【3981】母は元々精神疾患があるのか、それとも認知症なのか
Q: 私は40代女性です。 80代の母についてご相談させてください。
母は10代のころ肋膜炎で半年学校を休み、20代で盲腸、30代で子宮筋腫の既往があります。
40代で内科医に仮面鬱病と診断されましたが、60代で精神科医に否定されました。
現在COPDと骨粗鬆症の診断はされています。
本人は病弱との認識があり、40代から家事の合間に横になっていることが多くなりました。医師の診断は素直に受け入れず、睡眠導入剤とドグマチールの他は民間療法や漢方を好んでいます。
父はアルコール依存症で、おそらく発達障害かと思われる強いこだわりがあり、母とは喧嘩が絶えませんでした。父は暴言と暴力、母は泣き叫び、人格攻撃をするというパターンで、離婚もせず同居しています。
母は若い頃はひどい独り言があり、それから自称キッチンドリンカー、鬱病を必要以上に公言するなどがありました。
70代に入り、私が離婚して子どもを連れて出戻ってから、母のことをおかしいと思うようになりました。
価値観に強いこだわりがあり(子育て、イエの存続、風習など)また独特で、手間のかかることが多く、現実的に不可能でも、怒鳴りやらせようとします。何回説明しようとしても思いついたことは、押し通そうとします。
例えば親戚に配るために味噌を40キロ自宅で作るなどは毎年の必須行事で、母は自分では出来ないと言って私にやらせます。
母のお喋りの多くは、自分はどう思ったか、という評価のみで、現実的な問題解決については思いつかないようです。
また私がやったことも、他の人には自分がやったこととして説明しています。
祖母の相続についても独特な価値観を母の妹に執拗に押し付けて、拒絶され弁護士を立てられました。
若い頃から、怒鳴って自分の要求を押し付けていましたが、70代からは頑なさに拍車がかかり、孫にも執拗に押し付けるようになったため、大変困っています。
さらに本人は自分の言ったことを忘れてしまうようです。
元々精神疾患があるのか、認知症なのか、判断ができません。
上手く説明できませんが、ご判断いただきたくメールしました。
林: お母様の現在の症状は、精神疾患としても、認知症としても、どちらでもあり得る性質のものです。
したがって、
元々精神疾患があるのか、認知症なのか、
このご質問にお答えするためには、今の状態が、以前からあったのか、それともある時期から現れたのかが重要な情報です。
その観点からメールの内容を見ますと、
70代に入り、私が離婚して子どもを連れて出戻ってから、母のことをおかしいと思うようになりました。
という記載からは、70代になってからの変化であるように読めます。
しかしその一方で、
本人は病弱との認識があり、40代から家事の合間に横になっていることが多くなりました。医師の診断は素直に受け入れず、睡眠導入剤とドグマチールの他は民間療法や漢方を好んでいます。
などの記載からは、以前から症状があったようにも読めます。
すると、もともと精神疾患があったのか、70代になって認知症になったのかは、わからないというのが最も正確な答えになります。
ただし、
70代からは頑なさに拍車がかかり、
これがその通りだとすれば、もともと精神疾患があったにせよなかったにせよ、加齢によって病的な変化が現れた、とみることができます。ここでいう「病的な変化」とは、認知症かもしれないし、認知症とは言えないレベルの認知機能低下かもしれません。認知症にまではなっていなくても、もともとの性格傾向が加齢とともに強まることはしばしばあります。
また、
本人は自分の言ったことを忘れてしまうようです。
これが高齢になったから発症した記憶障害だとすれば、認知症である可能性は高まります。
メールの記載からはこれ以上のことはわかりません。しかし、より詳しい記載があっても、このようなケースでは症状のみから言えることにはかなりの限界があります。診断のためには病院を受診してMRIなどの検査を受けていただくことをお勧めします。
(2020.2.5.)