【3811】愛犬を事故に合わせてしまって以来、発作のような症状が起きます

Q: 私は30代男性です。 三ヶ月ほど前、愛犬を私のせいで死なせてしまう一歩手前にさせてしまいました。 それ以来、私に発作のような症状が出ます。

愛犬を犬用のキャリーケースに入れて外出していた時に、私がキャリーケースを乱雑に持っていたせいで、キャリーケース内で犬を固定する用の付属の短いリードに愛犬の首が絡まって絞まってしまいました。焦ってリードを外そうとしましたが、短いリードが絡まっていて、愛犬は苦しそうな、カハッ、という声を上げていて、息が出来ていませんでした。焦って時間がどんどん経過して、脳は氷水に投げ込まれたようで、心臓はバクバク熱くて、必死にリードを外そうとしてもどんどんパニックになってしまいました。
その間も愛犬はカハッと苦しい音を出して、目が白くなっていって光が消えていって、ウンチまで漏れて、もう死んでしまうと思いました。混乱した頭でキャリーケースを横に倒したら、少しリードが緩んで、リードの金具を指で無理やり外すことができ、愛犬は無事でした。

それ以来不意に、突然その時のことを思い出して、心臓が締め付けられ、頭が真っ青になって、涙が出てきてしまうことが度々あります。ビニール袋のちょっとした音や扉の閉まる音などが愛犬の苦しい声に聞こえてしまうこともあります。仕事中に家に残している愛犬のことが心配になり、心臓がバクバクすることもあります。
こんなことをしてしまったので、突然思い出したりするのも当たり前だと思いますが、これはPTSDやパニック発作ということはあるのでしょうか。自分の命が危機に晒されたわけではないですが、子供もいないので子供のように可愛がっている愛犬です。

 

林: これはPTSDと同じメカニズムによる症状だと思います。(つまり質問者の脳内ではPTSDと同じ変化が発生している)。現れた症状だけに着目すれば、典型的なPTSDと言ってよいと思います。
ただし、PTSDは、もともとが訴訟を背景にして定義された診断名であることもあって、厳密に診断基準を満たしたときに初めてPTSDと診断されるべきですので、その意味ではこの【3811】のケースをPTSDと診断することはできません。けれども、本質的にはPTSDと同じ病態と言えますので、治療についてはPTSDと同じということになります。

(2019.4.5.)

05. 4月 2019 by Hayashi
カテゴリー: PTSD, 精神科Q&A