【3852】自分が自分でないような感覚になることがある

Q: 28歳女性です。
自分が自分でないような感覚になることがあります。

特に人と話をしている時に顕著で、仕事上、人に説明することが多くありますが、「説明をしている人の言葉を横で聞いて正しいことを言っているか判断する」という感覚になります。
発言内容に変な部分は無いのですが、自分の頭を全く働かせている感覚がないのに淀みなく喋っているのでとても不思議な感覚です。

仕事の時でなくても、雑談している時にも自分が話している実感がなかったり、笑っている感覚もないのに笑っています。
同様に横から(上から?)その会話の場全体を見ている感じです。この時も特に変なことは言っていないと思われ、全体の空気も普通に流れています。

一人でいる時にはとくに変わった感覚はありません。

この状態について、先生の他の回答を拝見すると「離人」といったものに近いのかと思いますが、他に特段の症状がない場合、特に心配はいらないものでしょうか。
仕事がかなり多忙な時期にひどくなるため、疲れているだけだとは思いますが、気になります。

 

林: 質問者自身がご指摘の通り、これは離人といっていいと思います。解離の色彩もあります。離人と解離は、区別できることもありますが、区別し難いこともあり、この【3852】は区別し難いほうの例であると言えます。解離はある程度まで発症メカニズムを含んだ用語ですが、離人は発症メカニズムとはあまり関係なく(離人は複数の異なるメカニズムで発症します)、自覚症状が離人であればそれを離人と呼ぶという、いわば表面的な現象に付けられた用語ですので、必ずしも区別する必要はありませんし、区別できない例があるのはごく自然です。

他に特段の症状がない場合、特に心配はいらないものでしょうか。

この【3852】のような離人は、特に心配はいりません。ただし、自分が意識していないときにこのメールのような現象が起きていないかどうかは慎重に確かめる必要があります。
たとえば、

発言内容に変な部分は無いのですが、自分の頭を全く働かせている感覚がないのに淀みなく喋っているのでとても不思議な感覚です。

とのことですが、それは自分が意識しているときは自然に淀みなく喋っているとしても、自分が意識していないときに不自然・不合理な発話をしているということがあるかもしれないからです。

(2019.7.5.)

05. 7月 2019 by Hayashi
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