【2655】自分が自分ではない感覚はうつ病のせい? 気のもちよう?

Q: 7年前から精神科に通っている30歳女です。
昨年から一人暮らしをしています。
そこで、新たな病院に通うことにしたのですが。
その病院では『うつ病』『強迫性障害』『離人症』だと診断されて、
・デプロメール
・トフラニール
頓服で
・ソラナックス
を出されています。
その他、ここ2-3ヶ月は胃の調子も悪いので胃薬を3種類ほど出されています。

「自分が自分でないような感覚」
「自分の名前を聞いてもピンとこない」
「今起きていること全てが夢なのではないか」
上記のような症状が日増しに強くなっています。
地元で通っていた病院でも、今通っている病院でも相談したのですが、
『気の持ちよう』だとか『気のせい』だとか『うつ病の症状』と笑われています。
『今は出された薬を飲み続けるしか回復方法はない』とも言われています。
当然、出された薬は飲んでます。薬の種類も増えたり減ったり変わったりしますが。
普段、仕事中や人前では病状は出ません。むしろいい人、仕事が出来る人だと言われています。夜、一人になると突然怖くなったり不安になったりします。そういう時はソラナックスや以前処方してもらったが使わなかった薬を飲んで紛らわせています。

以前”自分で演技をしているのかも分からないような感覚”が起こりました。
男性と関係を持つときに”自分ではない誰かを演じている”という感覚です。
その誰かには名前も年齢もあって、関係を持った男性に聞くと
『お前とは明らかに違った女性だった』と言われます。
それは私自身が演技している、というのもあるような気もしますが、
途中から思い出せない感覚にも陥ることがあります。

自分で多重人格を演じているのか、それともそういった病気なのか。
また、自分が自分でない感覚は先生の言うとおり気の持ちようなのか、
自分の名前を聞いてもピンとこないのも夢の中で過ごしている感覚に陥るのも
気のせいなのか、とても悩んでいます。こういった症状が単なるうつ病の症状ならば、
これから先も変わらず薬を飲んで紛らわせますが、もし違う病名の可能性があるならば
その病名をはっきり知りたいと思っています。その病名を聞いたからと言って
どうにかするつもりはありませんが、モヤモヤ感が募りとてもストレスになっています。
どの先生も『うつ病以外にない』と言うので。全てのうつ病患者さんがこのような
症状に苦しんでいるのでしょうか?

ちなみに幼い頃両親が別居し、父に育てられました。(3姉妹の2女)
私だけ父に虐められていた感があります。
殴る蹴るの暴行は日常茶飯事でした、そのことを深く悩んでいるつもりはありません。
どうかお願いします。

 

 

林:
「自分が自分でないような感覚」
「自分の名前を聞いてもピンとこない」
「今起きていること全てが夢なのではないか」
上記のような症状が日増しに強くなっています。

離人と呼ばれる症状です。
離人という症状は難しいもので、単独でこの症状だけが出ることもあれば、何らかの病気の一症状として出ることもあります。それら「離人」が、同じ症状かどうかの判定もかなり難しいです。また、特に病気でなくても正常範囲のものとしてこのような感覚が出ることもあります。

この【2655】のケースでは、解離性障害の一症状として離人が出ていると判断できます。

以前”自分で演技をしているのかも分からないような感覚”が起こりました。
男性と関係を持つときに”自分ではない誰かを演じている”という感覚です。
その誰かには名前も年齢もあって、関係を持った男性に聞くと
『お前とは明らかに違った女性だった』と言われます。
それは私自身が演技している、というのもあるような気もしますが、
途中から思い出せない感覚にも陥ることがあります。
 
自分で多重人格を演じているのか、

これだけでは多重人格(解離性同一性障害)とはいえませんが、その兆しはあるといえます。

こういった症状が単なるうつ病の症状ならば、
これから先も変わらず薬を飲んで紛らわせますが、もし違う病名の可能性があるならば
その病名をはっきり知りたいと思っています。

うつ病ではありません。解離性障害です。

どの先生も『うつ病以外にない』と言うので。

うつ病という診断は誤りです。

ちなみに幼い頃両親が別居し、父に育てられました。
私だけ父に虐められていた感があります。
殴る蹴るの暴行は日常茶飯事でした、そのことを深く悩んでるつもりはありません。

その虐待が、現在の症状に関連していると推定できます。【1901】から【1948】もご参照ください。

また、

殴る蹴るの暴行は日常茶飯事でした、そのことを深く悩んでるつもりはありません。

とのことですが、本当は実は深く悩んでおり、それを認めることが限りなくつらいため、意識としては「そのことを深く悩んでるつもりはありません。」という自覚になっている可能性があります。虐待の記憶が失われる場合と同様の心理メカニズムです。

(2014.5.5.)

05. 5月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害