【3293】被害妄想の母と、「自分のせいでみんな死ぬ」と言い続ける父
Q: 私の両親についてご相談させていただきます。
まず母(66歳)についてですが、昔から(たぶん30代位から)変な事をよく言っていて困っています。例えば「悪霊がいたずらする・庭にゴミを入れられる・冷蔵庫の食べ物に毒を入れられる・隣人が生霊になって家に入ってくる・隣人の話声が聞こえる」などですが、一度、隣の家に怒鳴りこんで行った事もあります。たぶん統合失調症だと思うので病院へ行こうと話しても、絶対に認めず病院へも行ってくれません。最近では老化のせいか、物忘れもひどく、話もちゃんと伝わっていないことが増えました。無理やりでも病院へ連れて行ったほうがいいのでしょうか?
そして父(66歳)ですが、母よりも深刻で本当に悩んでいます。私とは別居なので、父のことは母に聞くしかなく、少し違うところはあるかもしれませんがわかる範囲でかかせて頂きます。もともと高血圧だった父はおととし小脳梗塞で入院しました。無事退院しその後会社を退職して、今年に入ってからは、うつ病らしき症状で診療内科にかかりました。その時は以前飲んでいた精神安定剤をやめたのが原因ではないかということで、また同じ薬を処方されましたが、その後もみるみる悪化し、今では「自分のせいでみんなが死ぬ・新幹線と飛行機が止まってみんな帰れない・世界が破滅する・黄泉の世界にいて帰れない・震災でみんな死ぬ」など、常に死ぬ寸前の状況の中にいるようで、1日中その話しかしません。不眠もあるらしく夜中でも母を起こして必死で同じ話をしてくるそうで、母が参っています。満腹中枢もおかしいらしく、人のご飯まですべて平らげてしまいます。そして、自分のせいで世界が破滅することをみんなに説明して謝りたいらしく、昼でも夜でも家の外に出ては「すいませ~ん!!」と叫ぶので近所迷惑で困っています。とりあえずMRIなどの検査では認知症ではないとの事でした。今飲んでいる薬はレキソタン錠2mg(1日3回)・パキシル錠10mg(就寝前)・ウィンタミン25mg(就寝前)・デパス0.5mg(就寝前)、後はもともと飲んでいた血圧の薬でアムロジン錠2.5錠・カルベナリン錠1mg・プロプレス8.8mg・バイアスピリン100mg・ラニザック150mgです。本当に父はうつ病なんでしょうか?そして治るのでしょうか?
林:
お母様は
統合失調症です。症状はかなり典型的です。精神科で治療を受けていただく以外、改善の方法はありません。
お父様は
うつ病の一種とみていいと思います。「精神病症状を伴ううつ病」と呼ばれるもので、
「自分のせいでみんなが死ぬ・新幹線と飛行機が止まってみんな帰れない・世界が破滅する・黄泉の世界にいて帰れない・震災でみんな死ぬ」など、常に死ぬ寸前の状況の中にいるようで、1日中その話しかしません。
などは、うつ病に特有の自責感と関連する妄想とみるのが通例です。
治療については、薬物療法を続けるのであれば、抗うつ薬と抗精神病薬のいずれもが考えられますが、この【3293】の状態をみますと、入院して電気けいれん療法を受けるのが最善だと思います。
(2016.10.5.)