【4224】遺伝かもしれない精神疾患に打ち勝つにはどうすればよいでしょうか

Q: 20代男性、社会人、物を作る仕事に就いております。
心療内科の通院歴は1年半と短いですが、慢性の不眠症で、主に睡眠導入剤を処方していただいております。
また、ここ数年、希死念慮や現実感の無さが実感出来ます。

ここで、私のことを語る前に、私の家族についてお伝えいたします。
父方の祖父は、重度のアルコール依存症で数回入院歴あり、現在はその様な処置が行われているか不明ですが、病院では手足を縛っておかないと窓から飛び降りようとしたり、天井から見張られている/銃を突きつけられているといった主張をしたり、食事をするときに各食べ物の指差し確認をしてから食事をしたりと、異常行動が目立ったそうです。祖父はタクシーの運転手でしたが、仕事中でも普通に飲酒をしていたと聞いており
ます。結果、祖父は若くして病気で亡くなりました。

その息子、つまり私の父親は、恥ずかしい話ですが10回以上職を転々としております。安月給ですが、常に給与分以上のお金を持ち歩いていたことから「会社の資金をくすねて来たのではないか」という疑惑が家庭内に常にあり(問い詰めると激昂し、手がつけられない状態になります)、結果、どの会社も何かしら問題を起こして辞職しております。(父も祖父ほどではありませんがアルコールは摂取する方です)
そして、辞めた理由を言わない、給与以上のポケットマネーの出どころの説明もない、辞めた理由を必ず人のせいにする、万引きでの逮捕歴があることなどから(書けば長くなるので割愛しますが、筋が通らないことだらけなのです)、父親に何らかの非があるのは確かかと思われます。
毎日の夫婦喧嘩は当たり前、家の中は殺伐としており、私が父と母の仲を出来るだけ取り持つ相談役をしておりました。実家にいた頃、私は父と母の二重スパイ状態になっており、結婚生活というものに全く憧れが持てないまま、現在に至ります。

私は大学の4年間、重度の知的/身体障害をもつ利用者さんが暮らす介護施設でアルバイトをしておりました。幼い頃から上記のような話を聞かされていたせいか、いわゆる「健常者」と違う人々にとても興味がありました。

そして、現在の私ですが、介護とは全く別の、物を作る仕事をしております。ですが、いざ、社会人になると、少しでも面倒なことがあると薬やアルコールに頼るようになりつつあります。しかし、そうしている間にも、学生時代の仲間が実績をつんでいっていることに対する焦りや、仕事が上手くいかないもどかしさなどから、希死念慮や、仕事のミスをすると途端に自分を自分が外から見ている様な、(要は他人事の様に思える)感じが強くなります。
祖父や父親の様にはなりたくありません、ですが、日に日に、昔持っていた情熱が枯れていくようで、とても辛いです。これは遺伝によるものではないかと素人ながらに考えるようにもなりました。この考え方も、何かのせいにしているようで嫌なのですが、周りの人を見ていると、やはり周りの人のほうが「まとも」にみえてくるのです。この症状は、遺伝によるものでしょうか?
また、薬やアルコールに依存せずに上記の症状を治すことは可能でしょうか?
もし具体的な方法がございましたら。ご教授いただけますと幸いです。(ちなみに、アルコール依存症の家系であるということはかかりつけの先生にお伝えしてあります)

 

林: この段階で、今の状態を遺伝によるものと推定する根拠は薄いと思います。仮に遺伝の要素がいくらかはあるとしても、中心的なものと見る必要はないでしょう。

薬やアルコールに依存せずに上記の症状を治すことは可能でしょうか?

「薬やアルコールに依存して治す」 というそもそもの考え方から脱することが第一です。

それはそれとして、

ここ数年、希死念慮や現実感の無さが実感出来ます。

これらについては主治医に症状を正確に伝えて、適切な治療を受けてください。その治療は薬を用いることもありえますが、「薬を治療に用いる」ことと「薬に依存する」ことは別の概念です。

(2021.2.5.)

05. 2月 2021 by Hayashi
カテゴリー: アルコール依存症, 精神科Q&A タグ: |