【4078】うつ病だと聞かされている義妹は統合失調症ではないのか
Q: 同居中の27歳の義妹(主人の妹)の病気について相談させて頂きます。
義妹は神経の病気を患っており、私はその病名を義母から「うつ病」だと聞かされましたが、「自律神経失調症」だとも聞いたことがあります。正確な病名を知りません。そこで、先生の診断を伺いたいのです。
私と知り合った時にはすでに病気でしたので、発症の時期や原因はわかりませんが、23~4歳頃からでしょうか。幼い頃から神経質な性格で、いじめられやすく、ストレスを溜め込みやすいようです。素直で世間知らずな面もあり、だまされやすく、何百万もの高額な商品を売りつけられて契約をしたことも何度かあったそうです。
当時の病状は無気力で仕事に就くことができず、朝も起きられず、寝てばかりいるような状態でした。話し方や振る舞いは幼稚で、よく子供の反抗期と似た態度をとっていました。折り紙や手芸、何をさせても下手で仕上げることができません。また、被害妄想や潔癖症、過食の傾向も感じられました。感受性も恐ろしいほど鋭く、私がイライラしていると、それを感じ取って泣き出すほどでした。
最近は悪化しており、上記の症状に加えて幻聴が聞こえるようになりました。その幻聴と話をしているらしく、一人で喋ったり、笑ったりしています。時には、家族やその他の人が自分を責める声が聞こえるそうで、現実と混同して私達に対して不機嫌にあたりちらします。先日は、主人の声で「この家を出て行け」という幻聴が聞こえたそうで、夜中に飲料水を入れたペットボトル1本だけ持って部屋着のまま家を出ました。暗い中、有料道路を歩いていたらしく、警察に保護をされて戻ってきました。その後も家出が一度、この時は身のまわりの荷物をまとめて持っていたそうです。
感情の起伏が激しく、鬼のような顔をして怒って現れたかと思うと、直後に泣いていることもあります。知能が低下しているのか、文字がどんどん読めなくなっています。潔癖症の影響からか、10分に1度はトイレに行き、その後は洗面所でザブザブとやってます。
かかりつけの医者からは「寂しさから症状が悪化した。家に居場所がないと思って家出をする。精神年齢が小学校2~3年生程度に下がっているので、そのように付き合ってやってくれ」と言われたそうです。
確かに、私達夫婦に第一子ができた頃から調子が悪化し始めました。私達夫婦+子供、主人の親夫婦+義妹の6人で暮らしているのですが、子供が生まれてからというもの、家中が子供中心にまわり始めました。特に、自分の親が孫をかわいがる姿を見て、姪っ子に親を取られたと感じるのではないでしょうか。また、夫婦二組との同居生活に孤立感を募らせているのではないかと思います。
「姪っ子を殺す」という幻聴も聞こえるそうなので、私としては娘に危害を加えないかと心配です。
こちらのサイトで統合失調症という病名を知り、義妹は統合失調症なのではないかと懸念しています。もしそうであった場合、義妹の場合は軽度でしょうか、重度でしょうか。また、幻聴と現実とを混同して周囲の人間に危害を加えるようなことはありうるのでしょうか。
林: お義妹さまは統合失調症です。
義妹の場合は軽度でしょうか、重度でしょうか。
今の症状は重度です。ただし、どのような治療を受けておられるかが不明ですので、病気として重度と言えるかどうかはわかりません。すなわち、適切な治療を受ければかなりよくなるケースが多いですが、一部には治療の効果が乏しい難治性と呼ばれるケースがあり、その難治性の中にも、治療の結果として症状がある程度軽くなるがまだまだ不十分という場合と、治療の効果がほとんどみられない場合があります。この後者のケース、つまり難治性で治療の効果がほとんどみられないケースが事実上は最も重度といえますが、この【4078】のケースはどのような治療を受けておられるかが不明ですので、真の意味で重度といえるかどうかはわかりません。「今の症状」に限っていえば重度といえます。
また、幻聴と現実とを混同して周囲の人間に危害を加えるようなことはありうるのでしょうか。
ありえます。適切な治療を受ければそのような可能性は著しく小さくなります。治療を受けなければ可能性は相対的に高くなります。
(2020.7.5.)