【2736】統合失調症の病識がなくならないようにする方法を教えてください

Q: 私は30代、主婦。11年前に統合失調症と診断されてから現在も通院と服薬・注射を続けています。

初めての自覚症状は中学2年の頃でした。高校のときには回りから悪口を言われていると思ってました。被害妄想もありました。
 
最初の結婚で2人目の出産が難産だったことがきっかけで、どんどんおかしくなって、家を飛び出し放浪しました。
 
いよいよ命が危なくなって実家にたどり着いたのが28歳のとき。そのときに子どもに虐待してしまい、様子がおかしいということで母に病院へ行くことを薦められて診断されたのが統合失調症でした。

3年前に一度、自己判断で服薬を止めたことによる病気の再発で家族に多大な迷惑をかけてしまいました。今はデポ剤のリスパダールコンスタ50mgを2週に一回注射することによって、もしもの時の対策をしています。障害者手帳も持っています。
 
服薬と注射をしていても、身体のコンデションやストレスなどで、軽い症状が出ることがあります。多弁になる(文章を書きまくる)。人にかまって欲しくなる。幻聴が聞こえる。イライラする。・・・などです。持続性はなく、コンデションで・・・という感じです。
 
そして、症状が出ていたことが分かるのは、大抵、症状が治まってからなのです。ここに恐ろしさがあるなぁ、と思います。
 
私は日常生活を送る上で、我を忘れて没頭したり、感激したり、落胆したり、そういうことができません。なぜなら、それらがストレスとなって、必ずしばらくすると症状が出るからです。なので、いつも「第二の自分」で本当の私を見ているような気がします。気が抜けないのです。
 
こちらのサイトにメールを送ってくる方の中にも、支離滅裂な内容で、病識がないように感じられる方がいらっしゃいますが、そもそも、そういう方がネットでこのサイトを見つけてここにメールをしている・・・という時点で、私はある種の「病識がある」状態だと思うのです。先ほど書きました「第二の自分」のような感じです。
  
自分の喜怒哀楽の赴くままに生き生きとしたいですが、いつも平静を装わなくてはならないので辛いです。
 
こうして文章を書きまくる症状も次の診察で主治医に言って(たまたまですが、次の診察から病院を転院するのですが)、注意しようと思います。
 
自分がおかしいとわかっていても止められないことがとても怖いです。そういうときは(こちらの質問者さんの受け売りですが)、ふわふわした感覚があります。具体的にいうと、パチンコにはまっているときです。旦那に「ダメ」と言われていることをしてしまうときとかに、ふわふわします。
 
私は予後の悪い統合失調症なのだと思います。自分でわかります。
 
結婚したのは1年前なのですが、結婚生活はうまくいっています。ですが、家事などは殆んど主人がやってくれますし、お風呂に入るのがどうしても苦手だったり、役所の手続きや金銭の管理など、すべて主人がやっています。
 
私ができないことはないのですが、やるとしたらすごく精神力を使う・・・
というか、やっぱりできないのだと思います。
 
病識が消えたとき、私にはどうすることもできないですよね。でも、退行や人格水準の低下なら、人に危害を加えることはないのでしょうか?
 
とても悲しいです。これは認知症の方にも当てはまる気持ちでしょうか。
 
どうすれば、病識がなくならないようにできますか? もしかして、いまこうして書いている時点で病識がすでにない状態ですか?
 
病識について、何か回答をくださるとうれしいです。よろしくお願いします。

 
林:

服薬と注射をしていても、身体のコンデションやストレスなどで、軽い症状が出ることがあります。多弁になる(文章を書きまくる)。人にかまって欲しくなる。幻聴が聞こえる。イライラする。・・・などです。持続性はなく、コンデションで・・・という感じです。

このように、ストレスがかかると再発する、または再発しかかるのは、多くの統合失調症の方が経験していることで、統合失調症という事実のCase4-3などに実例があります。
症状がよくなっていた統合失調症が再発する最も多いパターンは、(1)薬をやめてしまうこと、その次に多いのは(2)薬を飲んでいたがストレスがかかった というものです。(1)についても、何度も繰り返すケースは多数ありますが、「薬をやめてはいけない」というところまでは本人・家族ともにしっかり自覚できるケースもまた多数あります。しかし(2)については意外に軽視されており、薬さえ飲んでいれば大丈夫と油断してしまう方もしばしばいらっしゃいます。
その点、この【2736】は、(1)も(2)も自覚しておられ、また、統合失調症という病気についてのその他の事項もかなりよく理解しておられますので、再発を防ぎながら、さらなる改善を目指していくことは十分に期待できるケースであるといえます。したがって、

私は予後の悪い統合失調症なのだと思います。

そんなことはありません。

こちらのサイトにメールを送ってくる方の中にも、支離滅裂な内容で、病識がないように感じられる方がいらっしゃいますが、そもそも、そういう方がネットでこのサイトを見つけてここにメールをしている・・・という時点で、私はある種の「病識がある」状態だと思うのです。先ほど書きました「第二の自分」のような感じです。

これも鋭いご指摘で、 【1541】皆と同じようにipodの手術を受けたいで解説した通りです。

病識が消えたとき、私にはどうすることもできないですよね。

完全に消えた場合については、確かにその通りです。
 
どうすれば、病識がなくならないようにできますか? 

治療を続けることです。
そして普段から、「主治医の指示には、仮に納得できなくても従う」と決めておくのがいいでしょう。統合失調症では、症状が安定しているときは十分な理解力・判断力があっても、再発しかかってくるとそうした能力が損われてしまい、主治医の指示が不合理だと感じてきてしまうものです。これが治療を中断したり、服薬をおろそかにしたりすることにつながりがちです。ということが今はわかっていても、症状が悪化してくるとわからなくなってしまうのがこの病気の恐ろしいところです。

そして、症状が出ていたことが分かるのは、大抵、症状が治まってからなのです。ここに恐ろしさがあるなぁ、と思います。

とおっしゃっている通りです。
ですから、

普段から、「主治医の指示には、仮に納得できなくても従う」と決めておく

ということが、病識が失われることの予防策になります。

(2014.7.5.)

05. 7月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |