【3640】講師として授業は平常通りできるのはうつ病ではないのでしょうか
Q: 39歳男性、自営の予備校講師です。
半年ほど前から、わけもない不安やいらいらに襲われ、不眠症で、以前は簡単に読めていた専門書や教材を読むのが苦痛になり、知人に勧められて精神科を受診しました。
うつ状態と診断され、トレドミン、ワイパックス、アモバンを処方されました。
うつ病の人は、仕事も何も手につかなくなると言われますが、私にとって、予備校の授業は唯一憂鬱や不安を忘れることができる時間なのです。授業は、もともと用意している自作の教材もありますし、何年もやっていることですので、滞りなくできます。授業をしている時間だけが私の息抜きのようになっています。生徒からの授業の評価は良好で、楽しい授業だと言ってもらえます。むしろ、元気のいい先生だと思われているようです。私自身、授業の内容はいぜんと比べてクオリティが落ちているとは思いません。ですが、授業が終わると、とたんに不安に襲われ、胸がどきどきして、本を読んでも1ページも読み進められなくなります。仕事はしっかりできる自分はうつ病(あるいはうつ状態)なのか、病気ではないのか、質問いたします。
林: あなたはうつ病だと思います。精神科を受診し治療を受けてください。そうすれば改善し、おそらく完全寛解まで回復することが期待できます。なぜならあなたの症状はうつ病として典型的だからです。
うつ病の人は、仕事も何も手につかなくなると言われますが、
確かにその通りですが、他の病気と同じように、うつ病にも軽い・重いがあり、それは時期によっても異なります。一定以上に重くなれば、あらゆることが手につかなくなりますが、そうなる前、そして回復期には、できることとできないことがあるのはむしろ普通です。
特に、
授業は、もともと用意している自作の教材もありますし、何年もやっていることですので、滞りなくできます。
あなたにとっての授業のように、慣れたことならできるというのも、うつ病のある時期にはしばしばあります。また、慣れているだけでなく、本心から好きなことであるということも関係しています。
そして振り返ってみますと、
半年ほど前から、わけもない不安やいらいらに襲われ、不眠症で、以前は簡単に読めていた専門書や教材を読むのが苦痛になり、
このように、特にきっかけなく始まったというのも、いかにもうつ病らしい経過です。
うつ病として適切な治療を受ければ、著明な改善が期待できます。
にもかかわらず、半年も改善しない状態が続いている理由は、現在の治療が適切でないためかもしれません。
うつ状態と診断され、トレドミン、ワイパックス、アモバンを処方されました。
処方の量が不明で(特に抗うつ薬のトレドミンの量が重要です)、かつ、半年前から現在に至る処方の変遷も不明ですので、あなたの受けている薬物療法が適切かどうか判断できません。
それでも言えることは、もし半年前と同じ処方であれば不適切といってよく、また、ここからは私の私見ですが、この【3640】の症状と経過に対して、トレドミンは手弱いのではないかと思います。
(2018.3.5.)