【2543】13歳知的障害者の息子の虚言

Q: 私は20代後半の女性です。児童養護施設に預けている13歳の息子の言動について、ご質問させて下さい。 息子は、先日受けた知能検査で、軽度の知的障害だということが判明しました。学力レベルは、小学校二年生程度だそうです。 事情があり、産まれてからすぐに施設に預けたのですが、3年前までは半年に一度程度、それ以降は月に一、二度面会に行ったり遊びに連れて行ったり自宅に泊めたりしています。(※私は現在、一人暮らしです) そして最近、ケースワーカーの方から「息子さんが授業中に突然いなくなり、担任の先生が探しに行ったら校庭でうずくまって鼻血を出していた」との知らせを受けました。 その中学校は施設に併設されており、中学生のクラスは一つだけです(生徒数15人程度)。 なので、授業中に誰かと喧嘩をしたり、他のクラスの児童に殴られたりして鼻血を出したというのは考えにくいらしく、息子の虚言によるものかもしれないそうです。 その際、息子は「七色の化け物に襲われそうになったから、やっつけようとして戦っていた」とも言っていたそうです。 児童精神科の先生に診て頂いたところ、思春期による一過性のもの、という診察結果でしたが、知的障害に関連するものなのか、それともストレスか何かでそのような発言をしたのか、わかりかねています。 心配する必要が無いなら無いで安心出来るのですが、何となくしっくりきていない自分がおります・・・。

 

林: 人は誰でも嘘をつきます。しかし普通は、すぐばれる嘘はつきません。ばれることをおそれるからです。嘘がばれることで、後々の自分の立場が悪くなることをおそれるからです。ではばれない嘘ならつくかというと、そこには倫理・道徳の歯止めがかかります。
・・・という単純な説明がどこまで正しいか疑問なところは多々ありますが、概略としては正しいでしょう。
ところがこれが全く通用しないケースがあります。すなわち、すぐばれることは誰が見ても明らかであるのに、嘘を繰り返す人がいます。そういう人は、病的な虚言があると呼ばれることになります。(その多くは、自分の嘘を真実と信じ込んでいるように見えるものです。けれども嘘かどうかは完全に主観的なものですので、本当に信じ込んでいるか否かは結局わからないのですが)
他方、そもそも「すぐばれる」ことが理解できずに嘘をつくケースがあります。知的障害の中の一部の方の嘘がそれにあたります。
この【2543】は知的障害であるとのこと、するとすぐばれることが理解できないための虚言がまずは疑われるところですが、これまで虚言らしい虚言がなかったのにかかわらず(かどうかは明記されていないのでわかりませんが、文脈上そうであると推定することにします)、ここに来て極端な虚言が出たということは、何らかの原因があったと考えるべきでしょう。

知的障害に関連するものなのか、それともストレスか何かでそのような発言をしたのか、

おそらくその両方でしょう。母である質問者にもまだ言えない、何らかのストレスがあったと推測できます。

(2014.2.5.)

05. 2月 2014 by Hayashi
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