【4049】数年前から自分は何かおかしいのではないかと思う理由がたくさんあります
Q: 18歳女性です。一度高校を中退し、再入学したので、本来なら大学1年生になりますが、現在高校3年生として学んでいます。数年前から疑問に思っていたことがあったので、質問させていただきます。私は、数年前から、自分は何かおかしいのではないかと思うことがありました。病院に行きたいとうったえたこともあったのですが、両親からすごい剣幕で反対されたので、それから自分が病気みたいなのは「甘えているだけだ、逃げようとしているだけだ」と思うようにし、自分がおかしいと口に出すことはやめました。なので、通院したことはありません。自分が病気みたいだと思ってから、いろいろなサイトや本を読んで、調べました。ですが、そうして病気の症状に詳しくなっていくうちに、もしかして自分はそのような症状をでっちあげて、病気のふりをしているだけなのではないかと思うようになりました。自分が本当に自分でこういうことをしているのか、それとも病気を偽るために成り切っているだけなのか、自分でも区別がつきません。今でも自分が甘えるために病気を偽って、このようなことをしているのかもしれないと思うと、不安になります。悩んでいることについては、できるだけ正直に書くように(大げさな記述はしないように)心がけました。私のこれらは病気なのでしょうか。自分では分かりません。教えてください。お願いします。
(1)7年間自殺願望を持ち続けています。ベルトで首をしめたり、冬に川に入ってみたりしてみたのですが、死ねませんでした。それでも日常的に、自殺する自分の姿を何度も想像してしまいます。いつのまにか、いつ死ぬか、どんなふうに死ぬかを考えています。
(2)気分が晴れません。心の底から楽しいと思えたことが、ここ7年間ありません。自分はいらない人間だ、とか、消えても同じだ、とか考えて、死にたくなります。
(3)辛い気持ちになってくると、体中を引っ掻いてしまいます。真赤になって腫れ上がり、内出血が出ます。
(4)外に出ると、周囲の視線が気になり、不安になってきます。誰かが自分を見ているように感じ、「ダサい」とか「キモい」と、うわさをされているのではないかと思ってしまうのです。妄想だと分かっているのに、ぐったりして、誰にも会いたくなくなります。
(5)外出する前、何度も着替えをします。ダサい服装では外に行ったら馬鹿にされる、という思いが消えないのです。多いときは5回も6回も着替えます。そのうちうんざりして、外出をとりやめてしまうこともあります。
(6)会ったこともないメール友達と、性的関係を持つイメージが消えません。夜、布団で寝ているとき、自分の手が自分の体にふれていると、友達の手に触れられているように感じます。自分の体が、自分なのか、頭の中のメル友なのか、分からなくなります。左手と頭がメル友で、右手と胴体と脳が自分で、というふうに、部分的に成り代わります。左手が右手を愛撫するというように、一人で二人のような、変な感覚です。頭の中でその人の声が聞こえてきて(実際聞いたことはありません)、他愛もない会話をします。会話が声に出てしまうこともあります。現実ではないことを分かっているはずなのに、私は、イメージと現実をごっちゃにして、その人と話しているようなふしがあります。
(7)私の部屋は監視カメラで見張られている、という妄想のようなものがあります。何となくですが、居間で両親が部屋にいる私を見て笑っているのではないか、あきれているのではないか、と無意識に思い込んでいるようなのです。PCの中身を探られているのではないか、日記を読まれているのではないかと、いつも半信半疑です。
(8)昔から知らないうちに微笑んでいる、というのはあったのですが、最近、変なところで笑い声が出るようになりました。急に、一人でいるときや、寝ようとしているときなど、笑いに関係ないところで笑いたくなるのです。思い当たるのは、友人とその男友達と私で、友人の家に泊まったことです。二段ベッドの上で私が、下で友人と男友達が寝ていたのですが、セックスしているのを聞いてしまい、ショックを受けました。次の日の夜、男友達がまた泊まりにくるというので、私は別の部屋を借りて寝ました(友人は私に聞かれていることを知りません)。そうしたらまたセックスの声が聞こえてきて、悲しくて笑いが止まらなくなりました。一時間くらい笑いが止まらず眠れませんでした。それから変なところで笑う声が出るようになりました。
