【3834】主治医に不信感を募らせ退院しました(【3749】、【3778】のその後)
Q: 【3749】ただのおかしい人ですか。それとも病気ですか?、【3778】地元の病院でうつ病と診断されましたで回答いただいた30代女性です。何度も申し訳ありません。
入院中、主治医とのやり取りについて疑問がありました。
よろしければご回答いただきたいです。
前投稿の内容のような、幻聴的妄想的感覚があることをお伝えしたところ、「気のせい、考えすぎ、普通だ」と言われました。
「内容が奇妙で不気味じゃないので統合失調症ではない」と、こちらが統合失調症かと聞いたわけでもないのに答えてきました。
質問1 奇妙かつ不気味であるのは診断において重要な基準になるのでしょうか?
また、気分の波が激しいと伝えていたため双極性の質問もありました
チェック項目みたいなものがあり、ほぼ当てはまりましたが
「誰もそれを見ていないので証拠がない」と診断には至りませんでした。
チェックの意味はあったのか?と思いました。
・爽快気分、いつもと比べ自信がある
・いつもと比べ社交的
・いつもと比べ浪費する
・異性交遊、性的奔放
・攻撃性が高まる、上司にたてついたこともある
言うべきでないと思っても止まらない
いつもと比べ・・の部分は
いつもの基準が低いためか、気付かれません。
これも、気のせい、普通だと言われました。
質問2 診断において、本人の訴えだけではどうにもならないのでしょうか?
結局、色々と主治医に不信感を募らせ退院しました。
話半分な上、作業所に行くよう仕向けられました。
退院に追いやろうとしてたのかなと感じます。
以上です、よろしくお願い致します。
林:
質問1 奇妙かつ不気味であるのは診断において重要な基準になるのでしょうか?
幻覚や妄想の内容が
(1) 奇妙かつ不気味であれば、統合失調症の診断に傾く根拠になります。少なくともそのような考え方が精神医学にはあります。
しかし逆に
(2) 奇妙かつ不気味でないことは、統合失調症の診断を否定する根拠にはなりません。つまり、統合失調症の幻覚や妄想に内容が奇妙かつ不気味でないことは決して少なくありません。
したがって、
前投稿の内容のような、幻聴的妄想的感覚があることをお伝えしたところ、「気のせい、考えすぎ、普通だ」と言われました。
「内容が奇妙で不気味じゃないので統合失調症ではない」と、こちらが統合失調症かと聞いたわけでもないのに答えてきました。
この主治医の説明は誤っています。ただし、【3778】にもお書きした通り、主治医の仕事は病気を治すことであって、正確な診断名を告げることではありませんから、この主治医の説明は「精神医学的に誤っている」のは事実でも、必ずしも「医療として誤っている」とは言えません。
質問2 診断において、本人の訴えだけではどうにもならないのでしょうか?
この質問は意味が曖昧で回答困難です。つまり「どうにもならない」とは、どういう意味なのか曖昧でわかりません。
しかしこの質問に至るメールの文脈からすると、「本人が症状を訴えても、客観的な証拠がなければ診断の材料にしてもらえない」という意味とも取れますので、そのように解釈して回答しますと、「決してそんなことはない」「ただし、本人の訴えを無条件に受け入れることはない」ということになります。
そしてこの【3834】で何より重要なのは、上記の二つの質問ではなく、
結局、色々と主治医に不信感を募らせ退院しました。
この部分です。主治医に対する質問者の不信感の多くは、質問者自身の精神症状によるものと思われます。そして質問者は【3749】、【3778】でお答えしたとおり統合失調症です。再受診し、治療を再開してください。
(2019.6.5.)