【2947】家族の顔や親友の顔も好きな芸能人の顔も思い出せない・覚えられなくて辛い

Q: 10代女性、現在中学生です。
とても悩んでいることがあり、こちらの精神科Q&Aを見ていると、私と似たような方がいらっしゃいました。
ですが、少し違うところもあり、自己判断が難しいのでメールさせていただきました。

私の悩みというのは、人の顔が思い出せないし覚えられないということです。

件名のままなのですが、以前から「こんなもんだろう」と思っていたものが、声変わりを迎えたクラスの野球部男子(皆丸坊主)の区別が全くつかず、声を聞いても全くわからず、結局座席表を見て、「あ、○○くんだったんだ」と認識した。ということがあり、私は人を、顔以外の身体的特徴や雰囲気で区別しているのだと気づきました。

例えば、目をつぶって母や弟の顔を思い浮かべようとすると、雰囲気や髪型は出てくるのですが、顔のパーツ(二重か一重かなど、単純なものはわかる)が出てこないのです。

もちろん、「可愛い」「かっこいい」などは覚えています。

でも、ほぼのっぺらぼう状態で、輪郭もあやふやです。

どうしてもわからなくて、母と買い物に行ったときには似たような雰囲気・服装の人に「お母さん!」と話しかけることが多々あります。

これは友達に関してもそうで、髪型は覚えられるのですが、そのほかはほとんど覚えてなくて、会って初めて、「あぁ。こんな顔だったかな?」と思うのです。

じっくり顔を見てみると、自分の考えていた顔とは違うといったことも多く、先生の顔と名前も一致しないので、全員統一して「国語の先生」とか、特定の教科をつけて呼ぶように、自然に対策をとっていました。

クラスの全員で撮った写真を見て、人の名前を当てることはできます。雰囲気や「こんな感じの人だったなぁ」と言った、感に頼っていますが…。(クラスには10年近い顔見知りが数人いる程度です。)

ですが確信を持って、人の顔を見て、「あなたは○○さんですよね?」と言えた試しがないのです。

髪型や口調・声を変えられると、本当にその人であっているか不安になります。そうなったらさりげなく「何部だったっけ?」とか「塾どこ行ってるんだっけ?」「席どこ?」と笑いながら聞いて、特定できそうな情報を引き出してその場をしのいでいます。

勉強に関してや、名前などは、ほかの人よりも早く覚えられるし自分自身で記憶力はあるほうだと思っています。

それでも、大好きな芸能人の顔も、ましてや家族の顔も親友の顔も全部覚えられません。雰囲気・声・髪型などは覚えられるし、思い出せます。

そこで、一番の疑問が、私は発達性相貌失認なのでしょうか?

一応、人の顔を判別できてはいるのですが…
(一重か二重かなど、ものすごく曖昧には特徴を掴んでいます。)

この顔だから、この人!とは言えないのです。

それは、私の努力が足りないからでしょうか?病気のせいでしょうか?
10年以上も一緒にいる人の顔をあやふやにしか覚えていない・思い出せない私は、これからも一生顔をはっきりと覚えられないのでしょうか?

回答待っています。
是非よろしくお願いします。

 

林: あなたは発達性相貌失認です。

私は人を、顔以外の身体的特徴や雰囲気で区別しているのだと気づきました。

それが相貌失認の人に共通する特徴です。そのようにして区別できていると、日常生活でそれほど大きな問題にならないこともあり、結果としてある一定の年齢になるまでは自分が相貌失認であると気づかないこともしばしばあります。

勉強に関してや、名前などは、ほかの人よりも早く覚えられるし自分自身で記憶力はあるほうだと思っています。

そのように顔の認知以外については問題ないのが典型的です。

それでも、大好きな芸能人の顔も、ましてや家族の顔も親友の顔も全部覚えられません。雰囲気・声・髪型などは覚えられるし、思い出せます。

つまり顔そのものは認知できていないということです。

そこで、一番の疑問が、私は発達性相貌失認なのでしょうか?

はい、そうです。

一応、人の顔を判別できてはいるのですが…
(一重か二重かなど、ものすごく曖昧には特徴を掴んでいます。)

上記の通り、顔そのものの認知に問題があっても、それ以外の特徴によって区別するのが、相貌失認の人の顔認知のパターンです。ここで「顔そのものの認知」というのは、全体としての顔という意味で、顔の中の部分的な特徴(髪型とか髭があるとか一重か二重かなど)については相貌認知の人も認知が可能です。

こちらの精神科Q&Aを見ていると、私と似たような方がいらっしゃいました。
ですが、少し違うところもあり、自己判断が難しいのでメールさせていただきました。

相貌失認は、上記の通り、「全体としての顔の認知の障害」を指します。その他の点については、ケースによって様々です。ですから「少し違うところもあり」というのはごく自然なことです。様々というのは、たとえばいわゆる方向音痴を伴うこともあれば、伴わないこともあります。【1763】顔が覚えられない。時間の認識力に乏しい。方向音痴。などをご参照ください。

(2015.4.5.)

05. 4月 2015 by Hayashi
カテゴリー: 相貌失認, 精神科Q&A タグ: |