【3929】原因不明の体調不良はストレスが原因でしょうか
Q: 22歳の大学生です。精神やストレスに関する症状と、それに対する治療について悩むところがあり、質問させていただきます。
早速私事で恐縮なのですが、自分は現在原因不明の体調不良に悩んでいます。症状としましては、動悸が早まる、意識が遠のく、うなじの部分?に灼熱感を感じる、胸部に異様な感覚(奇妙な例えですが、大きな氷柱が刺さったような感覚です)を覚える、顔の左半分が痛むことがあるなどです。入眠しづらく、早朝覚醒が頻繁に起こり寝不足を解消しにくいといった問題も抱えております。
これら全ての症状が必ず同時に起こるとは限らず、一部あるいは上記のうち複数個のみが発生することもあります。発生の頻度は不定期ですが、疲労してる時には起こりやすいように感じます。また症状の深刻さも不定です。
血液検査やMRI、CT、レントゲンや尿検査を行いましたが、異常は見られませんでした。病院を変えて同じ検査をしていただきましたが、いずれも異常は無いとのことでした。
病院の他、ドラッグストアにある簡易的な検査も試しましたが、データを見る限り特に異常はありませんでした。
一度精神科の先生に相談したところ、「ストレスのせいかもしれない」「防衛反応の一種かもしれない」といった回答を頂きました。しかしこのような症状が、精神病のカテゴリーの中に存在するのでしょうか?実際に自分が体験していることですから、このような苦痛が実在することは間違いありません。ただ、これらを何と称し、如何に解決すべきかが分からないのです。
長くなってしまいましたが、先生はこれらと同じような症状を出す病気をご存知でしょうか。もしよろしければ、御教授頂きたく思います。
この質問コーナーの主旨に外れたものとなっていたら申し訳ありません。その場合はスルーして頂いて結構です。
林: この症状は、ストレスに対する反応として出現したと考えることに矛盾はありません。けれども、そうではなく、身体疾患の症状である可能性もあります。
ひとつ考えられるのは、多発性硬化症という病気です。これは中枢神経系の病気で、その特徴は、「空間的・時間的に多発する」と要約することができます。「空間的」というのは、中枢神経系内のことで、中枢神経系の色々な場所に病変が現れるという意味です。「時間的」とは、症状が消長する(出現したり消失したりする)という意味で、1ヶ月以上の間隔をあけて、再発と消失を繰り返すのが常です。。
このような特性のため、多発性硬化症は、精神的な原因による身体症状であると誤診されやすい疾患です。
血液検査やMRI、CT、レントゲンや尿検査を行いましたが、異常は見られませんでした。病院を変えて同じ検査をしていただきましたが、いずれも異常は無いとのことでした。
多発性硬化症は、MRIで特徴的な所見が見られることがあります。ただし、普通の撮像法では(つまり、一般に行われている撮り方では)、異常が見られないことがしばしばあります。また、検査の時期によっても所見が異なるという特徴もあります。したがって、専門的な病院で、かつ、多発性硬化症の可能性を視野に入れたうえでの検査が必要です。
そのほか、脳脊髄液検査や誘発電位と呼ばれる検査もあわせて診断が確定することもあります。
病院の他、ドラッグストアにある簡易的な検査も試しましたが、データを見る限り特に異常はありませんでした。
それは全くあてになりません。無意味です。
信頼できる病院で専門的な検査を受けることをお勧めします。科としては神経内科の専門領域です。また、多発性硬化症の好発年齢は20代から30代ですので、質問者の22歳という年齢とも一致します
ただし、この【3929】の症状から、多発性硬化症の可能性が高いとまでは言えません。その可能性は否定できないというレベルにとどまります。
(2019.12.5.)