【3309】感謝/憎悪といった正反対の感情が同時進行する

Q: 20代女性です。
自身の感情と行動のずれについての相談です。以下のように感情と行動に統制がとれていないと、何か弊害がありますでしょうか。

・人嫌いであるのに、自分が損をしようとも見返りなしで優しく尽くす
・親しい人を心配しながらも「失敗しろ」「そのまま不幸でいろ」と思いつつ、自分にできる限りの協力をする
・友人に対し、「心からの親友である、尽くしたい」と思っているのに、心の底から侮辱し見下し、警戒している
・両親に対し、感謝しながらも同時に憎んでいると自覚している
・愛犬を心から愛し、ずっと生きていてほしいと思っているのに、「死んだら食費・医療費が浮くよな、もうそろそろかな」とも考えてしまう
・    数十年前の恩師からの祝いの言葉と品に対し、何の感情も湧かない、など

気まぐれや天邪鬼なだけ、それとも、案外普通のことなのでしょうか。

または境界性人格障害等でしょうか。しかし、感謝・憎悪という正反対の感情であるのに、どちらも同時進行で納得し、自覚しているので、不思議です。
サイト内の境界性人格障害のページを拝見しましたが、「感情が不安定」というよりは「正反対の感情が同時進行」という感覚です。
(境界性人格障害の症状は多種多様で、このようなケースもあるということでしょうか?)

自身の行動に一貫性がないことで、社会に出た際に迷惑をかけることがあってはいけないと思い、相談させて頂きました。

ご多忙のところお手数ですが、もしご教授頂けるなら幸いです。

林: これだけでは何とも言えません。自分の中に、ある程度の正反対の感情が併存するのは普通のことです。時にそれを意識して、どちらが自分の本心か悩むというのも十分にあり得ることです。そこまでなら病気とは到底言えません。もしこのような感情の結果、実質的に何か困ったことが生じるようになれば、病気の可能性も考えることになります。

なお、

境界性人格障害等でしょうか。

その推定に根拠がありません。

(2016.11.5.)

05. 11月 2016 by Hayashi
カテゴリー: 境界性人格障害, 精神科Q&A