【4106】被害妄想のある妹に対する適切な対応を知りたいのですが
Q: 40代前半の、独身・一人住まいの妹のことについてお伺いさせてください。
三年半ほど前に、(本人の話では)職場の女性がやめる前に自分の悪口を雇い主にしているのを聞いてしまった、信頼していた人だっただけにとてもショックだ・・という話があり、その辺りから、奇異な言動が目立ち始めました。
もともと非常に神経質で、中学生くらいから不眠の気や偏頭痛もちなどがあり、体質も弱いほうだったようで、親が心配して病院にはよく通っていたほうでした。
また中学のときに腎臓病にかかったのですが(病名をわすれてしまいましたが)
現在では検査の結果、限りなくSLEに近いという事で、薬を貰いにと血液検査のため、毎月一回病院に通っています。
腎臓のほうの状態は比較的安定していて重い症状ではないようです。
奇異な言動は最初、職場の人がそのせいで自分の悪口を言っているのではないか・・という危惧から始まったのですが
そのうち、みんなで私をいじめる、辞めさせようとしている・・からどんどんエスカレートしていき家の中に盗聴器・監視カメラがある、電話が盗聴されている、外に出ると知らない人が見ていて私の悪口を言っている
私が他の人(妹の住んでいる町の人みんな)に悪口を言ったり、ネットでうわさを流している
喫茶店に行っても、隣に偶然を装って座った人がわざと私の悪口を話し出す・・というものまであり
とにかく自分は悪くないのに、自分が悪いといわれる!悪い事はすべて私のせいになる!という態度で
明らかにおかしいと思える事柄になってきて、区役所の窓口で相談をしましたら
やはり病院に本人が行かないと・・といわれ、いろいろありましが、何とか説得して精神科を受診する事ができました。
そこで言われたのが『過敏性被害妄想症』という診断で、隔週で通院する約束と、飲み薬を処方されました。
腎臓のほうの薬で、そういった症状も出ることがあるが、現在飲んでいる薬の量では考えにくい・・ということでした。
本人は、精神病とレッテルを張られることを極端に嫌がり、私は絶対変じゃない、大丈夫だ!と言い張ります。
薬を飲むと症状が安定してきたので周囲もほっとしていたのですが
(波があって、季節の変わり目に症状が再発している?という事はよくありました)
自分は大丈夫なのでここ10ヶ月くらい、通院するのはやめて薬も飲んでいない・・という事を3ヶ月くらい前に聞きました。
そのせいかやはり状態がひどくなって、仕事場でのトラブルが耐えません。また、電話にも出ずメールの返事もありません。
ただ、毎日仕事にはきちんと行っているようなので、今のところ外との接触がなくなる心配はありませんが周囲の、状態を知らない親戚もみんな不審に思いだしています。
それまでにも精神科や心療内科などの受診のことを、かなり時間をかけて話してきましたが、もともと精神科(心療内科)自体を嫌がって行きたくない!と言う話をよくしていたので、本人はまったく聞く耳を持ってくれません。
両親はすでに他界し、二人残された姉妹です。私は結婚し、子どももいて離れた場所に住んでいますので思うように時間がとれずなかなか状態を見きれません。
いとこや仕事場の雇い主数人と連携して情報交換し、様子を見守っていますが、今後がとても心配です。
どのように対応していったら良いのでしょうか? 診断された症状は「統合失調症」と解釈してよいのでしょうか?
また、仕事は続けさせてもらってもいいのでしょうか?
林:
診断された症状は「統合失調症」と解釈してよいのでしょうか?
はい、そうです。妹さんは統合失調症でしょう。
そこで言われたのが『過敏性被害妄想症』という診断で、
そういう診断名は存在しません。
が、おそらくその医師は統合失調症という診断を告知することを避けたのだと思います。
検査の結果、限りなくSLEに近いという事で、薬を貰いにと血液検査のため、毎月一回病院に通っています。
腎臓のほうの状態は比較的安定していて重い症状ではないようです。
腎臓のほうの薬で、そういった症状も出ることがあるが、現在飲んでいる薬の量では考えにくい・・ということでした。
「限りなくSLEに近い」というのは曖昧な表現ですが、SLEであるとすれば、SLEのために統合失調症に似た症状が出ることはあります。また、SLEの治療薬としてステロイドを使った場合、その副作用としても統合失調症に似た症状が出ることはあります。
けれどもこの【4106】のケースは、おそらくどちらにもあたらず、統合失調症でしょう。
仕事は続けさせてもらってもいいのでしょうか?
統合失調症であるという理由で仕事を辞める必要はありません。
けれども妹さんは治療を拒否しているとのことですので、このままでは症状がさらに悪化し、解雇されるでしょう。つまり治療を再開しなければ、仕事は続けられないということです。
(2020.9.5.)