【3125】中学生の頃から母と話せなくなりました

Q: 私は現在32歳(女)ですが、中学生の頃から母と話せなくなりました。母を目の前にすると声帯が締め付けられるような感覚になり、うまく声が出せなくなります。やっと声が出ても、か細く、声もかすれて不明瞭です。
子供の頃は母と普通に話せたのに、ある日を境に話せなくなった原因が知りたいのですが、自分でもよく分かりません。
私の育った家庭環境は、父がアルコール依存症で、私が12歳の時に肝臓ガンで亡くなりました。
父が亡くなってからは母が一家の大黒柱となり働いていましたが、仕事のストレスなどでヒステリーを起こしたり躁状態になったりしていました。ちょうどその頃から母と話せなくなったので、原因はここらへんにありそうなんですが…。
母と話せなくなった原因、そして、これは一生治らないのか、誰にも相談できず、長年悩んできました。ご回答頂けたら有り難いです。

林:
声帯が締め付けられるような感覚になり、うまく声が出せなくなります。やっと声が出ても、か細く、声もかすれて不明瞭です。

これは失声と呼ばれる症状によく一致しています。失声は、何らかの心因(心理的なストレス)によって、声が出なくなる(声が全く出なくなる場合もあれば、囁くような声なら出るという場合もあります)という症状です。但し失声は多くの場合、特定の人に対してだけそうなるわけではないので、この【3125】のように、母親との間にだけ生ずるというのは典型的ではありません。

いずれにせよ、この症状の原因は何らかの心因です。

ちょうどその頃から母と話せなくなったので、原因はここらへんにありそうなんですが…。

その通りで、この頃に何らかの心因があったことは間違いないでしょう。けれどもそれが記憶から消えているということです。より正確には、思い出せなくなっていると言うべき状態です。記憶が意識に上らないように抑圧がかかっていると言い換えることもできます。この状態は、一種の解離性健忘です。
解離性健忘では、思い出せなくなっている記憶を思い出すことが適切かどうかは難しいところです。【1160】幼い頃からの記憶が曖昧なのです などもご参照ください。

(2016.1.5.)

05. 1月 2016 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害