです。でも、入るなりゴミ屋敷だっ、という言葉が出ました。
部屋に入って異臭はしませんでした。

ここまでの文章でお判りのように、休みの日は朝からアルコールで、アルコール依存症には間違いありません。お金がなくても、サラ金で借りてでもアルコールとタバコは止められません。

生きてても何の楽しみも無いといいます。
アルコールやたばこ、ネットできれいなお姉ちゃんを見る事ぐらいしか楽しみがないと。
私には、離婚も転職も結局は自分が招いたことなのに、自分本位で、嫌な事は全部周りのせいにして自分だけがつらいと思っているようにみえます。
別れた子供達や奥さんも辛いだろうと思いますが、母や私自身も心身に不調がでました。そのことはまったく判っていません。

両親は充分に愛情を持って育てましたが、やはりアルコールで早くに亡くなった父(アルコールが入ってない時は子煩悩な父で、馬鹿正直で仕事も真面目な、お人好しな人でした。)を憎悪し、母に対しては馬鹿にして、愛情を逆恨みで返すような態度です。それもあり、父や母が病気や入院、一人暮らしなどサポートを必要とする時も、家族に対しての甘えと勘違いの逆恨みで、いっさい動きませんでした。

アルコールに関して父の二の舞はしたくないと言う思いで、この状態が変わらないのなら、縁を切る覚悟でおります。
離婚の際も転職の際も、いっさい聞く耳持たずで、大きな声で激昂して威嚇するような状態で、その際もアルコールが入っている事がほとんどです。
子供の頃から、すぐに大きい声を出して怒ったり、自分本位な弟とはあまり気性が合わず、18で進学で家を出て以来、穏やかに四方山話をするなどという普通の兄弟のような会話をしたことがありません。
それでも、ついお金がどうしても都合がつかないといえば、ほんの少しですが融通したりしてしまいました。そんな際にも、お礼はもちろん、口座に入金されたなどというメール一つきません。電話も基本出ません。母にお金の無心をする時も、お金を手にするまでは大人しくしていますが、手に入れたとたん、返済の話をすると、金なんか無いのに返せるわけがないと逆切れします。

このまま、今までのように心配していても、本人自身が気がつかなければアルコールを断つことも、ゴミを片付けて人間らしい生活をする事も無いと思い、上記のように思いきって縁を絶つことを伝えようと考えています。

でももし、この分別されたゴミ屋敷が病的な可能性があるのなら、病院の受診を勧めてからの話ではないかと考え、質問させていただきました。

先日のゴミ屋敷の光景が蘇って、母も私も夜うつうつと、あの空き箱の山にタバコの火が引火したら火事になってご近所に迷惑がかかるのではとか、飲酒運転で人身事故を起こすのではとか、心配な考えで一杯になり眠れず、日中も度々思い出され辛い思いです。
おかしな話ですが、ゴミに関しては、病気が原因ならかえって救われる思いです。

ゴミ屋敷は、自堕落で自分勝手な性格からでしょうか?
病的な可能性があり、病院受診を勧めた方が良いでしょうか?

宜しくお願いします。

林:

アルコール依存症には間違いありません。

あらためて私が回答するまでもありませんが、おっしゃる通り、アルコール依存症です。マロリー・ワイスで吐血もされたとのこと、このままでは数年以内に命を落とすでしょう。アルコールだけでなく喫煙も相当な量のようですので、癌に罹患する確率は非常に高いです。今すでに癌になっているとみるべきかもれません。

生活の状況からみて、アルコール依存症以外に何らかの精神障害を合併していることも考える必要がありますが、

仕事に行く時はひげも剃って、清潔にしていくとのことですが、

仮にそれが事実なら、また、少なくとも仕事はできているのが事実なら、アルコール依存症以外の精神障害があると積極的に疑うことはできません。(もちろん他の精神障害があっても仕事をすることは不可能ではありませんが、このようなゴミだらけの状況での長期間にわたる生活が続くほどの精神障害であれば、仕事を続けることはまず不可能です)

このまま、今までのように心配していても、本人自身が気がつかなければアルコールを断つことも、ゴミを片付けて人間らしい生活をする事も無いと思い、上記のように思いきって縁を絶つことを伝えようと考えています。

でももし、この分別されたゴミ屋敷が病的な可能性があるのなら、病院の受診を勧めてからの話ではないかと考え、質問させていただきました。

アルコール依存症に伴う病的な生活です。
上記の文章からは、アルコール依存症は病気でないと考えておられることが読み取れますが、それは不合理な考え方と言わざるを得ないでしょう。
病院の受診は必要です。アルコール依存症だからです。
もっとも、今の状態をみますと、罹患しているのがアルコール依存症だけであったとしても、別の疾患への罹患もあったとしても、「病院の受診を勧めて」も、すんなりと受診されることはあり得ないでしょう。精神の障害とは、「病気だから受診したほうがいい」と勧めたからといって、受診がいつもすんなり実現するほど生易しいものではありません。だからこそ、軽い段階での受診が必要になります。残念ながらこの【2965】のケースは、すでに長い期間治療されずに放置されており、見通しは暗いでしょう。

(2015.5.5.)

05. 5月 2015 by Hayashi
カテゴリー: アルコール依存症, 精神科Q&A