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パニック障害

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パニック障害についての本をご紹介します。


●● 「不安・恐怖症 パニック障害の克服」
 貝谷久宣著 講談社 1996年

パニック障害の臨床経験豊富な著者が、患者と家族のかたがたに向けて書いたすばらしい本です。「患者の立場に立って」という意図がどのページにもあふれており、それでいて医師としての科学的姿勢はゆらぐことなく、正確無比の内容です。パニック障害に悩むご本人やご家族の方すべてに読んで頂きたいと心からおすすめ致します。
ただし私が賛成できない部分が3ページだけあります。それは巻末の「パニック障害にくわしい医療施設ガイド」です。もちろんここに紹介されているのはそれぞれ立派な病院ですが、特にパニック障害の治療を得意としているかという点は疑問です。この部分よりも、本文中の「よい医師、よい医療施設の選びかた」を参考にされた方がはるかにいいと思います。(もっともここをよく読むと、巻末のリストは「過去パニック障害の専門会議で研究発表をした施設で、ひとつのめやすにすぎない」という意味のことが書かれています)

「潤一郎ラビリンス<1>初期短編集」
 谷崎潤一郎著 中央公論社 1998年


文豪・谷崎潤一郎の初期短編集です。なぜここに紹介するかというと、この中の「恐怖」という作品が、パニック障害の症状や苦しさが一人称で見事に描かれた小説だからです。たとえば、「汽車へ乗り込むや否や、ピーと汽笛が鳴つて車輪ががたんと動き出すか出さないうちに、私の体中に瀰漫して居る血管の脈拍は、さながら強烈なアルコールの刺戟を受けた時の如く、一挙に脳天へ向って奔騰し始め、冷汗がだくだくと肌に湧いて、手足が悪寒に襲はれたやうにふるえて来る・・・」といった具合です。ここでは「鉄道病」という名になっていますが、内容はパニック障害そのものです。大正二年の作品です。


「脳内不安物質」
 貝谷久宣著 講談社 1997年

上にご紹介した「不安・恐怖症」と同じ著者による、続編とも言うべき本です。こちらの方が、不安の脳内のメカニズムの説明に重点を置いており、その意味ではより科学的な内容とも言えます。「不安・恐怖症」がやや物足りないとか、もっと詳しく知りたいと感じられた方には最適の本です。講談社ブルーバックスのシリーズですので、ほとんどの書店にあり、値段も660円(1998年5月現在)と手頃です。
内容的には文句のつけようのない、名著といっていい本だと思いますが、残念なのはタイトルです。「脳内不安物質」というのはいかにも流行に迎合して売れ行き増加を見込んだ軽薄なタイトルのように私には思えます。せっかくの名著がトンデモ本のように見られてしまいそうでとても残念なことです。

Gorman JM et al: Ventilatory physiology of patients with panic disorder. Archives of General Psychiatry 45: 31-39, 1988.

二酸化炭素を吸うと、パニック障害の人はパニックになりやすいことを実証した代表的な研究です。医学部講堂も参考にしてください。

 


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