【2562】 明らかに嘘をついているのに自覚がない夫
Q: 30代の主人の相談です。うつ・不眠で4年以上通院しています。夫は明らかにたくさんの嘘をつくのですが、その自覚がないようなのです。嘘というのは、主にコンビニに行って何を買ったかについてです。(ほかにもあるかもしれませんが確たる証拠がありません)毎晩のように夕方や夜に出掛けては、数百円のお金を使っています。時には私の財布から勝手にお金を持って行ってしまいますので、今はお金は隠しています。本人は、「○○と△△を買った」と言うのですが、それだけでは明らかに財布に残っている額と合わないのです。ほかにも何か買っているはずなのに、全く思い出せませんし、嘘をついているようにも見えません。その点は信じています。なので、自覚のない虚言癖なのか?と思ってしまいます。 あとは、私が夜風呂に入っている間に、明らかに出掛けた形跡があり、お金も減っているのに、「ずっとここにいた。出掛けてなんかない」と言うのです。本人に財布を確認させ、お金が減っていることを指摘すると、「○○円あったはずなのに〜〜」と本当に悔しそうなのです。何を買ったか記憶がないだけでなく、出掛けたことすら覚えていないのです。ほんの何分か前のことなのに、です。最初は何かの病気で記憶を無くしてしまうのか?と思いましたが、そんなに簡単に記憶をなくすというよりは、自覚もなく嘘を繰り返しているというほうが納得がいく気がします。 そして、そのように出掛けてから何らかの記憶をなくしたときは、その後目がとろんとしてふらふらになって、ひどいと一人で立てないくらいになります。それが数時間は続くので、それも家族にはつらいです。主治医からは、解離性障害ではと言われています。初めは記憶をなくすのも、解離の1種かと思いましたが、今では虚言癖に近いものなのかと思っています。どちらにしても、治療法はないものなのでしょうか? そして肝心の、何を買っているかということですが、たぶん酒だと思います。酒で体を壊して入院して、お酒を止められているので、辛いんだと思います。本人は、苦も無く酒をやめられると思っているので、こんなふうに夜な夜な酒を買いに行ってしまう現実を直視したくないのではないでしょうか。しかし現場を押さえたわけではないので、何とも言えませんし、本人に問いただすのも無意味だと思います。長々と書いてしまいましたが、解離やら虚言やらアルコール依存やら、いろんな問題が絡んでいて、どうしたらよいかわかりません。何かアドバイスをお願いします。
林: 病的な虚言があるとしかいえない・・・かもしれませんが、もしこの方のつく嘘が、
嘘というのは、主にコンビニに行って何を買ったかについてです。
このように買い物の内容に限られているとすれば、いわゆる病的な虚言とは違いそうです。上記、「主に」と書かれているのが、「コンビニに」にかかるのか、「何を買ったか」にかかるのか、この文章からだと区別がつきませんが、一応「何を買ったか」にかかると仮定しますと、「何か、妻に知られたくないものを買い、それについて嘘ばかりついている」というパターンが認められるということになります。
但しもちろん、
(ほかにもあるかもしれませんが確たる証拠がありません)
という可能性も考えなければなりませんが、虚言とは、その性質上、何が本当かどこまでいってもわからないことが多く、可能性だけを追求するときりがなくなりますので、一応ここでは上記の通り、「何か、妻に知られたくないものを買い、それについて嘘ばかりついている」という前提で話を進めることにします。
一般論として、夫が自分の買い物について妻に嘘をつくという状況は(逆に、妻が自分の買い物について夫に嘘をつくという状況も)、そう少なくない頻度であり得ることです。その場合は一定以上の高額な買い物であることが常ですが、この【2562】のケースでは、財布の中にある金で買える額であること、近所に出かけて買える額のものであることから、対象物は限られてきます。
そして、
そのように出掛けてから何らかの記憶をなくしたときは、その後目がとろんとしてふらふらになって、ひどいと一人で立てないくらいになります。それが数時間は続くので、
これは重要な情報です。
主治医からは、解離性障害ではと言われています。
とのこと、確かに上記の状態と嘘をあわせると、解離性障害は考えられます。
しかし、おそらくこのケースでは、
何を買っているかということですが、たぶん酒だと思います。
この推測が正しいと思います。上記の
そのように出掛けてから何らかの記憶をなくしたときは、その後目がとろんとしてふらふらになって、ひどいと一人で立てないくらいになります。
は、単なる酩酊でしょう。解離を持ち出さなくても、「酒を買って飲んで酔っぱらっている。酒を買って飲んだことは嘘をついて否定している」という、アルコール依存症にしばしばみられる、ごく単純な言動そのものにすぎないと思います。
酒で体を壊して入院して、お酒を止められているので、辛いんだと思います。本人は、苦も無く酒をやめられると思っているので、こんなふうに夜な夜な酒を買いに行ってしまう現実を直視したくないのではないでしょうか。
そのように解釈することはできますが、アルコール依存症にしばしばみられる、アルコールについての嘘とみるほうが自然です。
アルコール依存症や薬物依存症では、自分のアルコール・薬物について、非常に嘘が多いことはよく知られています。その中には、普通の心理から類推可能な嘘もありますが、なぜこんなわかりきった嘘をつくのかと周囲が思うような、信じられないような嘘もしばしばあります。それをこの【2562】の質問者のお考えのように、
本人は、苦も無く酒をやめられると思っているので、こんなふうに夜な夜な酒を買いに行ってしまう現実を直視したくないのではないでしょうか。
あるいは
初めは記憶をなくすのも、解離の1種かと思いましたが、今では虚言癖に近いものなのかと思っています。
と推定することも可能ですが、そうだとしても結局のところそれを証明する方法はありません。はっきり言えることは、そういう信じられない嘘をつくことがしばしばあるということだけです。そしてこの嘘は、いわゆる病的な虚言と非常によく似ています。内容がアルコール・薬物に限定している点は大きな違いですが。
しかし現場を押さえたわけではないので、何とも言えませんし、本人に問いただすのも無意味だと思います。
問いただしても事実が吐露されることはないという点では無意味かもしません。しかしこのままではご主人のアルコール依存症はどんどん進行して行きます。現場をおさえ、事実を確認したうえで、断酒の方向に持っていくのが、それを防止する唯一の方法です。このままでは破滅に至るのは目に見えています。
(2014.3.5.)