【4090】15歳の娘の虚言
Q: 私は40代女性です。 真実を知りたいと思い、メールさせていただきました。
【半年前に親子喧嘩をした際、娘が祖母のもとにいったのを最後に娘の面会を一切させてくれないどころか、孫の監護権を求めて私に対し訴訟を起こした。15歳になれば養女にすると明言している。会わせてもらえなくなってから、娘が変わってしまった。】
私には小学6年生の娘がいます。シングルマザーであり仕事が不規則であるため、小学5年になるまで実家の両親に預け週末実家に面会に行っていました。平日は娘の生活リズムが崩れるからと、面会を拒否されましたが、それも一理あると思い、我慢しました。元来私と実母は折り合いが悪く、面会に行行っても「くさい」ことを理由に納戸への行き来しか許可されず、食事は私以外が同じテーブルで食べ、私だけ別室で食べていた生活を5年以上続けてきました。その間一切口は利かず、娘の状態は週末サマリーのようなものが文書で娘経由で渡されていました、実母は私を最低の母親と言い聞かせて育てたため、娘からそのような言葉がでてくることもありました。実家であり、実母のルールで生活していましたが、娘の安定した生活を優先させ、世話になっているからと不平は言ったことがありません。私自身殴られて、高圧的に育てられたので、私と祖母との間には主従関係があったのかもしれません。
小学4年生の時、父(娘にとっての祖父)の過度な教育がもとで過呼吸になり、このときから私は実家で同居することが許され、父のみ別居し、実母、私、娘の3人で生活するようになりました。過呼吸はすぐなくなりましたが、毎日同じふとんでねることを強固に希望し、親子喧嘩をする前日まで一緒に寝ていました。膝にのってくるなど、幼少期にできなかったことを取り返しているのだと、思っていましたし娘からも「祖母にいうと怒るからいえなかったけど、ずっと一緒にいたかった」という言葉を聞きました。4か月仕事を休み、娘と向き合ってきたつもりでしたが、実母は「母親が勉強を強要、虐待した」といい、今は娘も同じことをいうようになっています。暴力は一切ありません。ただ、けんかをした際「片付けしないならでていけ(でていけは虐待だと警察に言われましたが)」といったことはありました。祖父母はその点と勉強を過度に強いたという点を誇張し、裁判の記録もすべて11歳の娘にみせ、娘自身に反論書面をかかせました。それだけではなく、娘は「SOS」という物語をwordでうち、最後に「これは私におこった真実です。」と書き添えて学校に持っていったそうです。ですが、前日まで一緒に寝て、同居後毎日一緒にお風呂にはいっていた娘が、会えなくなったとたんに、ここまで私を非難するようになったことが信じられません。勉強を強いるどころか、塾を辞める話までしていたにも関わらず、なぜ嘘をつくのかわかりません。また宿題はすべてこなせないため、娘がやりやすいように整理、1/3は割愛していました。
娘とあえなくなってから2度家出をし、そのうち1回は警察のご厄介になり、うち1回は児童相談所まで送られたそうですが、詳細は分かりません。私は、勉強が(娘なりに)行き詰っていたことから理由をつけて逃げたこと、また私を非難する祖父母にあおられ、虐待だと思い込んだこと、またそういえば、警察も学校も祖父母も塾もすべて自分に優しくしてくれることを学びそうしていると考えたのですが、ここまで強固に嘘をつき、自分の不遇を主張するのは、精神学的にみるとどのような状態なのでしょうか。
もともと集中すると周りがみえず、また友達付き合いも苦手でしたが、かんしゃくを起こすようになったのはここ1年くらいです。また、恐怖で私に意見できなかったと調書に書いていましたが、はっきり意見する娘であり、納得いかないと、いう事はききませんでした。私は70歳後半になる祖父母がここまで孫に固執することをおそろしく思っています。
いずれにしても祖父母と私の確執、自分の出生時のことなど知らなくてもよい裁判の書面まで娘にみせるという行為(祖父母が)が、今後どのように影響するのかも心配しています。祖母が私の幼少期の事まで遡り、辛辣な言葉で私を非難する書面も、祖母は娘にみせています。裁判官より「でてきている証拠のみでは、ここまで子供がいうことに違和感を感じる」とじきじきにおっしゃいましたが、娘に何がおこっているのかを知りたいのです。
嘘をついているのは子供です。でも裁判官は、子供は本当の事を言っているという原則に基づいているようで、私の話に耳をかたむけてはくださらないのです。私の無罪を証明したいのであれば、裁判の場で主張すればよいのでこのサイトには相談しません。また、林先生に嘘をつかなければならない理由も私にはありません。ただ、娘に何が起こっているのかを冷静にみていただきたいのです。そして先生はもうすでに感じておられると思いますが、祖父母の教育方針で育てられた娘を、私自身も受け入れることが難しい状態でした。でも短い年月ではありましたが、娘と多くの時間を過ごすようになり、これまでに経験したことがない感情がわいてきたのと同時に、義務感を強くもったことは事実です。(そのため、急に私があれこれ娘について決めたことが、祖父母には気に入らなかった)
最後に、答えてくださるのは10%以下であると精神科Q&Aに質問される方へ(その2)に記載されていました。
また裁判になっている事案であり、回答ができないというのが本当のところかもしれません。でも裁判は必ずしも真実を反映していません。また社会にでると忖度が多くみられます。でも林先生は真実を書いてくださる、私は娘の真実が知りたいのです。それがどのような内容であったとしてもです。
どうかよろしくお願い致します。
林: 娘さんご本人がどういう方であるかがほとんど不明であるという著しい情報不足、そして、現在、法的争いが発生していて、質問者はその争いの一方の当事者であり、したがっていかに質問者が客観的な立場を取るように努めようとしてもそこには相当な限界があるという当事者バイアス、主としてこの二つの問題があるため、この【4090】への回答は困難です。
そこで、この【4090】のように「何らかの問題がある大人Aのもとで、一定以上の期間養育された子どもCが、事実とは異なることを言っている」という場合に一般論的に考えることのみを簡潔にお答えします。(もっともここで、「何らかの問題がある大人」というのは、質問者から質問者の親=子供からみた祖母を見た場合の評価であるにすぎませんので、この前提自体が誤っている可能性がありますが、その可能性は除外します)
最も考えられるのは、CがAの意図するままに「あやつられている」ということです。このような場合、「マインドコントロール」という言葉が用いられる場合もあります。「マインドコントロール」は多義的で、多くは雑に用いられている言葉なので本来は適切ではありませんが、イメージとしてはあてまるでしょう。
でも裁判官は、子供は本当の事を言っているという原則に基づいているようで、私の話に耳をかたむけてはくださらないのです。
必ずしもそうとは限りません。また、裁判官が事実に基づく正しい判断をできるように情報(=証拠)を提供するのは弁護士の仕事です。証拠裁判主義という言葉が象徴するように、裁判とはあくまでも証拠に基づいて判断を下すものです。そのために必要な証拠を収集し、裁判所に提出するのは弁護士の義務であると言えます。但しそれは弁護士がいかに優れた方であっても、弁護士単独ではできません。
でも短い年月ではありましたが、娘と多くの時間を過ごすようになり、これまでに経験したことがない感情がわいてきたのと同時に、義務感を強くもったことは事実です。
娘さんのために、必要な証拠を弁護士に提供するのが、あなたの義務だと思います。
(2020.8.5.)