【2607】「あなたのは仕事が上手くいかないことによる逃げだからうつ病じゃない」という母が正しいのでしょうか

Q: 私は30代前半の女性です。最近仕事のストレスで、朝は目が覚めてもベッドから起き上がれないことが多々あり、出勤するにしても自分自身に出社しなければならない意味を毎朝言い聞かせて、なんとか自分を納得させて起き上がる、と言う日々です。そのため、出勤時間がばらばらになり会社に迷惑をかけている状態です。また、精神面で出社が厳しい状態で会社に「休みたい」と電話をしても「出社して欲しい」と言われ、仕方なくなんとか気力を振り絞り行くこともあるのですが、まともな判断が下せなかったり、仕事に順序が付けられなかったりと、やはり迷惑をかけている状態ですし、自己嫌悪を上乗せしている状態にもなっています。  とりあえず出勤状況だけでも解消したいということで心療内科を訪れました。 医師に伝えたことは、上手く説明できないので箇条書きにすると・朝はベッドから起き上がる気力がない・夕方に近づくにつれて元気になる(朝よりはテンションが高く、普通に仕事が出来る)・常時頭が締め付けられるように痛い。時々吐きはしないが吐き気がする・人の言うことを正面から受取れない(たとえば、実際の言葉は「今は貴方が必要なんです」なんですが、私の意識としては「早くこのごたごたを片付けて、手のかかる面倒くさい人を追い出したい」とか「なんでこんな性格の面倒な人を俺が相手をしなくちゃならない」と相手の声で聞こえる)・勤務時間は気力が失せる寸前まで3ヶ月程度でしたが、勤務時間は7時から24時、休憩なし、朝食は食欲がなくほとんどとらず、昼食は休憩がないので取れず、夕食は勤務後なので25時や26時・その3ヶ月前は4時起き帰宅22時のため、就寝はどんなに早くても0時 ただ、この時期はテンション(?)が高く、就寝時間が短くてもさほど苦にはならず、休日も突然思い立っては早朝から出かけていたりした。・受診当時はテレビや音楽を聞くのも苦痛だった(今は、物によっては聞ける。ただし、内容は聞いてないし頭には入っていない)・2年前にプライベートなストレスで「抑うつ状態」という診断を下され、1ヶ月休職のち復帰している・抑うつ状態で処方されていた薬はジプレキサ(お薬手帳が手元にないので定かではないのですが、7.5だった気がします)・マイスリー・リスパダール(水薬で頓服用)この処方薬がウツではなく統合失調症用の処方ではないかと医師に言われたので、以前の医者に、小学生の頃は頭の中に自分ではない人がたくさん居たり、声が聞こえていたと伝えたのでそのせいではないかと伝える。・復職は「うつ病は心の持ちようで治る!」と言い張る強い希望(母は病院と薬が何より嫌いです。今年の冬、新型インフルエンザだったにもかかわらず「風邪だ!」と言い張り、私が「会社からの命令だから診断を受けてくれ」と言って初めてしぶしぶ病院に行き、新型であることが判明して事なきをえた) ただ、これは私自身も復職するなら全く知らない人と知らない仕事を一から覚えながらは厳しいと思っていたので、同意はした。・薬は、去年の3月に精神科に通うことを認められない母の希望で、医師に断りなく勝手に止めた(1〜3月まで出勤しなくてもいい状況が続いていた時期があったのですが、食事と風呂の時間以外は意識が朦朧としてほぼ寝ているという状態だったので、その状態にじれた母が「こんなの飲んでも余計に悪くなるだけだから飲むな!」といい、あまりに母がうるさいので試しに切ってみた)・止めたあとからずっとテンションが高い。4月〜8月までは睡眠時間2時間でも平気で仕事が出来た・自殺願望はウツっぽい症状が出た初期の時点ででている。ただ、自殺願望は小学校高学年の頃からあるもので、どれだけ「死にたい」と考えようと死なないことが自分でわかっているから、思考が疲弊するまで放置していた。 こんな感じです。  病名の断定は避けられてしまいましたが(今回診察をしていただいた先生のなかでは異質な存在だったようです)、とりあえず現状ではオーバーワークでウツ状態なので、休息するよういわれました。処方は、最初ジプレキサをと仰っておられたのですが、あれを服用すると仕事にならないのと異常に太るからと拒否すると、ジェイゾロフト50mgとドグマチール25mgを処方されました。   この結論を母に伝えるとやっぱり「薬は処方されても飲むな」、「もう病院にはいくな」、「あなたのは仕事が上手くいかないことによる逃げだからうつ病じゃない」と言います。病院に行く前に申し込んでいた日帰り旅行でテンション高く活動していたのが判断基準みたいなのですが、行った本人(一人旅行で、母は電話で話を聞いていただけ)は朝起きるのはいつもより多少楽だっただけで(会社じゃなかったから)、昼までは会社での失敗を思い出して暗くなったり生きてることがいやになったり、普段なら行った先の街中走り回るのにあまり歩き回らなかったりと、申し込んだので勿体無いという思考で半分無理矢理動いていただけです。動ける時点でウツではない、と言われてしまえばそうなのかもしれません。  私は自分の思い込みや、医師の営利的な判断により「うつ病」方面だと診断されているだけなのでしょうか? もし「うつ病」などの精神的な病であり、長期の投薬治療が必要な場合、うちの母を納得させる方法はないでしょうか? 現在見ていただいているお医者様とも当然相談いたしますが、林先生の見解をお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。ちなみに、このメールを書いている18時〜20時現在、思考はとってもクリアで、元気です。外に出る気力は0ですが。

 

林:
「あなたのは仕事が上手くいかないことによる逃げだからうつ病じゃない」という母が正しいのでしょうか

確かに、「仕事が上手くいかないことによる逃げ」を「うつ病」と称している人はいます。その場合は擬態うつ病と呼ぶべきでしょう。

けれどもこの見解を示されている【2607】のお母様は、

「うつ病は心の持ちようで治る!」

とおっしゃっているとのこと、つまりお母様は擬態うつ病と真のうつ病を混同しています。これは非常に危険な混同です。

経過と症状からみて、この【2607】の質問者は真のうつ病の可能性のほうが高いです。ところが、お母様が治療の障壁となっていることが見て取れます。

もし「うつ病」などの精神的な病であり、長期の投薬治療が必要な場合、うちの母を納得させる方法はないでしょうか?

ないとは限りませんが、うつ病で治療中の質問者にとって、その努力はあまりに過重なものになるでしょう。
したがって現実としては、「納得させる方法はない」ということになります。
ではどうするか。
お母様と決別することをお勧めします。
これはあまりに乱暴なアドバイスのようですが、うつ病は、適切に治療しなければ命にもかかわる病気です。そして、適切に治療すれば治る病気です。そのうつ病の治療を、お母様が頑強に阻んでいる以上、ご自分の命と今後の人生のためには、お母様とは決別すべきです。

(2014.4.5.)

05. 4月 2014 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 擬態うつ病, 精神科Q&A