【2571】幻聴、幻視、記憶障害、現実感のなさ、などがあります

Q: 私は20歳の女性です。以下のようなことがあります。
1.人の声が聞こえる、救急車のサイレンの音が鳴っている……耳鳴りの延長のようなものかも知れませんが、人の会話や私に話しかけてくる声が聞こえます。その声には「気持ち悪い」「最低」と言われることが多いです。救急車のサイレンの音は、遠くで鳴っているような感じがします。
2.スーツを着ていて目が光っている男性と、女の子が見える……男性は、眠る時に現れます。そして、夜寝ていると、太股を触ってきます。女の子は、いつも近くから私を見ていて、ニヤリと笑っています。二人とも、他の人には見えないようです。
3.昔の記憶が曖昧……保育所~中学までの記憶が曖昧で、もやがかかったような感じがします。
4.夢か現実かわからない……夢がすごくリアルで、現実かどうかわかりません。最近、父親や兄から性的に触られる夢を見ますが、それもリアルで気持ち悪いです。朝起きたら、汗をかいていて、体が熱く、息が切れています。
5.体に覚えのない傷がある……朝起きると、顔や足に青痣が出来ていたり、手に擦り傷が出来ていたりしますが、何故傷があるのかわかりません。
6.体がひきつる……顔や体がピクッとひきつったり、首が動いたり(勝手に左を向く)します。
7.男性が側に居ると、冷や汗が出る……男性が側に居ると、冷や汗が出て、男性が少しでも触れると、その部分が気持ち悪くて、かきむしったり洗い流したくなります。
8.声がでなくなる……一日に何度か、話そうと思っても、自分で驚くくらい声が出なくなります。
9.疲れがとれない……寝すぎなのではと思うくらい寝ていますが、疲労感があります。目の下のくまもひどく、日中も眠くなります。

14歳から心因性難聴と自律神経失調症を患っています。上記の症状は、自律神経失調症の症状なのでしょうか?それとも、他の病気なのでしょうか?何の病気でもないなら、一番良いのですが……。

 
林: これは解離性障害です。

1.人の声が聞こえる、救急車のサイレンの音が鳴っている……

幻聴です。そしてこの幻聴の内容は、解離の色彩があるものです。
 
2.スーツを着ていて目が光っている男性と、女の子が見える……

解離性障害の症状としての幻視です。

3.昔の記憶が曖昧……保育所~中学までの記憶が曖昧で、もやがかかったような感じがします。

解離性健忘です。保育所~中学までの時期に、現在の症状と関連する何らかの出来事があったと強く推認されます。

4.夢か現実かわからない……

現実感喪失離人症状と呼ぶこともできます。解離性障害の症状です。

5.体に覚えのない傷がある……

解離性健忘です。傷は自傷行為に間違いないでしょう。
 
7.男性が側に居ると、冷や汗が出る……

上記 3. の出来事が、男性に関連するものであったことが疑われます。

8.声がでなくなる……一日に何度か、話そうと思っても、自分で驚くくらい声が出なくなります。

失声。これも解離に伴う症状です。

14歳から心因性難聴と自律神経失調症を患っています。

心因性難聴は、このケースでは解離の一症状です。自律神経失調症については、この病名でどのような症状を指しているか不明ですのでわかりません。

上記の症状は、自律神経失調症の症状なのでしょうか?それとも、他の病気なのでしょうか?

明らかに解離性障害の症状です。しかし主治医の先生は、それは承知のうえで、自律神経失調症という病名で説明されているのかもしれません。もしこれらの症状の中に主治医の先生にお伝えしていないものがあれば、それも含めて、すべてをお伝えください。適切な治療のためにはすべてを先生に知らせることが必要です。

(2014.3.5.)

05. 3月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害