【4672】趣味を楽しめないとはどのくらいからを言うのか
Q: 20代女性です。
うつの簡易チェックには趣味が楽しめない、又は無気力という項目がよく見られますが、趣味が楽しめないとはどの程度からですか?
ものづくり系の趣味です。作業が苦痛なのですが、そもそも何かを作るってめんどくさいしなあと思って無気力な状態を放置しています。私生活が忙しい訳でもないのに。今日も何もせず終わってしまいました。
林: このご質問は、【4660】社会不安障害の症状らしいことがわかりましたが、私の状態は「日常生活や社会生活に支障が出る状態」と言えるのでしょうか と類似しています。【4660】で私は次のように回答しました:
この状態は「日常生活や社会生活に支障が出る状態」なのでしょうか。 — に対する答えは、「あなたがそれによって苦しんでいればイエスです」ということになります。
これと同様に、【4672】の
趣味が楽しめないとはどの程度からですか?
に対する回答も、趣味を楽しめないことを、ご本人が苦しんでいれば、「程度」を満たすということになるとまでは言えます。けれども「趣味が楽しめない」については、ご本人が苦しんでいなくても「程度」を満たすことがあり得ます。なぜなら、「楽しめないことを苦しいと感じる能力」自体が損なわれている場合があるからです。それを「無気力」の中に含めることも可能です。
そうしますと、うつ病の指標としての「趣味が楽しめない」は、文字通りの意味にとるのが適切ということになるでしょう。すなわち、これまでは楽しめていた趣味を楽しいと思えなくなった、それは、趣味に費やす時間の減少という形で客観的に示すことも可能です。
そうはいっても今度は「ではその時間の減少とはどのくらいの減少をいうのか」という問いが発生するでしょう。ここはきりがないところですが、簡易チェックというものにはそもそも相当な限界があるものです。文字通り「簡易」なものにすぎませんので、そこに記されているひとつひとつの項目について、深く追求することにはあまり意味はありません。簡易チェックとはその程度のものであるとご認識ください。
(2023.5.5.)