【2649】嘘をついてしまうのが治りません

Q: 私は30代、現在一児の母、外国人の主人と結婚して現地に住んでいます。実は私は、思春期からずっと「見栄を張る為に嘘をついてしまう」事で悩んでおり、精神科にかかったほうが良いレベルなのかどうか、迷っており、アドバイスいただけたら幸いと思います。 まず、私の成長過程で濃く影響しているだろうと思われる母との関係を書きたいと思います。

私は二人の兄がいる、女児一人で、姉妹はいません。母は私と自分を同一視する人で、男兄弟は異性なので別人格だということを認めやすいのか、私が母と違う意見を言うと、兄達は許されても私は折檻される、という事が何度かありました。また、私の実家は一般に比べて裕福なほうなのですが、母自身がかなり見栄っ張りで、自分の都合の悪い事は隠す・嘘をつく、等を様々な形で見てきました。そして、恐らく男兄弟には話していないと思うのですが、私にはいかにその嘘が必要なものであったかという正当性を説いてくる事が多々ありました。 私は、うまく言語化できなかったものの、幼い頃から兄弟との待遇の違いと母自身にかなりの不満がありました。子供の時はずっと男の子になりたく、小学校4年生くらいから登校拒否が始まりました。4~6年生まで欠席が非常に多く、両親も私を学校に行かせるのにとても苦労していました。学校の成績が非常に良かったため、中学校では受験をして、所謂地元の有名私立に通い始めました。 登校拒否に関しては根本的に何も問題が解決していなかったため、中学校でも同じように登校拒否が始まりました。一、二、三年生とかなり休んでいます。二年生では年上の彼氏ができたため、逃げる場所もできて、やはりなかなか学校に行きませんでした。その時は、どうして学校に行きたくないのか、と聞かれる度に、自分でもよくわからず困りました。学校では成績も良く、遅刻や欠席は多いものの、何かの代表に選ばれる事もあるし、生徒会にも推薦されるなど、友達も普通にいて、学校生活に問題があったわけではありません。根本的に学校には行きたくなく、何かあればすぐに理由をつけて休むか、抜け出す、遅刻する、という感じでした。終わってからも寄り道ばかりしていました。 高校はエスカレーターだったので、そのまま入学。それからも問題行動は変わらなかったのですが、彼氏が優秀な大学の学生で(バブルの時期だったため)いろいろな有名企業から内定をもらった話を聞くなど、私も将来について考えるようになりました。高校一年の間はずっと登校拒否気味だったのですが、二年生からはさらに多くの友人もでき、何かあれば休みたい、言い訳して学校に行かないという行動は多少あったものの、普通に学校に行きました。三年では担任やクラスのメンバーにも恵まれ、学校生活もそれなりに高校生らしく無事に終える事ができました。その彼氏とは高校一年の時に別れてしまい、その後は大学に入るまで彼氏らしい人は誰もできませんでした。

 なのですが、今振り返ると、ちょうど高校2、3年生の頃から(それまでも嘘をつくことはありましたが、もっと計算や自分に利になる嘘)虚言が始まったと思います。「人気者の自分」「忙しい自分」「人格者な自分」など、少しずつ実際よりも良い自分に見せるための嘘をついていると思います。そして、それを隠すためにさらに嘘をつく、という感じです。高校の時は、小さな資格(簿記二級など)をとった、とか、自分には持病がある、等の嘘をついていました。
大学では、首都や関西のレベルの高い大学に合格した事もあり、実家から離れた所に引っ越したかったのですが、反対され、実家に残りました。それまでの行いが悪かった事もあり、その時は従いました。また、私が大学生になった頃には、母の環境が変わった事が大きく作用し、母と私の関係は少しずつ改善されていきました。 就職時も地元に残るように言われたので(地元は地方都市です)、このままでは一生大きなチャンスをものにできない、と思いなぜか反対されなかった海外留学をする事にしました。ずっと家から離れたかったので、日本に帰る時には東京で就職するつもりだったのですが、縁あって現地人の主人と結婚する事になり、子供ももうけました。 大学を卒業して、会社で働くようになってから自分の病的な嘘の量、また平然と嘘をついている自分が恐ろしくなり、留学先で痛い目にあった事もあり、嘘をつきそうになったら、嘘ではない文章にして言う練習をしてみたり、ついてしまった嘘を書き出して、後で訂正する練習をしてから実際に訂正したり・・・という事をしてきました。実践的な行動の後、ずいぶん改善したと思います。 なのですが、実はまだ、主人についている大きな嘘があり、その事を言い出せずにいます。そのため、それに近い話題では話をあわせるために嘘をついてしまいます。そして、また全然違う場面でも、小さな見栄を張って嘘をついてしまいます。まだ家にいたのと言われると、電話で会議に出席していた、とか、そういう感じです。つく必要のない嘘をつく自分が嫌でたまりません。 まだ子供は小さいのですが、大きくなれば母親が細かく嘘をついている事もわかってくると思います。どうしてこうなってしまうのか自分でもよくわからないので、自分で改善するにしても、限界があるのではないか・・・と不安になっています。また、主人に相談してみたいとも思うのですが、それも怖く、嘘を正直に訂正する勇気がまだありません。精神科にかかったほうが良いのでしょうか、それとも、何か違う方法で改善できるのでしょうか。ぜひアドバイスをお願いします。

 
林: 病的な虚言といっていいと思います。

大学を卒業して、会社で働くようになってから自分の病的な嘘の量、また平然と嘘をついている自分が恐ろしくなり、留学先で痛い目にあった事もあり、嘘をつきそうになったら、嘘ではない文章にして言う練習をしてみたり、ついてしまった嘘を書き出して、後で訂正する練習をしてから実際に訂正したり・・・という事をしてきました。実践的な行動の後、ずいぶん改善したと思います。

ご自分で工夫されたと思われるこの方法は、認知行動療法といわれるものとかなり共通点があるものです。これを続けられることをお勧めします。

自分で改善するにしても、限界があるのではないか・・・

それはその通りかもしれませんが、虚言の治療は事実上困難です。【2618】私は小さい頃からしょっちゅう嘘をついてしまいます もご参照ください。

(2014.5.5.)

05. 5月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 虚言