(9)疎外感をいつも感じています。学校で友人と話すときも、自分がいて邪魔なのではないか、などと思ってしまうのです。友人たちは必ず一人ずつ仲のいい人がいて(彼氏や幼馴染)、いつも一緒に行動しています。その中にいると、私は自分が、ただ付きまとうだけの意味のない存在のように感じ、何も話したくなくなります。友人たちが話しているのを見て、笑っているのが精一杯です。何か話そうとしても、頭が真っ白になって、何もできないのです。
(10)文章が上手く喋れません。単語を発するのに、いちいち間が空いてしまいます。自分が何を言いたいのかは分かっているのに、どう言葉にしたらいいのかが分からないのです。それから、緊張で舌がもつれ、よくどもります。相手の言ったことも、しばらく考えないと理解できません。声が出ている、何か話しているというのは分かるのですが、文章の内容を頭の中で形にするのに時間がかかるのです。
(11)相手がいる、ということがうまく分かりません。友人の姿は見えるのに、相手が自分と同じように何かを思っている、ということが分からないのです。周囲の人間はテーブルや椅子のような無機質なモノみたいです。おかげで、相手が何を考えているのか推し量れず、奇妙な行動や発言をしてしまい、不思議がられます。
(12)ここ二ヶ月くらい、自分が誰なのか分かりません。周囲の人間と自分との境界が分からなくなり、混乱するのです。人ごみの中に立っていると、自分がぶあーっと溶け出してしまって、風景と判別がつかなくなりそうで気持ち悪いです。誰かと話しているときも、他の人間になりきっているようで、自分の意見ではないような気がしてきます。自分の意見なんか一つもなくて、実は本や昔誰かが言ったことを反復しているだけのようで、自分というものがそもそも何なのか、見失ってしまいました。私という存在は、何なのでしょう。
(13)時々、意識がぼうっとして、焦点が合わなくなります。そうすると相手の声が聞こえなくなります。音楽がかかっていると、音楽だけが大きな音で聴こえます。それ以外は無音です。自分がどこを見ているのか分かりません。
(14)口臭が気になります。人が裏で、私の口臭のことを話しているのではないかと思い、嫌な気持ちになります。
(15)私はネットをよくするのですが、ネット上で知り合い仲良くなった仲間の内の一人を、理想化して頼りきってしまうところがあります。その人からメールが来ないと悲しい気持ちになり、嫌われたのではないかと異常におびえます。そのくせ、仲良くしてくれていると、自分が迷惑になっているのではないかと不安になり、自分から連絡をたってしまいます。たっている間もやっぱり嫌われているのではないかと不安で、結局自分から連絡をとり、「私、迷惑になっていない?」と確認し、相手が「そんなことないよ」と言ってくれたらまたメール、ということを繰り返します。現実で嫌なことがあると、パニックになったままその人にメールをしてしまい、ネガティブなことを言い続けます。相手が自分の思い通りの返事をくれないと落ち込み、せめるようなことを言ってしまいます。こんな付き合い方、相手の人にも負担だろうし、自分も我に返ってから申し訳ない気持ちになります。やめたいのですが、依存しきっているようで、その人からのメールを待ってしまいます。
(16)学校から帰った後や、休みの日は、カーテンを閉めて音楽をかけ、ひたすら布団にくるまって寝続けています。何もする気になれないし、何も見たくないし、誰にも会いたくないのです。
(17)ふとした瞬間に、妄想に入って抜け出せなくなります。友人を殺したらどうなるか、とか、男友達とセックスしたらどうなるか、とか、そういったくだらないことなのですが、妄想しているときは何も聞こえなくなるほど集中し、上の空になり、友人の話や授業をおろそかにしてしまうのです。
