【4617】「誰かに見られている」という感覚について
Q: 20代男性です。いつもHPを拝見しています。過去の自分の症状・また現在の体質についてお聞きしたくメール差し上げます。 私は数年前、職場の掲示板?(いわゆる学校裏サイトのようなものです)で突然、ある人間にあらん限りの表現で誹謗中傷をされました。当然大きな衝撃を受けたのですが、それから1、2週間の間、外出しているときや車に乗っているとき、「誰かに見られている」かのような不快な感覚を覚え、人気(ひとけ)のないところを歩いたり、後部座席のカーテンを閉めたりしました。頭では見られているわけがないと完全に分かっているのですが、無性に気になってしまい、自分でも不安になっていました。全く同じような体験は、それよりも前(10代半ばのころ)に、学校でいじめられた始めた時にもありました。 それらの体験から10年近くたった現在、思い立って調べてみると、これは「注察念慮」というものかと見当をつけました。wikipediaを見ると、これは統合失調症のページに載っていました。 そこで質問です。私は当時、統合失調症だったのでしょうか。それとも、統合失調症ではなく、単に精神的なダメージによるものだったのでしょうか。また、統合失調症ではなかった場合でも、私は統合失調症や心の病気になりやすい体質なのでしょうか。 近々転職で環境がかわると思うので、心身の健康を保つことを意識するようになり、質問をおもいたったのです。なお、現在は(少なくとも主観的には)精神的には安定しており、全く健康であると思っています。よろしくお願いします。
林: ご自身でお調べになられたとおり、その体験は注察念慮に一致しています。そして注察念慮は統合失調症の前駆期や初期によく見られる症状です。けれども注察念慮があったからといって統合失調症であるととは言えません。この【4617】の質問者では、一過性に注察念慮があっただけですので、そのことをもって統合失調症であるとは言えませんし、その一時期に統合失調症であったとは言えません。
ただし、「一過性に注察念慮があった」=「一過性に統合失調症に特徴的な症状があった」ことには一定の意味があります。その意味とは質問者ご自身がおっしゃっている、
私は統合失調症や心の病気になりやすい体質なのでしょうか。
に関連することで、「心の病気」と一般化することはできませんが、統合失調症になりやすい体質を持っているとまでは言える可能性があります。【4231】統合失調症の不完全型のようなものはあるのでしょうか などもご参照ください。
(2023.1.5.)