【2933】交通事故後、酒乱になった

Q: 30代の息子は10ヶ月前に交通事故で頭蓋骨骨折、脳挫傷の大怪我をいたしました。 幸い身体的な後遺症は全くなく、軽い高次脳機能障害と診断されましたが現在職場復帰もいたしました。 ところが最近飲むと嫁に暴力を振るうようになりました。 息子夫婦とは別居しているのですが、嫁が命の危険を感じて夜中に逃げてきたこともありました。 以前からお酒は好きでよく飲んではいたのですが、飲んで暴れるというようなことはありませんでした。 飲んで暴力を振るったことは覚えているらしく、翌日には詫びているようなんですが…。 このままでは離婚も考えざるを得ない状況です。 高次脳機能障害が引き金になって酒乱になるというようなことがあるのでしょうか?

 

林: 高次脳機能障害のひとつに、「社会的行動障害」というものがあり、そのひとつに「抑制欠如」というものがあります。自分の言動を抑制しにくくなるという症状です。つまり、普通ならそれほど怒らない場面で激怒したり、さらには暴力行為にも至るというものです。このケースはそれにあたると思われます。但し、症状が軽いので、普段は現れていませんが、アルコールの影響で現れるという形です。高次脳機能障害でなくても、アルコールはある程度人から抑制力を外しますので、このケースではそれが強く現れているのでしょう。アルコールをやめるのが最善の対処法だと思います。

なお、社会的行動障害は、前頭葉との関連性が比較的強い症状ですが、前頭葉以外の損傷の場合にも見られます。この【2933】のケースは「脳挫傷」としか記載がなく、損傷部位が不明ですが、どの脳部位の損傷でも社会的行動障害は起こりうるものです。

(2015.4.5.)

05. 4月 2015 by Hayashi
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