(18)風景に現実感がありません。薄っぺらで、平面みたいです。一枚の絵の中を歩いているような、自分だけが生きているもの、といった感覚になります。これは、日常的な事柄です。
関係ないかもしれませんが、過去にも、おかしい点があったので、書きます。これらの症状は、今はありません。
(19)排泄がうまくできなくなったときがありました。当時小学校5年生で、今まで我慢できていたのにおかしいと思っていました。下校途中、大便をよくもらしました。まぶたを痙攣させるチックも出ていたということです(これは、父からきいた話です)。あと、首の節をぬくのがクセになり、嫌なのにやめられませんでした。頭皮のできものをつぶすのもクセになり、一時期は頭皮がえぐれて、洗髪するとしみて痛いほどひどかったです。全て小学校を卒業するころに、なおりました。
(20)自分の顔がものすごく醜いものに感じ、鏡という鏡を見ることができませんでした。お風呂場の鏡も見ないようにして、洗髪・洗顔などをしていました。朝起きることが苦痛で、いつまでも布団にもぐっていました。ささいなことで傷つき、胸がズキズキと痛みました。ことさら辛いことがあると、胸らへんに針をさされるような、チクっとした痛みを感じることがありました。(21)突然過去の一場面がありありとよみがえってきて、苦しくて何時間も涙がとまらなくなるときがありました。小学校5年生から、中学校3年生くらいまででした。
(22)中学1年生から高校2年生(留年したので、本当は3年生の年)自分が二人になることがありました。理想の自分と、悪い自分で、その二人を私が、第三者視点で見ているのです。友人関係がおかしくなったり、両親からしかられたりすると、理想の自分が悪い自分をひたすら罵倒しはじめるのです。「クズ」「お前みたいなのは一生こうなんだ。死んでしまえ」「お前なんか嫌いだ」というようなことを、悪い自分が言われるたび、私も張り裂けそうな気持ちになりました。
以上です。長くなって、申し訳ありませんでした。ここまで読んでくださって、ありがとうございます。では、失礼いたします。
林: 統合失調症の前駆期、または初期の可能性があると思います。具体的に詳しく列記していただいた内容は、ほぼすべてが統合失調症の特徴を映し出している症状です。それをあえてひとことで言えば自我障害ということになるでしょう。自我障害は難解でわかりにくい言葉ですが、「自分で考え、自分が行う」、この全く自然であたりまえのことを自我の活動といい、それが障害されるのが自我障害です。【3990】まるで憑依のように、意味不明な言葉をたくさん言うなどしてしまう もご参照ください。
「自分で考え、自分が行う」ことが障害されるということは、A. 一つにはそうした感覚が希薄になったり失われたりすること、B. 一つは自分と他者が混乱してわからなくなるという感覚が生まれること、C. さらには自分ではなく他者が考える、あるいは他者によって自分が動かされているという感覚が生まれることもあります。統合失調症の初期に時にみられる離人はA.にあたり、この【4049】では(12)(18)は離人と呼べるでしょう。(6)はまさにB.ですが、A.とB.には移行があり、(12)をB.とみることも可能です。C.については、させられ体験が典型のようですが、幻聴も本来は自分の中で生まれた思考が外界に定位されて他者の声と感知されるという体験ですから、C.に含めることができ、すると統合失調症にみられるかなりの症状が(あるいは、全ての症状が)自我障害と、そこら二次的に生まれたものであるということになります。
もっとも、「二次的に生まれたもの」というのは解釈ですので、仮説といったほうがいいでしょう。いずれにせよ、この【4049】のケースが体験されている内容は、どれも統合失調症の初期または前駆期のものとして矛盾はありません。(1)(2)のような抑うつ気分もこの時期によく見られるもので、それは(客観的には原因不明の)自殺に繋がることもあります。
今でも自分が甘えるために病気を偽って、このようなことをしているのかもしれないと思うと、
違います。病気です。
私のこれらは病気なのでしょうか。自分では分かりません。
統合失調症の可能性が高いです。精神科を受診してください。
(2020.6.5.)