【2958】統合失調症の予兆のような気もしますが、できれば受診したくないです
Q: 自分についていくつか不安点があるのでメールさせていただきます。この春に大学進学を控える18歳の女子学生なのですが、最近「もしかしたら私は精神病なのかもしれない」と思うようになりました。
もともととても人を疑い深いところがあって、それが克服できず現在に至ります。なのでこれがただの性格なのか病気によるものなのか自分では判断できません。これらは統合失調症の予兆なのでしょうか? 症状かと疑うのは
(1) 修学旅行の班決めで友達と「一緒の班になろう」と約束したが、彼女らの言っていることが信用できず「自分だけ仲間外れにされて、きっと本当は違う班を希望している」と真面目に思い込む。班わけが発表になって、友人たちが約束通り同じ班になったとわかるまで安心できない。
(2) 友達に知らせていないSNSサイトのアカウントが「もしかしてばれているんじゃないか」と不安になる。そのためにアカウント名を変えたり、アクセス者の地域が見られるウェブ解析を導入したりした。
(3) インターネット上で何か関連した書き込みなどを見ると「もしかして私のことではないか」と思う。
覚えていないだけで上記以外にもあったと思います。いまのところ、こういう不安になることがあると「そんなわけない。みんなそんなに暇じゃないんだし私の思い込みだ」と納得して終わらせるのですが、そのうち「現実のこと」だと思い込みそうで怖いです。
ただ、これらの事案が高校2年の頃に集中しており、当時は家族の中でトラブルが起こっていた時期でもありますので、当時のストレスが私の持つ性格を一時的に過剰にさせただけかもしれないとも思っています。当時はそれまで自分の好きだった趣味を全く楽しめず、0か100かの気分で生活を送っていましたが、いまはだいぶ落ち着いていると思います。趣味も再開しました。
また、両親ともにうつ病の患者であり、父の家系がうつ病の多い家系(ここ四代で自殺者が数名出ている)で私にも多少躁鬱の傾向があるような気がします。眠ろうとすると爆発音が聞こえて眠れなくなったり、自分の言いたいことと全く関係のない単語が口から出てきたり、十数時間眠り続けたり、ものすごく暗い気持ちになったり、街を歩いていて自分が一体どこで何をしているのか(白昼夢を見ているような感覚)わからなくなったりします。一方でものすごくハイテンションになって遊んだりすることもあります。痛いことが嫌いなので自殺願望はありません。
医師の診察を受けずこちらにメールを送ったのは、私自身が持つ精神科への偏見からです。
自分はまだ十代で、精神科に行って病気であると薬など処方されたら、うまく言えないのですが、いろんなことがおかしくなりそうで怖いです。もちろんこれは本人次第だと思うのですが、父は在学中にうつ病と診断され、大学時代を棒に振ったと話していました。
父の家系は精神病患者と商才のある健常者が半々に生まれ、健常者が病気の者を養うようなかたちで成り立っています。早期に発病した場合、自立する間も無く家族に養われて暮らす人生になりそうで、それがすごく怖いです。薬も飲みたくないです。もし自分が現在よくなりつつあり、このまま自然に回復できそうであれば病院での診察は受けず普通に暮らしたいです。集中力はあり、小論文のような自分の考えを意見することも得意です。友達には「明るい性格」と言われます。
最後に、もうひとつ不安なのが、自分が自分でよくわからないことです。普通のことなのかもしれませんが、自分で何かを考えると、頭のなかに数人が現れていろいろなこと言います。全部自分の思考ですが、みんな全く違う事を言うのでどれが真意なのか最初にあった考えなのかがわかりません。今書いている文章を見て「なんて甘えた、病気であることを装った文章なんだ。本当はただの気分屋で、人に自分のことを話したいだけじゃないか」とも思います。さらにものすごく冷めた目で「相談室にメールする自分」を見ている部分もあります。長いメールでごめんなさい。
林:
これらは統合失調症の予兆なのでしょうか?
その可能性は大きいと思います。精神科の受診をお勧めします。
(1), (2), (3)、すなわち、修学旅行の班、SNSサイトのアカウント、ネット上の書き込みの件は、これらだけを取り上げてみれば(3つをあわせても)、統合失調症の予兆の可能性はあっても、その可能性が大きいとまでは言えません。
けれども、質問者の家系に、自殺者を含む精神障害の方が何人もいらっしゃることをあわせると(その方々は「うつ病」であったと書かれていますが、表むきはうつ病でも、実際は統合失調症であったことは十分に考えられます。そういうことは非常によくあることです)、質問者自身にも精神障害の素因があると思われますので、上記(1)(2)(3)、そしてメールに書かれている他のエピソードをあわせると、統合失調症の予兆である可能性は高いと言えます。
自分はまだ十代で、精神科に行って病気であると薬など処方されたら、うまく言えないのですが、いろんなことがおかしくなりそうで怖いです。
その不安は理解できますが、それでも精神科を受診すべきです。
もちろんこれは本人次第だと思うのですが、父は在学中にうつ病と診断され、大学時代を棒に振ったと話していました。
仮に本当に大学時代を棒に振ったとすれば、それはうつ病と診断されたからではなく、うつ病に罹患したからです(大学時代のすべてを棒に振ったのが本当だとすれば、重いうつ病だったということになるでしょう。また、先にもお書きしたように、そもそもうつ病ではなかった可能性も高いでしょう)
父の家系は精神病患者と商才のある健常者が半々に生まれ、健常者が病気の者を養うようなかたちで成り立っています。早期に発病した場合、自立する間も無く家族に養われて暮らす人生になりそうで、それがすごく怖いです。
受診・治療が遅れれば、そうなる可能性は高まります。
薬も飲みたくないです。
その気持ちは理解できますが、必要であれば薬を飲むべきです。
もし自分が現在よくなりつつあり、このまま自然に回復できそうであれば病院での診察は受けず普通に暮らしたいです。
その気持ちは理解できますが、「このまま自然に回復できそう」かどうかは今の時点では何とも言えません。何とも言えない段階で、「このまま自然に回復でき」ると考えるのは、推測ではなく願望にすぎません。
集中力はあり、小論文のような自分の考えを意見することも得意です。友達には「明るい性格」と言われます。
精神疾患は、それまで何も問題もなかった人に発症するのはよくあることですので、今の段階で問題がないことが、将来精神疾患を発症しないと推定する根拠にはなりません。
統合失調症は、早期に対応することでより良好な経過が期待できます。精神科を受診してください。
(2015.5.5.)